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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第4章 PC部員たち、戦争に巻き込まれる
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第66話 トラブルと救援!

              ー大川sideー

 

「にゃ~……」

「ご苦労。これでちゃんと届いたはずだ」


 目の前で魔力を使い切ったオペ子がK.Oされて倒れこむ。


 第4陣を待ち構えるか、討って出るかを悩んでいたころ、赤坂率いる4番隊の4万が敵の第4陣に奇襲攻撃をかけたと知ったときは肋骨から心臓が飛び出ると思った。何やってんだあのバカとも思ったが、実はそれが正解と思ったのは今から20分ほど前、飛竜部隊がこちらに飛来した時だ。

 現在、この塹壕地帯にいるのは7万の兵。騎士などは敵のブレスなどから塹壕を守る役目を持つ。それ以外の弓隊と魔導士はどんどん狙撃をしてもらう。塹壕の対空戦など所詮このくらいしかできない。現代みたいにライフルがあるわけでもなし、大砲もなし。先ほどから俺も指令など放棄してログハウス屋上から「狙い撃つぜ!」をやっているが、いまだに10体も堕とせていない。というのも、飛竜なのにうろこが固いのだ。反則だ! チートだ! と言いたいところだが、今は我慢する。


「うぬ……やはりこっちじゃないとダメか……」


 俺はそう言いながら、屋上の隠しボタンに手を出す。

 実はこのログハウス、ただの住環境を良くしただけのものではない。そこら辺の王城にも負けないくらいの防護用兵器を含めた近代兵器を多数搭載してある次世代ハイブリッドぼ……じゃなくて次世代ハイブリッド型要塞なのだ。なので、砲門の1つや2つくらい……。


「ぽちっとな……」


 屋上へと続く階段の壁にあるボタンを押す。ここのボタンからは固定式の75mm無反動砲がでるはず。

 土台が木製だから壊れると思うが、材質はこの世界特有の超軽量合金。強度も十分。だから75mmでも70kg前後しかないし、ログハウスもかなり頑丈なつくりをしてるから大丈夫というわけだ。持ち運びするときは砲台は付与した【チェンジマテリアル】により資材を強化してまとめるジョイントになるのだ。


「あれ? 出ないな……あれ?」


 何度もボタンを押しても、中から砲台がせり出してこない。くそ、こんな時に。リフトアップする機構のどこかに不具合が起きたのか? 廃熱処理は完璧なはずだが。


「とりあえず、急ピッチで見て回るか」


 そういいながら、階段を下りて、最初に砲台を収納している地下に向かう。そこにリフトアップ機構の支点がある。


「持ち手が熱い。廃熱処理が追い付いてないのか。だったらまずは廃熱処理機構をなんとかしないと」

 

 素早く地下室の換気口から【フリーズ】で冷やして、再び中に入る。今度は大丈夫のようだ。

 大急ぎで75mm無反動砲のところに駆け寄る。砲自体は無傷。だったらと思い、支点を見てみるが、こちらも異常がない。


「じゃあなんだ? もう一回やってみるか」


 異常が無いならいけるはずと思い、もう一度ボタンを押してみる。やはり出てこない。


「だったらどこだ……」


 これだけやって出ないということは、絶対にどこか壊れている。戦闘中だから時間がない。

 5分で終わらせよう。

 

 大急ぎで今度は1階の機構を確認。うん、問題なし。今度は2階だ。1階から地下、1階から2階も問題はない。だったら……2階から屋上が怪しい。


 そして、2階から屋上への機構があるのは新田の部屋。あいつの部屋を掃除するときに俺がこっそり作業して追加したのだが……。


 俺は中に入り、真っ先に部屋に敷いてあるカーペットをはがし部屋の3分の1あるマス目を左に開けようとしたのだが……。


「開かない……」


 今度はもっと強くやってみる。やはり開かない。なぜだ、なぜ開かない!

 俺は部屋の中をまるでGのように這いずり回ってどこがダメなのかを確認して回る。

 そして、1つだけ、それらしきものを見つけた。そこには、いかにも“あれ”された跡が。


 つまるところ……。


「あの野郎! いつの間に機構の通り道を溶接しやがったな! ということは上も……」


 予想通りに溶接されている。これでは使えません。勝手につけた俺も俺だが、人の武器の通り道を溶接してくれないでほしい。


「今は【フリーズ】の使い過ぎで魔力を消費したくない……【フライ】に充てたい」


 つまり、無反動砲は使えない。まさか身内に首を絞められる羽目になろうとはっ!

 少しムカつきながら俺は司令部に戻り、状況を確認。塹壕はまだまだ大丈夫だが、騎士への被害が多いという。俺は状況によっては魔法結界でなんとかするように言い、速攻でインカムを作り上げ、バズーカや剣を持って【フライ】発動。巡航18ノットを守りながら飛竜部隊に向かって飛び立つ。

 ここからはインカムで作戦指揮しながら戦闘という難しいことをしなければならない。

 ……気を引き締めていこう。


  〇 〇 〇


「くおらぁ」

「ぐあああぁぁ!」


 身をひねらせて素早く横に回り込みトリガーを引く。発射された弾は飛竜の翼をもぎ取りながら操縦者を直撃する。

 今度は後ろから来る飛竜にカウンターを仕掛け、操縦者を蹴飛ばして地面に落下させてから飛竜の羽の付け根に剣を突き立てて麻痺させて撃墜する。

 撃墜した飛竜がブレスを撃たないように一部の魔導士などが状態異常を付与する魔法を放つ。弓隊は塹壕から操縦者のみを狙う。


 これが、指示した対空戦闘だ。飛竜自体をコントロールしているのがライダー…操縦者なら、その命令系統根本から断ち切ればよくね? という考えからだ。それで飛竜がブレス放つようなら撃墜したのを誰かが抑えればええやん、というわけで状態異常使える魔導士がやっている。

 だが、キリがない。撃ち落としても撃ち落としてもまだまだ飛竜の群れがいる。

 今、ステフ&ゴーレム君に救援を要請しているが、なんと沼地に足を取られたとかで到着が遅れている。ステフだけでも来たらいいと思ったが。

 バーニーとサリーは第4陣の救援に向かってもらった。


『指令室から全軍へ! 現在少数ですが第2波接近中! 数65!』


 赤坂たちがある程度抑えてくれたのだろうが、それでも65体もこられたらたまったもんじゃない。


「ステフ&ゴーレムはまだ来ないのか!?」

『現在救助隊を向かわせてますが、ゴーレムの足に粘着力の強いヘドロがついていて、苦戦中とのことです!』

「シルクはまだ起きないのか!?」

『現在も意識がない状況です!』


 つまるところ援軍は望めない。今も2体の飛竜を撃墜させたが、数が減ったようには思えない。


「ぐっ!?」


 左肩に鋭い衝撃を感じたと思ったら、衝撃を感じた方向とは逆の方向に慣性の法則通り吹っ飛ばされる。

 すぐ真上を飛竜が飛んでいく。


「くそっ……」


 左肩を上げようとしたら鋭い痛みが走る。見れば、肩は大きく抉られていた。神経や骨こそ大丈夫なようだが、かなり痛い。


「【ヒール】っ!」


 肩に【ヒール】をかけ、焼けるような痛みを発する左肩にかけると、少し痛みは和らいだが、治療にはなってないし、肩もあげれない。


「くっ……」


 残った右肩のバズーカで狙いを定めてまた一人に直撃させて飛竜も撃ち落とす。

 ……だが、目がかすんできた。魔力切れではない。魔力はまだ全体の6分の1は残っている。

 つまり、体力の限界。今まで根性で何とかやっていたが、それのツケがここで来るとは。

 ダメだ、ここで落ちては。また誰かに迷惑をかける。今度は人の命がかかっている。

 気合いだ……馬鹿だろうと根性論で今まで何とかしてきたんだ……まだやれる、まだ……。


『し、司令部から総司令へ!』

「な、なんだ!?」


 意識が吹っ飛びかけた瞬間に、司令部から通信が入る。この声だと、ボードから3番目のオペ子だな。


『げ、現在王都方面から急速に何かが接近中!』

「どっからの情報だ!?」

『帰還中の偵察隊です。あと2分もないうちにこの戦闘区域に入ります!』

「なんだと!?」


 俺は態勢を立て直して、敵からの攻撃を避けながら王都方面の空を見て考える。


 ミサイル、なわけないか。国王……だったら国王は人間じゃない。パワードスーツ……は飛べないし。ガ〇ダム……も大気圏内飛行能力はないはずだ。まさかブースター搭載したラ〇ュタ!? ありえる、ここ異世界だから。それとも英〇機とか?


 そんなバカみたいでわりとまじめな予想をしていると、すぐに地平線に一つの物体が現れた。そのシルエットはどんどんでかくなる。


「あれは……龍!?」


 敵か!? いや龍の時点で敵だ。おそらくは飛竜部隊の指揮官的な。やばいな。


『ほ、本国から入電! 現在接近中のドラゴンライダーは王国所属の援軍! 繰り返します! 現在接近中のドラゴンライダーは王国所属の援軍です!』

「援軍!?」


 待て待て待て。どこからドラゴンが出てきた。確か王国にドラゴンライダーは所属していなかったはずだ。

 そんな混乱など知らないだろうドラゴンライダーはどんどん近づいてきて。徐々にその姿がわかるように……。


 ……と思った瞬間に、なぜか俺は何かにつかまれた。例の接近していたドラゴンの手に一瞬で掴まれた。


「え、ちょ……」


 怪我しているところが痛いんですけど。頑張って【ヒール】かけて粘っているけど、痛いんですけど。


「なんてことしやがる……」


 と思いながら、俺のことを掴んだドラゴンを見てみる。きれいな鱗にどでかいしっぽ。そして、青い体色とくれば…。思い当たるのは一匹しか。


『やあ、元気~?』


 やはり青龍村の青龍だった。いつになくウロコの光沢がきれいに太陽の光を反射している。

どうせ出撃前に青龍村の人が喜んで磨いたのか、磨かせたのだろう。

 そして、ライダーと言ってたんだから、当然操っているのがいるはず。これで皇太子とか言ったらぶん殴るけど。


 と思って龍の背中を首を回して見たら、そこには少女が乗っていた。なんです、つまりはお姫様ですか?


「そんなんじゃありません。パ……いえ、オオカワ総司令」

「今、パって言った?」

「濁点の間違いです。発音悪くてすいません」

「つまりバカ!? BAKAって言いたいのか!? 俺ってそこまでB・A・K・Aか!?」

「ええ、まあ。だって飛竜撃ち落とさずにそれ奪えばいいだけじゃないですか」


あ……。しまった! そういう考えがあるのか! なるほど、確かにBAKAだ!


「まあ、それはいいとして。お疲れ様です。あとは私とこの子に任せてください」

『任せてね~♪』


 いや、青龍手懐けて、しかも「この子」呼ばわりとは。結構やばい人?


「ああ、自己紹介遅れましたね。私はカエデ……はい、カエデです。リースキット王国軍情報部の人間です。よろしくお願いしますね」


 ……またやばい人が現れた気がする。

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