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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第4章 PC部員たち、戦争に巻き込まれる
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第70話 帝国騎士団攻略戦!

 自分たちが罠に引っかかり、その間に後衛を殲滅させられたとあらば、騎士にとって、これほど屈辱的なことがあるだろうか。後ろにいる人を、民を、民衆を守りながら戦うのが騎士だ。その屈辱を味わった帝国騎士がこちらに向かって真っすぐ突撃してくる。


 俺はすぐさま考えてあった通りの指示を出す。その指示を聞いた諸侯と俺と赤坂の手勢が協力して一つの陣形を作り出す。


「全軍、突撃準備完了!」

「王国騎士団、突撃!!」

「「「「おおおおおおお!!」」」」


 俺の号令とともに全軍が向かってくる帝国騎士の群れに突進していく。先頭には自ら諸侯が立ち、その後ろをその重臣が固める。その後ろに騎兵が集まり、歩兵騎士が走っていき、弓隊も走る。魔導士隊はその場に残るも、すぐに詠唱を始める。


「かかれぇぇぇ!!」

「けちらせぇぇぇ!!」


 両軍の先頭がついに衝突する。素早く敵軍に突っ込んでいった諸侯の1人に続き、次々と騎士たちが突入していく。

 そして、一撃を浴びせた者から、討ち損じても左右に分かれて離脱していく。一撃に集中した騎士たちはどんどん精密な攻撃を騎兵に、歩兵に浴びせて、離脱する。それの速さに対応できない帝国騎士。

 しんがりを務めた赤坂が離脱する。

 その一撃でやっと騎士の突撃が終わったとため息をつく帝国騎士に向かって、俺は突撃する。【フライ】を用い、軍医に治してもらった左肩含めて両肩にバズーカを構えて、だ。


「つ、次はなんだ!?」

「変なオーラを持った悪魔みたいなのが突っ込んでくるぞ!」

「全員防衛態勢に入れ!」


 そんなことをしても無駄だと心の中で言いながら、バズーカの弾に魔力を込める。


「【爆雷雨】」


 持っていた2つの砲門が火を噴き、マイクロミサイルも全弾が敵に向かって突進していく。

 【爆雷雨】で弾が分裂し、敵にあたる前に左上に上昇する軌道を取る。戦闘機をモデルとした一撃離脱というわけだ。

 離脱して高度を上げた瞬間に辺り一帯に爆炎が立ち上り、衝撃波が地平線を走る。これはオーバーキルだったようだ。


 それでもまだまだ敵兵はいる。そのような者に対しては、中距離から弓隊による本気の矢が襲ってくる。今までは騎士隊の離脱への援護射撃に務めていた彼らの溜まっていたストレスが一気に解き放たれる。地味な活躍じゃなく、堂々と真正面から敵兵を撃ちぬけることに張り切る弓隊はどんどんと敵兵に矢を命中させていく。


 そして、ある程度距離を詰められたら……。


「ひ……龍……!」

「青龍だと……!」

「神話の住人が、どうして敵になんか」


 青龍とそれに乗ったカエデが、弓隊の前に降り立ち、青龍はブレスで敵を薙ぎ払い、カエデは青龍から降りて、敵陣に侵入。持っていた剣を二刀流にして、走るスピードに合わせて剣を振るい、倒していく。

 青龍がブレスを撃ち終わったと同時に低空飛行で剣を振るい終わったカエデを回収して大空へと舞い上がる。


 その次に襲ってきたのは、魔法。火の玉に水の玉。基本の6属性の魔法が無秩序に弾幕を作り、近づけさせない。

 それに加え、弾幕を張りながら何回か戦略魔法を使い、追い詰める。この時点で、敵の騎士団は壊滅状態にある。


 そして、撤退し始めた彼らは、ラスボスを見ることになる。

 逃げた先にいたのは、グランツ城もかくやという高さを持った巨大ゴーレムに加えて,、王国の従属魔獣たち、そして待機中それと戯れていた参加最年少の『祈祷の時雨』。


「ひ……ひぃ!」

「に、逃げろ! こっちだ!」

 

 そんな騎士には容赦なくゴーレムの腕が振り下ろされ、魔獣たちが噛み殺す。

 祈祷の時雨は従属魔獣がやられないような立ち回りを見せ、最終的には……。


「じゃあ、とどめのミサイルランチャーだよ!」

『ギ……!』


 ゴーレムは、ステフのわがままで持たされている携行式のミサイルランチャーを構えて、逃げていた騎士に命中させる。


 その瞬間、帝都防衛の任についていた40万は、全滅した。


  〇 〇 〇


 グランツ帝国の帝都の空は、紫だった。なんでも、この地域の上空は魔力が集まりやすいとかで、ちゃんとした“晴れ”になることは、ほとんどないという。

 その市街地はやはり中央になっていくにつれて豪華になっている。リースキット王国と同じ首都の造りは、昔、この一帯に広がっていた文明が開発したもので、今でもその造りが受け継がれているとのこと。

 現在、俺は帝都中心にあるグランツ城の目の前にいる。俺についてきたのは赤坂と祈祷の時雨、シルク、あとはステフのゴーレム。帝都に侵入してから擬態させながらここまでやってきた。

他の兵士たちは、町中にいる騎士を打ち取るか、巡回をしている。略奪は禁止しているし、スラムの方には行かせていない。


 そっちは各諸侯がやっているからいいとして。まずは目の前のことを片付けなければいけない。現実逃避している暇はない。


「なんですかこれ……」


 赤坂がボソッとつぶやく。俺もそうしたい。

 目の前にはメカみたいなものが地面を這いずり回っていて、試しにコップを投げてみたところ、それにメカたちが集結して一斉攻撃を開始していた。お掃除ロボットなのか防衛用のメカなのかわからない。


「ステフ、これわかるか?」


 とりあえず機械ものに詳しいステフに振ってみる。もしかしたらわかるかもしれない。


「う~ん……一匹捕獲してくれればわかると思うけど……。見た感じパワードローターの発展版かなぁ……」

「パワードローター?」

「うん。人間が搭乗するパワードスーツを魔力制御で自動化したもの。パワードスーツよりも安価で製造できるけど、命令系統が複雑で、命令に従わないこともあるからめったに採用されないんだよ。でも、“城に入ってきた味方じゃないものを排除せよ”くらいならできるかも。城に入る時に特定の物を付けさせれば可能だし……」


 なるほど。つまり、あれは機械ということだ。魔力制御だからハッキングは不可。でも、弱点はわかった。


「ステフ、爆弾持ってる?」

「地雷ならまだ30個くらいは持ってるよ?」

「じゃ、バーニーとサリーも手伝って。城の中に入ったら、走り回って。これを地面に置いて、退避」

「「はーい!」」

「赤坂とシルクは、俺についてこい」

「「はい」」


 指示を終えると、【フライ】を使って、赤坂とシルクにも範囲を伸ばして宙に浮く。それと同時にサリーを先頭に『祈祷の時雨』が中に突入していく。


 指示通りに走り回っては地雷を置いて、離脱するのがわかった。俺は城の4階まで登って、窓を破壊 してシルクと赤坂に周囲の制圧を頼んでから、3人を回収する。


「ししょー、やっぱパワードローターだった。でも意図的に魔物化させてる。だから城の防衛させれてるんだよ」

「なるほど……仕組みはわかりやすいように言えばうちのお掃除ロボ1号と同じか」


 最近、あいつの感情表現が豊かになっているんだが。あいつ、機械だよなっていつも思っている。

 後ろから爆発音が聞こえる。どうやら、地雷に攻撃を仕掛けて、爆弾が爆発したらしい。

 後ろを振り返れば、爆発したパワードローターから近くのパワードローターへという形で誘爆を引き起こしている。どうやら爆発物を使って正解だったようだ。


全員が3階についたところで、赤坂が周囲の構造を話す。

 

「でかすぎてどこに何があるかわからないです。だから新田だけかっさらって逃げることは無理っぽいです」

「ふむ……まず相棒に探索してもらうとするか」

『ギュイ?』

「わかった! あとでうまいもん作ってやるよ」

『ギュイ!』


 なんとかゴーレムを納得させて、城の探索に行かせる。


 ……あれ? ステフのゴーレムを連れてきた意味ないじゃん。


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