49.日記〇〇年〇×月31日
ーフィリップスの日記よりー
〇〇年〇×月31日
いよいよ明日、我が兄ベーリュがウィンドウ学園に入学できるのだ。当人の兄は明日に備えて準備している。
「いよいよ明日から……」
兄さんの様子は、緊張と不安が目に見えて分かってしまうくらいだ。私たち家族も緊張を隠せない。だが、当然かもしれない。
「これから、俺がソノーザ家を立て直す戦いが始まるんだ」
兄さんがこんなことを口にするのは無理もない。兄さんの夢はソノーザ家の出世なのだ。そのために学園の裏側から活躍するつもりなのだろう。
両親の話によると、学園は貴族と平民が身分差関係なく通えると言われている。表向きはだ。だが、実際は平民を軽く見て陥れる者や、親の立場が上なのを利用して威張り散らす馬鹿も少なからずいるらしい。貴族とはプライドが高い者が多いから、そうなってもおかしくないのだろう。
そして何より、学園は子供を使った貴族同士の代理戦争の戦場だというのだ。学園における我が子の成績や功績は、そのまま親の評価にもつながることになっているらしく、誰とコネを持つか誰と敵対するか気にしなくちゃいけないらしい。
そんな話を聞かされた私は、こういうことは子供のうちに聞かせていいのかと思い、一年後に自分も入学するのだと思うと嫌になった。だが、一緒に聞いていた兄さんは何故か目をギラギラと輝かせていた。
「任せてくれ父上。俺は必ずや成功してみせる!」
兄さんは自信満々だった。この時の私は単なるやせ我慢の類いだと思っていた。手段を選ばないつもりでいたとは微塵も思わなかったのだ。




