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1.始まり？

ウィンドウ王国の教育機関、王立ウィンドウ学園。国の決まりによって、貴族の子供たちは１５歳になってからこの学園に入学を義務付けられている。貴族にふさわしい教育を受けて、マナーやルール、歴史に知識を学ぶのだ。

学園では一人につき一部屋の自室を用意され、更には数人の使用人を連れることも許される。入学して一か月たったこの少女もその一人だった。

「お姉さまがいなくなった？」

金髪で碧眼の美少女のソノーザ公爵家次女『ワカナ・ヴァン・ソノーザ』は、怪訝な顔で侍女に聞き返した。自室だから気楽な姿勢でいる。ベッドに寝ころんだまま使用人の話を聞いていたのだ。そんな態度をされても使用人の侍女は表情変えることなく淡々と告げる。

「はい。奥様が気付いた時には既に遅く……。奥様は取り乱されておりまして、ワカナ様にも来てほしいと……」

「お母様が？」

母親の様子を聞かされてワカナはやっとベッドから起き上がった。そんな彼女は侍女に着替えを手伝わせる。一人で着れるはずなのに。

「分かったわ、仕方ないわね。はあ……、何でお姉さまがいなくなったからって……」

着替え終わったワカナは、嫌そうな顔を侍女に隠しもしないで学園の自室を出て屋敷に向かった。自室を出た後は笑顔を振りまいている。顔だけはいいから男子には人気が高い。そんなワカナだったが、侍女に冷たい目で見られていることに気づいてはいない……。