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第79話 トラブル! and トラブル?

どうしてこうなった(タイトル)

「え? ギルドの跡地の建物を使いたい? いいんでないの?」

「んなあっさり……」


 俺はホーネストの部屋に入り、かくかくしかじか事情を説明したその瞬間に、ゴーサインをもらった。いともそれが当たり前のように、既に決めていたかのような即答だった。


「いやぁ、だってあれ解体するの面倒くさいじゃん? 金かかるし。だったら使えるなら使った方がいいし。リサイクルリサイクル」

「まあそっちがそれでいいんなら俺もそうさせてもらうが」


 なんだかなぁ……。俺はそうため息をつきながら部屋を後にした。


  〇 〇 〇


 俺がログハウスに戻ると、新田が玄関先で俺のことを待っていた。あれ…?俺また何かやっちゃった?

 おそるおそる近づいて行くと、新田が無言でPCを見せてきた。


「OS,できましたよ……」

「ああ、うん。なんで不機嫌なんだよ」

「気のせいです。最近忙しそうだから心配してるだけです」

「とてもそうとは思えんが」


 まあ、今はOSだ、OS。これだけ短期間で試作まで持っていけるところ、流石としかいいようがない。

 俺は早速地下の研究施設にそれを持ち込み、実験的な稼働をさせるために、OS制御をさせるための場所に設置・接続させる。


「配置完了。で、あとは無理やりテストパイロットにした赤坂が来れば完璧なんだが……?」

「赤坂ならシルクが少し借りたいって言ってきたのでOK出しましたが。また依頼を一緒にこなしたいそうで……」


 だろうよ! そんなことだろうと思った! いつも通り平常運転事故なしかよあいつらはッ! だが、困った。新田は今のところパワードスーツに乗せる予定はないし、俺は魔力が戻っていない。ステフやサリー、バーニーもいるが、全員パワードスーツを動かせるだけの魔力を持っていない。


「やれやれ……。困ったな~。これじゃあテストができない」

「そんな時はー、私の出番ですよ、心斗君!」


 そんな声が聞こえたかと思うと、突如天井の壁の一部分が床に落とされ、そこの穴から1人の少女が顔を出す。少しシノビ装束のようなものを着ているが、俺の呼び方、声からすると……。


「ああ、なんだカエデか。はあ!?」

「おっひさしぶり~! 一応、私もパワードスーツを動かせるだけの魔力を持ってるし、操縦技術もあるつもりだよ?」

「そうじゃないそうじゃないそうじゃない! なんで人の家の地下とはいえ、天井にお前がいるんだ! 家宅侵入罪だろこれ立派な!」

「なんですかそれ美味しいの?」

「あ……そうだった。ここ日本じゃなかった。とーにーかーく、なんで天井にいるんだよ」

「ダメですか? 私がいちゃ……」

「ダ・メ・だ!」


 カエデが天井から着地してそのまま接近してきて俺にそんなことを言ってきたが、俺は即答でノーサインを出す。当たり前だが、人の家に勝手に忍び込まれて愉快に思う者はいないだろう。


「なんでですか、ねー、なんで!?」

「いや、あのなぁ……しかも天井裏にはトラップしかけたはずなんだが……ネズミ型魔物対策に。あと対G装置も」

「あれ、とっても陰湿でしたよ~! トリモチを1mおきに隠して取り付けたり、ピアノ線があったり、もっといえばボタン1つで毒ガスが出るようになったり、隔離装置があったり……」


 天井裏の装置の数々をカエデが暴露している間、他の全員は同時に「うわぁ」という顔をする。頼む。頼むからその「こいつクズじゃん」という顔をやめてくれッ! 日本にいる時は逆に褒め言葉だったそれは、今の俺にはダメージが強すぎる。


「あと、人間対策か知りませんけど、侵入した瞬間、ハリセンでスパーンとやるのはほんっとに性格悪いですよ? 1時間くらいお尻痛かったんですから……」


それを聞いた他のみんなはさらに「ゴミだなこいつ」という目でこっちを見てくる。しょうがないじゃん! その一撃でGとかもちゃんと吹っ飛んでくれるから採用してるんだし!


「まあ、とりあえず。あの棒みたいなのがたくさん外に出てるパワードスーツに乗ればいいんでしょ? 任せて」

「あ、ああ……」


 結局、無理やり言いくるめられた俺は、しょうがなく実験用のモニターのところに行く。

 その過程で新田に「ちょっと」と呼び止められ、いったん外に出ざるを得なかった。

 結構わかりやすい殺気を出しまくる新田が怖い…。とりあえず、ここは嘘八百で乗り越えよう。


「先輩、あの子なんですか……」

「えと、何がだ?」

「だから、さっきのシノビ装束の子ですよ。なんですか、どこで知り合ったんですか? 結構親しそうでしたけどなにをどうしたんですか?」

「いや、普通に戦友といいますか……ええ。リースキット防衛線の時の援軍のドラゴンライダー…」

「へぇぇ……」

「いやなんだよその反応。俺がそうそう嘘つくと思うか?」

「ええ。今回のはあんまり頷けませんね。だって、先輩が他の女の子と仲良くなれるわけがないじゃないですか」


 あ、今なんか精神に大ダメージが。


「だいたい、ああいうのは先輩が一番煙たがって、逃げるタイプじゃないですか。そうですよね? 洗脳とかなにかされました?」


 失礼な! しょうがないだろ戦場だったからコミュニケーションとらなきゃだし! 確かに一番避けたいような性格だけど、どこか新田に通ずる雰囲気があるといいましょうか……。


「いや、しかも何気に似てるし、お前ら」

「そうですか? ああいうファッションビッチ系とはまた違うと思うんですけど」

「いや、あれはマシンガントークなくなって、人になつきやすくなった新田だな……。新田も慣れればとっても人懐っこいし、接し方がどっちも犬レベルでいいといいますか……ってか、犬レベルの人懐っこさだからなぁ」



 俺はそう自論展開する。最初こそ、やや遠慮がちだった新田は、1度だけの高校文化祭の時には既に、ものすごく懐かれていた気がする。警戒心のないトイプードルくらい。


 そんなことを言い終わり、うんうんと頷いていると、近くで魔力が流れていくのを感じた。

それに反応して顔を上げると、そこには赤面した新田が…。手には火球を作り、それをなおも増大させている。


「先輩ッ……私はその言葉許しませんよ?」

「待て待て待て! ここじゃだめ! ここは絶対にダメ! どうどうどう!」


『わが力よ……願いに応じ……』

「ニッタさぁぁぁぁん!!!」


 その後、怒り狂った大魔導士様を止めるのに他メンバー総出で1時間ほどかかり、俺はこっぴどく怒られた。


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