プロローグ
グロに注意して下さい!
その日は、月が綺麗な日だった。
湖も、木々も、飛ぶ蝶達も、光の中を泳いでいる。
蛍が飛び交う暗闇の中、白い髪が美しくたなびいている。
私はその髪の主を見る。
美しい白髪。
透き通る様な碧眼。
私はその少女を知っている。
巫女の様な格好をした彼女は、胸元の内ポケットからするりと細長い物を取り出す。
月の光に照らされた’それ’は包丁だった。
あぁ、と思う。
私はそれも知っている。少し刃こぼれした包丁。でも先端に、血がついていた。
先に行ってしまったのか。
直感で感じた。
彼女はもういない。
哀しみと同時にほっとした。
彼女は解放されたのだ、”呪い”から。
これで最後の気がかりも消えた。
もう死んでも未練はない。
少女が私の目線に気づいて包丁を持ち上げて話し始める。
「うん、もうわかってると思うけど、彼女は死んだよ」
「……やっぱり、そうなのね。貴方がやったの?」
少女は一瞬驚いた後、首を縦にふる。
「私が殺したよ」
そうか、と思う。正直、この少女以外に殺されてしまったらどうしようと思っていたのだ。
「私のことも貴方が殺してくれるのね?」
.
「……、いいえ。貴方は私達が殺す。死んだ子の気持ちと共に!」
ふと、気づく。
この、口調は、目は。
本来の少女のものではない。
「じゃあ私も、覚悟を決めないとね」
「……」
「最期の、ゲームをしましょう。」
少女もくすりと笑ってうなずいた。
もしあの時。呪いに巻き込まれなければ。
私たちは幸せに笑い合えただろう。
「そうね……、鬼ごっこをしましょう」
「子供に戻ったみたいだけれど、最初みたいでいいわね」
また少女の口調が変わる。
「5分切り替えで、最初は貴方が鬼でいいかしら?」
少女が若干たじろいだ。
「貴方は殺されたいの?死んでしまうかもしれないのに」
「いいの。これも運命。呪いが紡ぐ、悲しいが美しい物語。終焉なのよ。この物語はこれで終わる」
あははははっ、と少女が唐突に笑いだした。
「本当に最期まで貴方らしいのね。安心したわ」
そして彼女は包丁を月に向ける。
「これで快く貴方を殺せる……」
向かい合う2人の少女。
この物語は、2人の少女から始まり、終わる、哀しくて美しい’呪い’の話。
さぁ、始めよう。終焉を。
-----素晴らしい終焉を。
初めて投稿です、温かい目で見て下さい、、、
いいね、とか下さると泣きます。泣きます。
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よろしくお願いします!