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第80話 商売をしよう 3

 なんだかわからないけど、1時間ほど説教を食らった俺は無事に(?)解放され、機材とパワードスーツをもって、実験場へと向かった。ちなみに、持ち運び方法はシンプルで、ステフのゴーレム君に担いでもらうというだけ。サイズ的に、ほら。子供と大人レベルだし。


 実験場は、かつて岩龍を撃破した場所からジャンガリアンドックを倒した岩山辺りまで。ざっとバチカン市国4個分くらいの土地だ。


「それじゃ、OS起動してみて」

「こ、こうですか?」


 新田が指示するのを見ながら、俺は相棒とともに魔力を使わない戦闘訓練をする。もしかしたら、このまま魔力がないままになるかもしれないので、その時のためだ。


 そこら辺の魔物を相手に戦ってみた後、戻ってみると、コックピットが完全に閉められており、スト〇イク〇ガーのような頭部に光がともっているのがわかる。


『魔力同調機構に魔力を充填、OSは正常に起動……あ、これすごい! いつもより言うこと聞きます!』


 外部スピーカーから、テストパイロット(唐突に現れた)カエデの弾んだ声が聞こえる。どうやら、魔力同調機構とOSの制御の正常化という課題はクリアしているようだ。


『消費魔力もいつもより少ないですね。シートも衝撃を抑えられるようなものなので衝撃もあまり気になりません!』


 否、こいつははしゃいでいるな。ノリのいい性格なのだが、これじゃあ親に新しいおもちゃを貰った子供のようだ。

 カエデはパワードスーツでシャドーボクシングの動きをしてみせ、ついでとばかりに2段キックまでやってみせる。あの、その機体一応砲撃戦仕様の機体なんですが……。


「とりあえず、簡易の飛び道具で1門だけだけど肩部砲を取り付けたから、それ撃ってみて」


 新田が肩部に急ピッチで搭載したという砲の試射の指示を出す。これが片側3門の搭載予定だ。バックパックとかもまだまだできてないし。俺が戦前に作っておいたゴーレム君用バズーカを口径調整して搭載したらしい。


「一応、OSで標準へのロックオン機能を付けておいたから。それが正常に機能してるか知りたいの」

『えーと、どこ?』

「左側の操縦桿の前側にあるボタンで敵の補足とロックオン……あ、ロックオンするまでは長押しして。そして、ロックオンしたらそのボタンをもう一度押すだけ」

「えーと、こうかな?」


 そういうと、カエデがその操作を始める。狙いはここから5キロほど離れたところにある岩山。しっかりと狙いを定めたカエデはトリガーを押したようで、肩にある門が火を噴く。姿勢制御用のバーニアが反動を支える音と同時に岩山が崩れる音が辺りに響く。


「こ……これはすごい威力だな……」

『これすごい! 本当にすごい! 飛び道具って結構ピーキーで当たらないってイメージがあるけど、これすぐに当たる!』


 コックピットの中でカエデが暴れているのだろうか、パワードスーツが変な動きをする。新田はその場でうんうんと頷いて、今までの苦労と、その成果を噛みしめているようだった。


  〇 〇 〇


「というわけで、OSの開発に成功したから急ピッチで店を作らなくてはいけなくなった」

「ほっほっほ、人気者はつらいってやつじゃの~」

「違うと思うぞ爺さん……」


 OSの実験をした翌日。俺は再びギルドにやってきた。土地はあっさりと手に入ったので、従業員の選考会をするというわけだ。元が人見知りな俺と爺さんが直接面接するという方式で決定する。


「俺の場合、とにかく信用するに値するかなんだが……それ以外の所は爺さんに任せるわ」

「信用できるかが一番大事なのでは?」

「まあ、そうだけどな」


 そんなことを言っていると、コンコンとノックがあり、入っていいですかという声がドアの外から聞こえてくる。


「どうぞ、お入りください」


 そういうと、1人の男性が入室してきて椅子に座る。うん、「失礼します」とあいさつしないで勝手に座ったから減点。


「では、面接を始めます。私はご存じかもしれないが商業部のモーガン、そしてこちらは今度開かれる店のオーナーのオオカワ殿だ。この2名で君の面接をする」

「は、了解しました」

「では、最初に志望動機を……」

「はい、俺は……」


 という面接をすること丸1日。100名以上を俺と爺さんでさばいたので、どちらもくたくただ。特に、爺さんは設問のほとんどを担当してもらったので、特に体力がないと思われる。


「は……ハハハ……大丈夫じゃ、面接には慣れとるわい……」

「いやいや、大丈夫じゃねぇだろ爺さん。目が死んでるぞ」


 結局、残ったのは100名中11名。とりあえず、最低限のマナーと常識があり、志望理由もはっきりしている11名を決めた。

 気になったのは、爺さんの勧めで1人追加した11人目の少女。12~3にもなっていなさそうな、ステフたちと同じ年頃の少女である。


「で、この11人目のどこが推せる理由なんだ?」

「ああ、言ってなかったか。このご時世で、王のスラム対策もあるからの。王国の商会や商店は商会なら10名、商店とかでも最低でも1名はスラムに住んでいる人物を普通賃金で採用しなければならないんじゃよ。まあ、個人経営店は除くんじゃが。おぬしの所は完全に個人経営店ではないしの」

「まあ、そこら辺はわかったが……身内ひいきじゃないだろうな」

「いや、完全な身内びいきじゃよ。彼女はまだ13じゃが、家のために働いてるんじゃよ……。わしにも孫がいるからのぉ……」

「あー、そういうこと? まあ、だったらいいが……」

「それに、結構可愛いから看板娘にすれば期待値大じゃ!」

「そっちが目的かよ!!!!!」


 俺はエロ爺さんの頭をはたくと、そのまま家に帰っていった。




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