ぼっち勇者は口には出さないがスローライフを目指してる 02
オレは魔王軍を1人で蹴散らし、魔王が住む異界の城へとたどり着く。
子供の頃からお友達を大切にしなさい、仲間がいなきゃ人は生きていけない、などと色々情操教育された気がするが、やってみると世の中1人でもなんとかなるもんだ。
やってやるやってやるやってやるやってやる(狂気)
魔王討伐のための修行を始めてしばらくした時、ぼっち勇者とか陰口叩かれてるのが聞こえた。
ぼっちで何が悪い! ぼっちは自由だ! ぼっちバンザイ!!
そしてたどり着いた玉座で魔王と対決する!
「勇者、顔、怖っ!!」
見つけた魔王のオレに対する第一声が、それだった。
うるせぇ、魔王に言われたくない!
オレは早くこの仕事を終わらせて一般人に戻る!
オレは、無言で、でかいクマのキグルミのような魔王に斬り掛かった。
「は、話しのひとつくらいしようよ!?」
弱腰だな魔王! それとも実はコミュ障か!
それはともかく、何故今更お前と話すことなどある。少なくともオレにはない!
ドガァアアア!!
――勇者であるオレの一撃はこの作品の都合上、魔王に大ダメージを与える。
「痛いいいいいっ!! うあうあああ!! たんま!! たんんまたんまあああ」
「何がたんまだ、魔王のくせに威厳がない。潔く滅びろ」
「この勇者、殺す気しかない!」
「殺しに来たんだから当たり前だろう!」
複雑かつ魔窟の人間社会にうっかり関わったお前が悪い!
この小説の魔王に生まれてしまった事は同情する!
お互いもっとまともな小説に生まれたかったよなぁ!!
オレは力を籠めて無銘のロングソードを腹部に突き刺しそのまま肩まで斜め斬り上げる!
ちなみにこの世に勇者の剣なんてなかった!
ビリビリビリ!!
魔王の毛皮が破れ、頭部がスポンッ! 吹っ飛ぶ!!
ん? スポン!? ビリビリ?
「ほんと、本当に、た、たんまぁ!!」
スポン、と飛んだ頭部には、銀髪に赤い瞳の美少女の顔があった。