表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【 お前を追放す……しない! 】 追放系悪役に転生したオレは気がついたらヒロインとスローライフしてた。(※勇者側ショートショート追加しました 4/25)  作者: ぷり
【 お前を追放す……しない! 】 追放系悪役に転生したオレは気がついたらヒロインとスローライフしてた。
2/9

02 マティたんとスローライフを始める。


 オレとマティたんは、城下町から街道をぬけ、外国の遠い田舎の街へとやってきた。


 オレ達は新たな戸籍を取得し、ガイルの名を捨てた。

 新しい名前はエルナンだ。

 

 マティたんは、そのままマティのままだが、出身地などの戸籍だけ変えた。

 マティたんは、いずれ勇者パーティに行かせる予定だから、名前は変えないほうが良いだろうと思った。


 また未成年だと色々不都合があるので、年齡をあげて二人共成人していることにした。


「ガイル様……じゃなかったエルナン様。どうしてこんなことを?」

「勇者だとバレたら、周囲から色々助けられてしまう。それでは修行にならない」

「なるほど……! さすがはエルナン様!!」


 マティたんは素直な良い子だなぁ!


 この世界には銀行がある。

 よって城下町から抜け出す時に、すべて預金を引き出し、口座は閉じた。

 そして新しい戸籍で新たな口座をつくり、そこに大金を放り込んだ。

 転生前の銀行と違って、この世界の銀行は大きな金が動いても調査したりはしない。ゆるい。


 その資金で、たどり着いた田舎の街のさらに奥にある売れ残りの牧場・畑付き森有り一軒家有りの土地を購入した。


 これからオレは人里離れたこの土地で、畑仕事をして一生を過ごす。


 金はまだあるので城下町で魔法で整形もしてきた。

 前世と同じ黒髪黒目にしてもらった。


 もうマティたん以外はオレだとはわからないだろう。



「まあ、こんな人里はなれた森の奥にこんな立派なロッジがあったのですね。……以前の持ち主は牧場や農家をされていたのですね」


「正解だ。ここをキャンプ地とする。家を手入れしたら、修行を開始するぞ! マティ!」


「はいっ」


 それから数日、オレとマティたんは森のロッジを整備し始めた。

 マティたんは働きものだったが、もうすぐ整備が終わる……と思った頃に、熱を出して倒れた。


 バタン!!


「マティ!!」

「はぁはぁ……。だ、大丈夫で、す……」

「バカ……大丈夫じゃないだろ?」

「え……きゃっ」


 オレはマティたんを、お姫様だっこで、彼女の部屋へと運びベッドに寝かせた。


 タオルを絞って頭に乗せてやると、マティがしくしくと泣いた。


「エルナン様、ごめんなさい……役立たずで私……」


「城下町からずっと休みなしで動いたからな。そろそろ休んだほうがよかったんだ。なに、修行する時間はまだまだある。まずは生活と体調を整えよう。だから、しばらく休め、ほら、目を閉じて寝なさい」


「は……い……。あの……」

「ん?」


「眠るまで……手を繋いでもらってもいいですか……?」


 ムホッ。

 むほ? むふぉふぉふぉい? もふぇいお?


 推しにそんなこと言われたら……て繋がせていただきます!!

 失礼します!! ギュッ。


「……わかった。こんな人里離れた場所、不安だよな。ここにいるからゆっくり寝てくれ」


「はい……(すやすや)」


 マティたんは、オレの手を握ると安心して眠り始めた。 

 なんだこれなんだこれなんだこれ。


 推しがオレの手を握って幸せそう寝てるんだがー!

 本物の勇者様ごめんなさい!

 でも、ちゃんとその時がきたらマティたんはお渡ししますからー!

 これはマティたんのケアですからああああああ!!!


 オレは興奮したまま、夜中までマティたんの手を握って固まっていた。


 



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ