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世捨て魔王  作者: R氏
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はぁ...どうしてこうなった



「なんだか凄く変わっちゃったんじゃないのぉ?」


 俺はというと、あの後サウロと共に二階から降りてきたエッチなおねぇさんことフィアに絶賛ダル絡みをされていた。

 俺を見るや否やそう口にしたフィア、最初は腕の事を言っているのかとも思ったがフィアの視線は一度も俺の腕の方には向いていなかった。


「なんか変わったか…?」


「そりゃもぉ。この間とは全然違う人みたいよ?今の貴方はちゃんと男に見えるわ」


 (――――え?あの時の俺って男にすら見られていなかったの?)


 突然の爆弾発言に衝撃を受ける。この世界に来て何度も何度も、それこそ飽きるくらいに幼いやら18歳には見えないやらと色々言われ続けてきた俺だったが流石に男に見えないなんて言われた事は無かった。


「なにを言ってるのかマジでわからん…。俺は今も昔もずっと男のつもりだが…」


 そう言うとフィアは盛大に笑い出した。


「あはははははっ、あーごめんね。そういう事じゃなくてね?あの時の君はただの子供に見えたの――――でも今は……とんでもなく成長してて驚いたって事よぉ。実力はもちろん中身も……ね?」


 そう言い斜め下のアングルからこちらの事をジーっと見上げてくるフィアに、何故かわからなかったが少しだけ身震いしてしまう。


 (なんだか妖艶な雰囲気……これが大人の女性の魅力ってやつなのか?…恐ろしい)


「おい。なに変な絡み方してんだやめろフィア」


 あからさまに動揺している様子の俺を見かねサウロが間に入る。


「ゴホンッ――――それで?わざわざ彼女を呼んでなんの用件なんだ?用が無いなら俺は早く行きたいんだが」


「あらぁ~連れないわねぇ」


 この女といるとなんだか調子が狂う。全て見透かされている様な錯覚に陥るのは勘違いだろうか。

 するとサウロは意を決した様にこちらへと向き直すと、言い放った。


「――――Aランク冒険者ナガヒサ・レイア。ギルドマスター権限によりお前にアストラル法国までの要人警護のクエストへの参加を命ずる!」



「――――――――は?」



「ちょ、ちょっとギルドマスター!いきなりクエストなんてどういう事ですか?」


 俺と同様何も話を聞いていなかった様子のユーリさんがサウロに詰め寄る。


「ユーリ、これはこいつの為なんだ。こいつが一人でアストラルに行って変な事をしない様にフィアと同じクエストに参加させて共に行動をしてもらう事にしたんだ」


「……いやいや俺の意見は?」


 突然の急展開に思考が追い付かず、ようやく絞り出したその言葉にサウロは被せる様に

「これは命令だ」


「って事だからよろしくねぇ?レイアくん?」


 嘘だろ?そう思わずにはいられなかった。つい先程心の中で彼女といると調子が狂うなどと言っていたばかりだったのに。

 これからしばらくの間、遠くの街まで彼女と一緒に行動するだなんて今からにもストレスでおかしくなりそうだった。



「――――どうしてこうなった…」


 それからは話もトントン拍子で進み、今俺はギルドマスターの部屋へと通され今回のクエストについての大まかな概要を説明されていた。

 依頼自体は至極簡単なモノで、アストラル法国から来ているとある貴族を向こうの国に着くまで護衛するというモノだった。


 (いやまじでどうしてこうなった……)


 護衛という事は当然一人で勝手に先に行く事も許されない。つまりは空を飛ぶ事も出来ないし、時間も当初の予定の倍以上は間違いなくかかるだろう。

 報告なんてガラにも無い事をしようとしたからこうなったのか?今となってどうしようもないそんな後悔が沸々と湧いてくる。


 もう一生報告なんてしない。そう強く心に誓った俺だった。


「じゃあそういう事だ。頼むぞ二人とも」


「はぁい。任せてー」


 柄にもなく少しふてくされていた俺はずっと無視を決め込んでいた。

 だが少しして会話が止まっている事に気付き顔を上げると――――二人の視線がまっすぐとこちらに向いていた。


「――――はいはいわかりましたよっ!」


 サウロのその視線には全くと言っていい程悪い感情は見えない。今回の機転が本当にこちらの身を案じての事なのだろう事は窺い知れた。


「これはお前の事を心配しての事なんだからな?アストラル法国ってのは本当に色々とめんどくさい所なんだ。気を付けろよ」


「だーかーらー!わかったってのっ!」


 だがこちらも18歳なのだ。そんな過保護とも思える優しさを素直に受け取ることなど出来る筈も無く、むしろここまで心配されている事に対して自分の精神年齢の低さに不安を覚える。


「まぁ~、貴方の事は私がしっかり見張っておくからね?変な事しちゃだめよぉ?」

 

 (っふ、馬鹿め貴様如きの目などその気になればいくらでも掻い潜れるわ)


「……なんもしないわ。でも必要以上に干渉するなよ?そういうのはうざいから」


「ふふ、わかったわかった」


 精一杯の嫌味を言ったつもりだったのにフィアには軽く受け流されてしまう。

 圧倒的な大人のオーラというモノに謎の敗北感を感じた俺は、さっさとこの場から離脱する選択肢を選んだ。


「じゃあとりあえず行くわ。明日の昼頃に門の前でいいんだよな?」


「そうだ。要人とはそこで挨拶を交わせばいいだろう」


「りょーかい。――――じゃ」


 (はぁ……めんどくさい事になったなマジで…)


 クエストが明日からという事は今日がレスティアでの最後の晩餐という事になりそうだ。いや厳密には意味が違うのだが、実際結構な期間離れる事になるのは間違いない。



 ――――――色々疲れたしエリスちゃんに癒してもらおーっと




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