27.言い訳?
「この部屋に来た目的は、サエナリアお嬢様の手掛かりを見つけるためではなかったのですか?」
「あ、ああ。だが、こんな現状を見せられては!」
「お怒りになるのは分かります。サエナリアお嬢様のことを思えば、私も日ごろから腹を立てていましたので。ですが、どうか最初の目的をお忘れにならないでくださいまし。旦那様方は私が殿下をお嬢様の部屋に案内した事実を知らない今がチャンスなのです」
「「「!」」」
チャンスと聞いてカーズと護衛二人は驚いた。ソノーザ公爵たちに内密にしているというのはどういうことだろう。彼女は公爵家の侍女のはずなのに。
「ソノーザ公爵にも内緒でいたのか? 何故そこまで?」
「旦那様は野心の強いお方。基本的に奥様は旦那様に逆らいません。あの旦那様ならご自分の弱みになるようなものは必ず処分するか排除してしまいますでしょう。それが娘の私物というだけなら間違いなく」
「「!」」
「そんな……いや、そうだろうな。私も聞いたことがある。若い頃のソノーザ公爵は、落ち目の伯爵から出世して公爵に昇格したのだったな。妹を有力貴族に嫁がせたり、両親と弟を追い出したりしたという話も聞いたことがある」
カーズは思い出す。ソノーザ公爵がかたくなにサエナリアの失踪を隠そうとする態度を。あの時にワカナが出しゃばってくれなければ、カーズは真実を知ることはできなかっただろう。
だが、この侍女の言う通り、あの公爵なら自身が窮地に陥る可能性にあるものは全て処分する可能性は高い。物置として使われるこの部屋も無くなるかもしれない。
「………王太子殿下、無礼を承知でお聞きしますが、貴方は何がしたいのですか?」
「な、何がだって?」
突然の侍女からの質問に戸惑うカーズ。彼女の目は静かにカーズを見つめていた。護衛二人も静かに見守る。
「お嬢様を探しだして見つけたいとおっしゃっていましたのに、今はソノーザ公爵家を断罪しようとしています。ですが、それがお嬢様の捜索に何の関係があるというのです?」
「そ、それは………」
「「………………」」
言われてみれば、確かにその通りだ。サエナリアの家出はソノーザ公爵家の問題だ。断罪されるだけの理由もある。だが、公爵家を断罪することは、サエナリアの捜索に何ら関係はないはずだ。
「そ、その、あれだ。ソノーザ公爵が断罪されるなら、サエナリアが心配して現れるかもしれない。実家が大変なことになればと………」
「「「………………」」」
家出中のサエナリアが、公爵家が断罪されると知れば、確かに思うことはあるかもしれないが、それで姿を現すかどうかは分かったものではない。サエナリアは家を捨てて出ていったのだから。それに気付いたカーズは途中で口が止まる。
「まるで何かの言い訳ですね」
「なっ! 何を………!?」
「そんなことをしてお嬢様が見つかるのが早くなるとお思いですか? お嬢さまがご自分に関心を持たなかった父親を心配するでしょうか?」
「…………!」




