表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世捨て魔王  作者: R氏
30/160

はぁ...渋い



「おい君!この村になんの用だい?」


 さも今の今までこの村で生まれ育ってきたかの様に自然に中に入ろうとした俺は、当たり前の様に衛兵に止められた。


(まぁそりゃそうか)


 むしろ只でさえ珍妙?な恰好をしているこんな不審者を素通りで入村させている様では逆に心配になる。


「あー…自分ちょっと旅をしてるんですけど、歩き疲れたので宿屋とかあったら嬉しいなーって思って来ました」


「旅人か。なにか身分を証明できるような物とかは持ってるかい?」


 ここまでは想定していた通りの流れ。なのでこちらも準備していた冒険者カードをポケットから取り出す。


「冒険者カードで大丈夫ですか?それなら――」


 冒険者カードを提示すると警戒を解いてくれたのか、渋めのイケメンの衛兵さんは白い歯を見せて笑った。


「冒険者のナガヒサ・レイアくんだね。確認出来たよ、ありがとう――――ようこそナッシュ村へ!でも悪いが18歳には全然見えないな。俺はオルフ、同い年だし敬語はいらないよ」


(え、同い年!?)


 先程も渋めと表現した通り、同い年とは到底思えない見た目をしているオルフの自己紹介に驚きながらも、失礼かもしれないのであくまで平静を装いながら会話を続ける。


「そうだったんだ、わかったよ。そうかここはナッシュ村って言うのか。

 俺はレスティア王国から来たんだけど、ここからクレナディア帝国までってあとどれぐらいかかるのかな」


「帝都クレナディアまででいいのかな?ここからだったら歩き続ければ1週間もかからないで着くと思うよ」


(1週間……まだ半分以上あんのかよ…)


 どれくらいの距離があるのか全く調べていなかった為に食料も出来る限りの量を持って来ていたのだが、その食料もそろそろ尽きそうになっていた。

 もし途中で村を見つけられていなかったらほぼ確実に餓死していた。そんな事実に恐ろしくなる。


(異世界転移して餓死で死ぬ主人公なんて見た事も無いぞ。あぶねー…)


 そして安堵したのも束の間、また新たな問題が発覚


(…いや待てよ?―――― 俺金ねぇじゃん!食料しかねぇじゃん俺ッ!!村に来ても意味ないじゃん!モンスターに襲われずに野宿できるってだけじゃん!それただの日本のホームレスと一緒じゃん!)


 いかに社会不適合者と言えどあまりの浅慮さに我ながら愕然とした。


「知り合って早速で悪いんだがオルフくん……僕あまりお金が無いのだけれど、この辺りで魔物がいる地域とか知らないかい?」


 こうなっては今自分が取れる選択肢は決して多くはない。


 一つ、悪事に手を染める。


 二つ、乞食


 三つ、冒険者としてお金を稼ぐ


(まぁどう考えても三しか無いのだが)


 突然素っ頓狂な事を言い出した俺に対し、オルフは苦笑いしながらも快く教えてくれた。


「どうして一文無しで旅なんかしてるんだ…――――それだったらここから少し西の方に行けばアイアントードがいる湖があるが……君はGランクだろ?少し…いやかなりきついと思うぞ?」


 つい先日ゴブリン相手に無双した俺はどうやら多少調子に乗っていたのかもしれない。

 この辺りの生態系は愚か、どのような魔物がいるかもわからないのにいきなり狩りに行こうだなんて愚行も甚だしい。

 ただでさえ俺はまだゴブリンとスライムしか知らない初級冒険者。

 更に言うならこの世界はリアルなのだ。ゲームじゃ無い。


 ――――死んでしまえばそこまでなのだ。


 そんな当たり前の事を改めて実感した俺は一応の安全策を考える。


「そんなに強いモンスターなのか?…ならこの村にそのアイアントードを倒せる人とかいるかな。出来たら魔法使いで」


 先輩冒険者にアイアントードとやらとの戦い方や弱点を聞く。それが俺が導き出した答えだった。

 こちらの問いに対して、オルフはなぜだか苦い表情を浮かべていた。


「ちょうど今いる事にはいるんだが…そこはPTで、しかも結構感じの悪い奴等なんだよなぁ…」


 むしろ感じの良い冒険者の方が少ないのでは?なんて事を思ったが、オルフだって色々な冒険者を見てきた筈だ。

 その上で感じが悪いと判断したという事は、粗雑な冒険者達の中でもそれなりに酷い奴等なのかもしれない。


「なるほど。そいつらがどこいるかだけ教えてくれないか?」


 だがこちらも命がかかっているのだ。背に腹はかえられない。


「この時間は毎日酒場にいるから今日もいると思う。なにを頼む気なのかはわからないが怒らせるような事はするなよ?誰かがあいつらの事をDランクPTって言っていたのを聞いたことがある」


 Dランク。当然ながら俺よりはだいぶ格上の冒険者達の様だ。

 だが今まで見てきた周りの反応からしても俺の力はどう考えてもGランクの冒険者のソレでは無いようにも思える。

 別に端から揉めるつもりは無いが、もしそうなったとしてもDランク程度であれば過剰に恐れる必要もないだろう。


「了解了解。ありがとね、またすぐ来るよ」



 そう言い俺は、バツの悪そうな顔をしているオルフを尻目に酒場を探す為走り出した。





大いに励みとなりますので高評価とブックマークの方よろしくお願い致します!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ