はぁ...あついたい
レスティアの街を離れてしばらくしたところで俺は懐かしのモンスターに出会っていた。
懐かしとは言っても勿論ゲームの中の話だが。
(この世界で懐かしのなんて言ったらあの猪の化け物しかいないしな…)
「――――ポヨンっ」
(これは、可愛い……のか?)
「いや…デカいしな、可愛くはないか」
そう、今俺の目の前にいるのはスライムだった。ファンタジー世界においての元祖雑魚キャラといえばこいつを置いて他にない。
様々なゲームにおいて最初の村の外にいけば必ずこいつがいた筈だ。
「でも俺が知ってるスライムって、なんか可愛い顔がついてたり間抜けな表情をしてたりもっと愛着があった気がするんだよなぁ」
まず目の前のこいつには顔なんて呼べるものも無いしそもそもデカい。更に言えば身体の真ん中辺りに禍々しい黒っぽい何かが埋まっている。
(あれは核ってやつなのか?あれを砕いたら死ぬのか?てか火属性魔法とかあそこまで届くのか?)
様々な疑問が浮かんでくるが、そもそもこいつがどんな攻撃をしてくるのかがわからない。
俺が知っているスライムという魔物は体当たりの様な事をしていた気がするのだが、そもそもの世界が違う以上今までの常識が通用するかどうかはわからない。
だが流石にスライム如きの体当たりを食らって即死する様な事は無いだろうし、とりあえず近づいてみることにした。
(触ってみたらどんな感じなのかもちょっと気になるし…)
「俺は敵じゃないよー…?だからちょっとだけ触ら「ピュッ」ってあっぢぃッ!なに!?」
(熱い熱い熱いッ―――)
スライムに触れようとした瞬間、なにか液体の様なモノが飛んできてそれが俺の手に当たった瞬間、俺はあまりの衝撃に飛び跳ねた。
本能からか、ダッシュで5メートル程下がり改めて自分の手を見てみると、謎の液体が触れた部分の皮が爛れ真っ赤になって血が滲んでいた。
「―――はぁ!?硫酸!?現実のスライムって酸飛ばしてくんの?なにそれ全然可愛くないなおいっ!」
(危ないしもう近付くのはやめとくか……)
なんだか裏切られた様な気分になった俺はアイスニードルを十個程どす黒い核に向かって飛ばした。
そしてその中の一つが核を貫く。すると核は綺麗に砕けスライムは特に声を上げるでもなく溶けて地面に染みを作って消えた。
「痛いよぉ…俺がなにしたって言うんだよ…酸持ってるならせめて反撃の時に使えよ…」
流石に放っておいても自然に治る様な火傷では無かった為、リーナから拝借したヒールを試す事にした。
心の中で「ヒール」と唱え、無事な方の手を火傷した方の手にかざす。
するとリーナのヒールを見た時と同じ淡い緑色の光が、不思議な温かさと同時に患部を包む。
(よかったぁヒール使えて……ヒール使えなかったらまじでやばかったなこれ)
「――――てか忘れてた!次ケガしたらついでにステータス見てみようと思ったのに……焦って普通に治しちゃったよ」
いくらゴブリンやオークを倒してもlevelが上がった様な感覚が無い為、実は少し不安になってきていたのだ。
通知の様なモノが無いだけで本当は上がっていたりするのか、それともこの世界の経験値テーブルが異常にエグ過ぎるのか。
(これで実際見てみてまだLV1だったら流石に泣けるな…)
それからも俺は道端に出てくる適当なモンスターを倒しながら歩き続けた。
当然ながらちらほらと魔石なんかも落ちたりしていたが、今はお金よりも食料の方が大事なので特に拾わず放置する事にした。
すると遠くの方に薄っすらとだが村みたいなモノが見えてきた。
「――――え、あれが帝国?」
(いや流石に違うか。でもそろそろ歩き疲れてきたし入ってみようかな)
そもそも普通に入れるのだろうか。身分証といえる様なモノは冒険者カードしか無いのだがそれだけで入れたりするものなのか。
(ステータスも自分にしか見えないモノだしな……)
「まぁなんとかなるだろ」
――――いざ初村!
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