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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第3章 PC部員たち、社会の上下関係に巻き込まれる
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第51話 恐れていたこと

3章も終盤です!

「ふああああああああ」

「おわりましたねぇ」

「ヘトヘトだよね~」


 無事に青龍祭りは終了。少々…いや、結構なトラブルがあったが無事に終わらせることができた。

具体的には、初日の大陸マフィア共が本格的に動き出して、それを捕縛することに始まり、町のチンピラ共の抗争を弾圧し、酔っ払った客同士のいざこざを止めたり。

 あれ? ほんとどけんかの仲裁しかしてない?

 それは街の警備に行っていた時だけで、あとは休憩時間を除いてずっと屋台にいた。

 焼きそばパンともんじゃ焼きは物珍しさも手伝ってか、それはそれは飛ぶように売れていった。途中で買い出しを何回したことか。ちなみに、俺はこれから会計作業が入るのだ。面倒くさい。


「はぁ……」


 俺はこれから待つもっともだるい仕事のことを思い出して深くため息をつく。会計が一番大事な仕事だが、一番面倒くさい仕事ということを俺はよーく知っている。


「先輩……気持ちはわかりますが体からオーラ出さないでくださいよ……」

「出てるわけが…ってなんか出てる!?」


 よくよく見ると、俺の周りを紫色のオーラが漂っている。それはどんどんと周りに拡散していって……どうやって止めるんだ、これ。


「ししょー…それはスキル【ネガティブオーラ】だよ…ネガティブな感情をいつも持っている人間が覚えやすいスキル…」


 へー、まさに俺が覚えやすいスキルだなぁ。それで? どんな効果があるんだ?


「あーうん。相手の感情をネガティブ思考にする的な。他にも不幸の象徴とされるスキルだからあんまり人が近寄ってこなくなるって効果もある…」

「へー、そりゃあ使わない方がいいな…」


 スキルが増えるのは戦略の幅が広がるということだが、覚えちゃいけないスキルや魔法もある。今回の場合、【ネガティブオーラ】はそれに該当するということだ。


「と、とりあえず俺はまた今から頑張るさ……ハハッ」

「せ、先輩…あれなら代わりますよ?」

「いやいや新田君、大丈夫さ。ブラックには慣れとる」


 再び俺は【ネガティブオーラ】をまとい、宿の中に入り。飯も食べずにずっと会計作業を続けていくのだった。


  〇 〇 〇


 翌日。寝不足の俺は2人を連れてフラフラ飛行でシュベルツィアに帰還する。すぐにログハウスに帰って爆睡したいところだが、今回の成果を俺直々にホーネストに報告しなければいけないのだ。これほど面倒くさいことはあるだろうか、いや、ないだろう。


「あ、そうだ先輩」


 エルフの大森林とは正反対にアル関所から久しぶりにシュベルツィアの街に入る。そしてマーケットに差し掛かったところで新田が声を上げる。なんだ?


「実は、ここからちょっと行った魔法具屋さんに発注していたものがあるんですよ。なんでも魔法の威力を上げることができる特殊な金属が使われてるとか何とかで。少し値は張りましたが、入手できるんです!」


 そういえばこの前「かなりいい武器が手に入ったんですよ!」と目を輝かせて言っていたような…うん。

 実質高校2年生の女子(一応)が目を輝かせて言うことじゃねぇな。「魔法の威力あがるんですよ! これでどんな魔物も魔獣もイチコロです!」なんて言ってるのはおかしすぎる。どんな奴だ。


「じゃあ、私は発注したの取りに行きますから。報告終わったら迎えに来てくださいよ。多分試し打ちとかしてると思うので」

「はいはい。俺はどうせアッシー君だよ」


 移動できる便利な魔法持ってて、いつも助けてもらってるから、それくらいの義務は発生するけども……。

 あ、いけね。あれを言っておかなきゃ。


「おーい、新田! 最近情勢が不安定だから気を付けてくれよ~!」

「わかってます! もう子供じゃないんですからそんなことくらい!」


 いやいやいや、君はまだ子供だろ。17歳がよく言う。

 そんなことを思いながらこっちはこっちでギルドへと向かう。


「ねーししょー……情勢悪いってどういうこと?」

「ああ。最近またグランツ帝国が攻めてきただろ?そんで、こっちの男爵令嬢もなんかありそうだって言ってたから独自に調査してたら、この国に攻め入るようなことを言ってたんだよな~」


 おそらく、今王国に攻め込む時に最も邪魔になるのは、多分俺だろう。本当はかなり弱いんだが、なにせ英雄“とかって呼ばれちゃってるからな……。


「なるほどね~、それでもし暗殺で狙うとしたらししょーと、その仲間たちっと」

「そういうこと」


 赤坂は頑丈だからいいとして。一番防具が少なくてお手頃なのが新田なのだ。長距離から矢を撃てば一発。ナイフで近接戦闘でも一発。攻撃はいいが紙耐久なんだよな。

 そんなことを思いながら俺はギルドに続く道の最後の角を曲がって、いつもの入り口から中にはいる。

 そして、ホーネストの所に通してもらうためにいつものカウンターでいつもの受付嬢に取次ぎ頼む。


「それにしても早かったですね…確か青龍祭りは昨日だったはず……」

「ししょーは【フライ】で森の“上空”を飛んでけるからね~。半日もあれば着くのだよ!」


 何故かステフが自慢をしながら胸を張る。なんでお前が自慢をしている。


「ま、それはいいですよ……英雄には常識は通用しませんから」


 受付嬢はさぞ当たり前のようなことのように応対を続けている。なんか目が死んでいたが。


「ったく、俺を何だと思ってるんだ」

「ただの非常識の塊じゃないの?」

「今すぐ謝れ!」


 ステフの俺に対しての評価にすぐにツッコミを入れ、受付嬢が取次ぎをしてくれたので、俺とステフは執務室に入っていった。


  〇 〇 〇


「ふむふむ……む~ん……」


 いつぞやの時と同じように、おっさんが目の前で書類を見ながら唸り声をあげている。


「わからん」

「いや、こっちがわからねぇから!」


 どこがどうおかしいかがわからん! 一人で唸られても困るんだよ!


「なんでこんなに売り上げが…21万3262ゴルドだとぉ? このギルドの予算の10分の1くらいの金額をどうやって……」


 え? なに、ギルドの予算ってたかが210万程度なの? うちの学校の予算1億とかあったんだけど。


「ししょー……ギルドは基本的に国からの補助金もあるし、冒険者が持ち込んだ素材を打ってるからそっちで儲かってるんだよ」


 なるほど。言われてみれば土地とかを打ってるのもギルドだよなぁ。


「いいだろう、依頼達成だ。報酬も弾むぞ」

「やったー!」

「ふぅ…ブラックから解放される……」


 ホーネストが印を押して、今回の青龍関連の騒動はお開きになった。もうあのドM龍の話し相手しなくていいと思うと、一気に疲れが出てきた。


「帰って……寝よう」


 今朝方まで会計をしていた俺はもはや虫の息である。飯なんていらないからさっさと寝たい。

 そういえば…もう1つ。これを言っておいた方が…


「そういえば、お隣が攻め込んでくる可能性がある」

「ん?」


 そう俺が言いかけた時。下からバタバタと音がして。やがて1人の王国騎士の漬けるよ鎧をつけた男が息を切らせながら入室してきた。


「何事だ!」

「も、申し上げます! グランツ帝国が我らがリースキット王国に宣戦布告! 隣接していたマードック伯爵が寝返りました! そして……ニッタ・アカリなる人物を人質にしたと……!」


 なんだって!?


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