はぁ...覚醒?
「……じゃあそろそろ行くかー」
昨日の事件?から一晩明けたが俺の心の傷はまだまだ治りそうに無かった。
「じゃあお邪魔しました。また機会があったら」
「なんだい兄ちゃんもうこの村出ちまうのか?この店の恩人なんだからもっとゆっくりしてって貰ってもいいんだぞ?」
「お前んとこの娘のせいだよ!」と怒鳴り散らしてやりたかったが俺ももう18歳、ここはグッと堪えて平静を装う。
「まぁもともと旅の途中だからね。帰りに気が向いたらまた寄らせて貰おうかな」
そう言って颯爽と店を出る。そして詰所に着くと何故かニヤニヤしながらオルフが近付いてきた。
「ようレイア!昨日はあれからどうなったんだ~?」
(あれから?あれからってなんの事だ?)
恐らくだがオルフが言っているのはマリーとの事で十中八九間違い無いだろう。どう考えたって良好な関係を築けている筈の無い俺にこの質問を投げかけるのは喧嘩を売っていると同義だが、肝心のオルフからは特段嫌らしい空気感は感じなかった為悪気は無いのだと思い再びグッと堪えた。
オルフはオルフで昨日のマリーのツンツンした態度が思春期の恋する乙女特有のものなのでは無いかとかなり盛大な勘違いをしていた。
なので、もしかするとあれからなにか進展があったのではないか?などと到底的外れな事を考えていたのだ。
「どうなったもなにも……俺は何故か彼女に嫌われてるみたいでさ。だからとりあえず早めに村を出て行く事にしたんだよ…」
そう言うとオルフは本気で驚いた様な顔をして言う。
「なに!?――――だがマリーちゃんが誰かを嫌っているところなんて今まで見た事無いんだがなぁ…レイアの勘違いなんじゃないのか?」
俺だって勘違いであって欲しいとは思う。が…あれは本気で俺の事を避けていた様にしか思えなかった。
勘違いかもしれない、などと気軽な感じで近くにいてはいけない様な気がしたのだ。
「多分勘違いじゃないと思う。まぁ帰り道にもしまたこの村を見かけたら少し顔を出す様にするさ」
俺は未だ少し混乱した様子のオルフにそう告げ村を出た。
それから少し経った頃、遠くから声が聞こえてきた。
「レイアー!絶対!絶対にもう一度この村に来いよー!」
多分あのお人好しそうなオルフの事だ、俺とマリーちゃんを仲直りさせようとでも考えているんだろうな。
――――俺は後ろ向きのまま片手を上げそれに応えた
―――――――――――――――――――――
「…あー、女の子って難しいなぁ」
今回に関しては何故嫌われてしまったのかも全然わからなかった為、割と真剣に悩んでいた。なんなら正直ついにヒロイン登場か?などとも考えていたくらいだ。
ナッシュ村を出てしばらく経ったが未だに目の前に広がるのは果てしない荒野のみ。
帝国の大体の方角はオルフに聞いてあったし、この道をひたすら真っ直ぐ行けばいいという事はわかってはいるのだが目印も何も無いと如何せん不安になってくる。
(というかそろそろマジでステータス見るか…本当にレベルが上がらな過ぎて異常だしな)
カエル狩りだけでは無く道中にも様々な魔物を倒したりしているのだ。勿論あの黒猪の様な見るからに強そうな魔物では無かったが、これだけの数を倒しているにも関わらずレベルが1も上がらないのは流石におかしいと思わざるを得なかった。
「あー恐いなぁ…痛いんだよなぁ…」
しばらく躊躇っていたがついに覚悟を決めた俺は、まだ一度も使っていない半ば装飾品と化しているナイフを握りしめ―――指先に当て軽く押し込んだ。
「――っつぅ…ステータスっ」
【名 前】 ナガヒサ・レイア
【年 齢】 18
【職 業】 勇者?
【レベル】 78
【攻撃力】 650
【魔 力】 837000
【耐久力】 600
【素早さ】 840
【知 力】 990
【幸 運】 10
【スキル】 Realization LV 5(Exist Magic)
(Exist Skill)
「――――――は?」
素っ頓狂な声が無意識に口から零れた。
(これは一体どういう事なんだ?何が起きてる?)
俺が今まで倒したのは明らかな雑魚ばかりだった筈。あの程度の魔物達を倒す事でこんなにもすぐLVが上がるのだとしたらこの世界は少しイージーモードが過ぎる気がする。
そんなイージーな世界だったならば簡単にレベルもカンストしてしまうだろうし、誰も彼もがすぐにSSSランク冒険者にでもなってしまう事だろう。
色々と考察した結果、一つだけやたらしっくりとくる仮説があった。
(恐らくだが――――実はあの化物を倒せていたって事なんじゃないのか?)
これ全てがあの化物を倒した時に得た経験値で上がったレベルで、それ以降レベルが上がる通知が無かったのは、もうそこら辺の雑魚を倒した程度の経験値じゃ簡単に上がらないLVまで一気に上がってしまっていたから。という可能性だ。
これなら全ての辻褄が合う。
「気を失っていたが為にレベルが上がった事にも気付かなかったって事なのか?……どんなタイミングだよ…」
そうなってくると新たに生まれてくる疑問は決まっていた。
(というかこのステータスってどのぐらいの強さなんだ?)
今までの戦いにおいてなんら危なげ無く戦えていたのはステータスの恩恵だったのだろうか。
敵の動きがやたら遅く見えるとは思っていたがそれもこの急上昇したステータスのせいだったのかもしれない。
単にあの化物と比べて敵のレベルが低いからそう見えていただけだと思っていたが、実際はそうではなく俺の方のレベルが急激に上がっていたせいだったのだ。
(今までまさか自分がこんなにも強くなっているなんて考えもしなかったからな)
もしかしたら魔法の威力なんかも無意識にセーブしていたのかもしれない。
――――ちょっと一回だけ気合入れて魔法撃ってみようかな
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