はぁ...フラグ?
洞窟の中に入ってすぐに目に入ったのは等間隔に設置されてある松明だった。それに壁や地面なども舗装されたような跡はなく、ゴブリン達が高度な文明を有している可能性は極めて低そうであった。
(いやまぁこれも文明と言えば文明か)
ただこの様子なら出会い頭に銃をぶっ放される様な事も無いだろう。
「罠も無さそうだしこの感じじゃたいした大きさの集落ではないと思う」
アスロの言葉に少しだけ安心する。最下級の魔物だとしても多勢に無勢、こんな洞窟の中で数にモノを言わせて特攻なんてされたらこんな4人だけのPTじゃ少々心許ない。
今の所はまだ3体のゴブリンとしか遭遇していないしこのまま何も無ければいいのだが。
(――――ちなみに俺はまだ空気)
そもそも一般的なPTにおいての魔法使いの立ち回りがまだわからないのだ。
前衛が戦っている時に魔法を放っていいのか、それとも先制打として先に魔法を使わなければいけないのか。
「リーナちゃん。俺まだなにもしてない気がするんだけど……やばい?」
これで「はい。やばいですね」なんて言える女の子はなかなかいないと思う。必要な情報も得られて更に自分が傷付くことも無い。我ながら完璧な聞き方だった。
「いえ、こんな狭い場所じゃそうそうタイミング無いですし普通だと思いますよ!ただもっとまとまった数のゴブリンが来たりしたら前衛の二人に下がってもらって得意な魔法撃っちゃって下さい!」
やはり無闇やたらに魔法をぶっ放すなんて事はしなくて正解だった様だ。
こんな置物同然の新人魔法使いに対しても優しいリーナに少なからずの感動を覚える。
(やっぱり城から出てよかった…。あそこの人間はほんとろくでもない奴等ばかりだったからな)
「んだよ全然たいしたことねぇな。つまらねぇなー、せめてゴブリンソルジャーぐらい出てくれないと張り合いがねぇぜ」
ゴブリンソルジャーというのはそのまま剣を使うゴブリンの事だ。普通のゴブリンは大体素手だったりこん棒みたいなのを使ってる。たまに石を投げて来たりするのもいるが。
(――――いや、子供か!)
心の中でそんなツッコミを入れてしまったが、それでもその石が頭に当たったりして気を失いでもしたら笑いごとじゃ済まないのかもしれないが。
「そんな調子乗った事言ってるとバチが当たりそうで恐いからやめてくれよ…」
(いやわかる。アスロの言った通りちょっと順調すぎて恐いな。まぁ俺はこれが初めてのゴブリン討伐だから順調なのかどうかもよくわからないんだが…)
少なくとも今の段階では本当に皆余裕そうではあるし順調なのは間違いないのだろう。だが初心者パーティーが調子に乗っていいことなんか本当に一つもない。
もしこれが映画やアニメの世界の中だとしたら誰が死ぬのだろうか。
明らかに調子に乗っているサニスか?
それともいいやつ筆頭のアスロ?それとも唯一の花形のリーナ?
(まぁ俺は無いとして…。勇者だしね)
だが実際ゴブリン討伐のクエストで死ぬ冒険者ってのも決して少なくはないらしい。
(そりゃこんな完全な相手のホームにお邪魔するわけですからね。なにが起きてもおかしくはないわな)
この世界に来て初めて出会った魔物があんな化け物だったからなのか、初めての討伐系クエストだというのに俺の心は意外にも落ち着いていた。
この場においての自身の心配よりも、今俺の頭の中にある事は全く違う心配事だった。
(ていうかこんな簡単なクエストの報酬を更に4等分して、俺は今日…宿屋に泊まれるのか…!?)
そんな呑気?な事を考えていたからなのか。俺はこの後生まれて初めて実感する事になる。
死亡フラグってのが実在するって事を
「レイアさん…。――――後ろからなにか聞こえません?」
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