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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第4章 PC部員たち、戦争に巻き込まれる
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第71話 襲撃!

あとがきに、お知らせがあります。

「さて、クッ〇城に乗り込んだのはいいが」

「いやここは〇ッパ城じゃないです……」

 

 よかった。ちゃんとツッコミくれた。赤坂君ありがとう。心の中でそう思い、リラックスしようと試みる。

 相棒が城の中をある程度探索するまでは、身を潜めていることに決め込んだ俺たちは、近くにあった客間のような部屋に潜んでいた。

 周囲に人の気配がないが、油断はできない。緊張感が漂う部屋で、ステフは罠を仕掛けまくっている。サリーとバーニーはその手伝い。


「でも城レベルだから、ここに仕掛けても意味はないんだろうけど、あるに越したことはないだろ」


 軽くため息をつきながら、今後のプランを考える。重火器中心だから、屋内戦闘の基本は通用しないだろう。かといって、敵の本拠地だから各自散開というわけにもいかない。

最低でも、2人ずつ、計3組を作るか……。

 いや、祈祷の時雨はチームワークがいい。彼女ら3人は固めた方がいい。となると、3人2グループが最適。


「1つのグループが城で暴れて混乱させている間に、相手の頭を叩くのが普通だが……それじゃあ面白くない」

「面白くないと言っても、なにする気なんですか……」


 いっそのこと、シルクの精霊魔法でここを更地にするか。


「それだと新田死にますよ?」


 赤坂が俺の冗談に反応して、首筋に剣をあててくる。じょ、冗談だよ!本 気にするなって!


「ここはテンプレでいいから行った方がいいと思いますよ?」


 とシルク。やっぱそう思います?俺もそう思ってたところ、奇遇だね。


「あとは、相棒が戻ってくればよし。情報が整い次第、行動開始するかぁ」


 情報を制する者が、戦いを制するってね~。


  〇 〇 〇


 それから10分もしないうちに相棒が帰ってきた。足には映像を撮ってきたもの、口にはおそらく食堂でもらったと思われる食べ物。何やってるんだか、全く。


 俺は素早く映像を確認して、大体の構造を探る。その中で、引っかかったのは、ここから1つ下の階の、中央部分。周りのドアとは比べ物にならないところだ。そして、そこの廊下の左側だけがガラス張り。明らかにここが謁見の間に準じるところだろう。それに同じ3階の階段から4つ目の場所、多分会議室だ。他の部屋とは明らかに違う。

 1階に食堂、調理室。2階に応接間とかいろいろ。3階に本命の謁見の間(仮)。どう考えても暴れてもらう場所は1階しかない。


「じゃあ、祈祷の時雨は1階で派手に暴れる。んで、2階以降、誰にもこさせるな。その間に俺たちは謁見の間(仮)に侵入。新田がいれば取り返して離脱、いなければ罠を仕掛けて他の場所を探すとしよう。本命は謁見の間、その次が会議室だ」

「「「「「了解!」」」」」


 ドアから顔だけを出して、周りを確認する。やはり周りに人はいない。手で合図して、全員が外に出てから、俺たちは2手に分かれて行動を開始した。


  〇 〇 〇


「妙に人がいないな……。王がいるなら近衛兵の1つや2つ居てもいいはずだが……」

「確かにそうですね……。もしかしたら、俺たちがはめられた可能性も……」

「あり得るな。この戦力だ、おそらく簡単にケリをつけられるだろうが、状況によってはひとたまりもないな」


 まあ、そうなったらそうなったで策は考えてあるんだけどね。備えあれば憂いなしというものだ。


 周りに警戒しながらも、俺たちは悠々と3階中央の謁見の間と思われる場所に向かっていく。すると、少し前に10人規模の兵がこっちに来るのがわかった。ここは廊下だが、柱があり、隠れることはできる。


「柱にはひっつくなよ……どうせなんかいると思うし……」


 王国の城の柱という柱には斥候とか、日本で言うところの“忍者”みたいな者がいた。おそらくここもその可能性がある。


「くっくっく……痺れてもらおうそうしよう…【インビジブル】」


 俺は無詠唱で自分の姿を視認できなくする。さすがに赤坂たちにまで使うと、いくら魔力が有り余っていたとて、消費しすぎてしまうのだ。

 俺だけに【インビジブル】を使ったとわかった赤坂たちは近くの柱のそばでじっとしている。


 魔法でステルス化したので、堂々と俺は廊下の真ん中に陣取る。そして、有効射程圏内で、無詠唱でこのスキルを放つ。


「【エレクトリックフィールド】」

「「「「ぐえええええ!!!」」」」


 突然の電撃攻撃に、こっちに来た兵一行は感電して通路に倒れ伏した。


「ふぅ……」


 片付いたのを見た赤坂たちが隠れていた場所からこっちに向かってくる。その顔にはやはり「弱い者いじめはやめろ」と書かれている。


「まあ、そんな顔するなっての。とりあえず、こいつらの甲冑を使わせてもらおう」

「「うわぁ……」」


 今度は、声に出して「うわぁ」と言いやがった。おそらく、「一方的に蹂躙したうえで、さらに身ぐるみを剥ぐのか」という顔だ。しょうがないだろ、さすがに。


「私、サイズ合うかどうかわからないですよ?」

「それでもいいからさっさとしろ!」


 シルクの言い分はほぼスルーして、さっさと鎧を身に着けさせる。俺は着てもどうせ謎のオーラでばれてしまうので着ない。

 ただ、【インビジブル】でオーラごと姿は消えたので、襲撃前はこれを駆使していこうと思う。


 そして、それから大した障害もなく、俺たちは本命の謁見の間にたどり着いた。

 ただただでかいドアには、竜が天に昇っていくようなものがあしらわれていた。

 悪趣味だな。


「じゃあ、入るぞ。あくまでも伝令に化けろ。当たりだったら、合図した瞬間に蹴散らすぞ」

「「了解……」」

「んじゃ、再び【インビジブル】っと……」


 俺が再び【インビジブル】で姿を消したのを確認した赤坂が、謁見の間のドアを開く。


「……ビンゴ」


 謁見の間の中には、近衛騎士と思われる一団が陣取っていた。豪華な見た目、黒で統一された鎧。中にはゴリラみたいな巨体までいる。


「お前は……伝令か?」

「え。あ、はいそうです。公王に状況報告に参りました」

「ふつうは宰相に報告した方がいいと思うが。まあ、いい」


 赤坂が戸惑いながらも応答している。その間に俺は【フライ】で少し上空に出て、王座の方面を見てみる。

 そこには、にっくきグランツ公王、その隣に宰相なる人物がいて、その反対側では、「とある人物」がまったりと読書をしていた。


「あいつ……ふざけんな……!」


 そう、そこで呑気に読書をしていたのは新田。捕虜扱いだからもっと縄とかに縛られてると思ったが、それは違うようだ。

 おそらく、自分の実力を見せつけて、「逃げないから変に拘束しないでね」的なことをしたのだろう。

 いくら新田とは言え、ここに残っていた40万の兵からは逃げられない。つまりは、俺たちが来るまではゆっくりまったりすごしていようそうしようということか……!

 こっちは命を賭して戦ってきたというのに……こいつは……こいつだけは!


 新田に対する殺意がじわじわと湧いて来たと同時に、オーラのようなものがどんどん膨張していっている。このままだと【インビジブル】が役立たなくなる。

 そう予想した俺はなるべく気持ちを落ち着かせるように努力する。


「赤坂、シルク……3・2・1でやるぞ」

「「はい……」」


 やり取りしている赤坂と、隣でボケーとしているシルクに耳打ちする。あとは、襲撃のチャンスを待つ。


 それから30秒もしたころ、1人の兵士があくびをした。それに続いて、3,4人の集中力が切れた。

 ……今がチャンスだ。


「3.2.1……」


 俺はカウントを開始する。2人は気づかれないように臨戦態勢を整えていく。


「……GO!」

「はあああ!」


 号令と同時にシルクが一歩後退し、赤坂がやり取りをしていたものを居合斬りの要領で斬る。


「な、なんだ!?」

「なにごとだ!」


 当然、現場は混乱に陥った。突然、伝令と思われていた兵に斬られたのだ。


 俺はその場で【インビジブル】を解除しながら、バズーカで奥の2名を吹っ飛ばし、シルクが持っていた剣を無理やり奪い取り、【フライ】で低空飛行しながら次々と斬っていく。


「くそ!」


 やけくそになった近衛騎士の1人が俺に剣を振り下ろしてくるが、それは当たらない。そのまま、兜と鎧の隙間に刃を入れて、その引っかかりを利用して首筋を切り開きながら近くにいた騎士を蹴り倒す。

 使い終わった剣を投げ捨て、今度はバズーカを構えて天井の方面に向かう。


「……【爆雷雨】」


 両肩のバズーカから放たれた2つの砲弾は分裂して広範囲に爆風と爆炎をまき散らす。


「ちょっと先輩! 俺も巻き込まれてるんですけど! 死ぬわ!!」


 赤坂が苦情を言ってきたが知ったこっちゃない。お仕事優先だ。

 今の爆撃で相当な数がダウンした。立っているのはあと2人。


「【ソードビット】」


 唱えたと同時に、6本の小型ナイフが飛んでいく。2人は最初こそはじき返していたが、上下左右を使うオールレンジに対応できずに、倒れていく。


 ……これで、あとはボスだけだ。



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