閑話
――――あれはいつの話だっただろうか
うちの家系はなんか知らんが皆が皆優秀だった。
従兄弟兄弟は検事と警察、父さんも国家公務員、兄は海外にいて弟は県でトップクラスの高校生。
俺が勉強を出来ていたのは中学に上がった頃までだったかな。
入学してしばらくして風邪をこじらせた俺は学校を一週間程休んだんだ。
それでその後学校に行ったらさ、授業でまったくわからない所をやっててさ。
いや多分ちゃんと友達や先生に聞いたりして自習していればすぐに追いつけたのだと思う。
なんてったって中学校初期の勉強なんてたかが一週間でそこまで離されるわけもないのだから。
でも―――なんか知らんが俺は勉強をするのをやめた。
それがかっこいいと思ったのか、流行りのドロップアウトってやつだったのかはわからない。
それからはテスト前だけ少し勉強してギリギリ平均点を取る様な平均よりちょっと下ぐらいの生徒に俺はなった。
でもそんなんじゃすぐに限界が来てさ、もう中学の後半くらいから高校の間はずっとカンニングでやり過ごしてたんだ。
高校だって私立だったしさすがにその頃には薄々気付いたんだよね。
――――あれ、なんか俺やばくね?って
でも遊びまわってるのはもちろん楽しかったし、しばらく勉強してこなかった奴が今更勉強始めたってどうせ無理に決まってるだろ。とか勝手に諦めて結局そのままなあなあに生きていた。
そんな時にちょっと魔が差してお母さんに零した事があった。
「なんかうちの家系ってみんな優秀だよね」って
別に深い意味とか無かったし、ふと思った事がそのまま零れちゃっただけだとその時は思ってた。
でも――――今になって思うと俺は怒って欲しかったのかもしれない。
他のみんなに比べて情けない、今の自分の現状を。
でも母さんは笑いながらこう言った
「そうだねー、なんでだろうね。別に勉強しろなんて一回も言ってないんだけどね。
一回きりの人生なんだから自分の好きな事をして楽しく生きたらいいのに、みんな勉強が好きなんじゃない?」
これが俺に気を遣って言ったのか本心なのかはわからない。
恐らく母さんの性格からして本心なのだろうが。
ただ…俺はなんだか、すごい気が楽になったんだ。
友達と遊んだりしながらも胸にずっと引っかかっていたモヤモヤが取れた様な気がした。
それでも結局今フリーターとかやっちゃってる俺がいるから、この母さんの教育方針が正しかったとは間違っても言えないんだけどさ。
大きい人だな。って俺は思った。
この人はこの先俺がどんな人生を送ったとしても、失望したり投げ出したりしないで
傍にいてくれるんだろうな。
って思ったんだ
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