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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第3章 PC部員たち、社会の上下関係に巻き込まれる
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第49話 本当の仕事 3

本日2話投稿の1話目です!

「ああああ! おいしい! なにこれ! 世界遺産!? 食べる国宝!?」

「相変わらず焼き加減がいいというかなんというか……」


 命の危険を感じたので、早速俺はもんじゃ焼きの試作品を作った(宿屋のキッチン借りた)。

 そしてステフと新田に食わせてみたところ、このような感想が帰ってきた。

 ふむ、どうやら汁も小麦粉の分量も覚えていた量で問題なかったらしい。ちなみに食べる国宝はハンガリーにある。


「これだよししょー! これ! これだそうよ! 絶対一番人気になって倍率1.1倍だよ!」

「どっから競馬が出てきた!?」


 ステフは興奮しながら残りのもんじゃ焼きを食い漁りながら、そんなことを言ってくる。

 確かに、このもんじゃ焼きはいろんな具材を使用するため、レパートリーが多く飽きにくい。

 それに調理も1つ5分程度だ。屋台料理としてはとてもいい調理時間だ。

 だが、問題は冷めたら美味しくないということ、1つを作るのに鉄板のスペースが必要な事(同時にやっても3つが限界)、そして、ながら食いをしにくい事。

 特に同時調理可能数の欠点が大きい。現に焼きそばとかも、同時に10人くらい作れるではないか。技量も必要だけど。

 ……そう考えると誰でもそれなりのが作れるこれは効率がいいのだろうか。


「先輩。言わせていただきますが、あったかさなら渡すときに火魔法でこっそり加熱すればいいじゃないですか」

「あ、なるほど! その手があった!」


 すっかり忘れていたことその1。ここは異世界、ここは異世界。魔法と剣の世界。物を温める火魔法も存在する。

 つまり、作り置きが可能!


「問題は、ながら食いできないってところなんだよな~」


 基本、屋台の飲食物はいかに「軽く」、「持ち運びしやすく」、「リーズナブル」かが問われる。

値段はあるものでなんとかなるからそれなりに安くできる。軽いとまではいかないが、少し食べ応えのある物が食べたいときにはもってこい、物珍しさもOK。

 あとは……。


「先輩。もういっそのこと容れ物は焼きそばと同じやつでいいんじゃないですか? あとは使い捨てのスプーンでも作れば……」

「ぬーん……確かにお好み焼きも同じ容器だった気がしなくもない」


 俺が目にしたのは馬鹿みたいにブランド肉を使ったお好み焼きだったが……。

 そう考えれば持ち運びも解決か。


「じゃあ、それで行くとするか」


 作る料理も決まり、問題も解決した。あとは調理器具が揃うのを待つだけになり……。


 暇に逆戻りした。


  〇 〇 〇

 

 それから調理器具が到着するのを待つこと約3日。ようやく王都を経由してやってきたシュベルツィアギルドの調理器具配送部隊が青龍村に現れた。


 そして、現れたのはもう一羽。


「お、相棒帰ってきたのか」

『ギュ……』


 実は、俺たちが青龍村へ移動する際に相棒にはとある調べ物をさせていたのだ。


『ギュイ』


 相棒はすぐに荷台に隠されていた映像水晶を取り出して、俺に渡してくる。そのまま頭の上で寝息を立て始めて……って今から寝るか!


「とりあえず、これは後で解析するとして」


 俺はさっさと調理器具を点検していく。

 あるのは鉄板(BBで使うような奴)に移動式の石窯のような機械、ヘラ、包丁等々。

 石窯みたいなのもあるのか。これには恐れ入ったな。

 つまりはパンも作れるということか。ならば……。


「おい新田。これ焼きそばパンもいけるよな?」

「ええ、行けると思いますよ? もっとも、私は作れませんけどね」


 未だに俺より料理が下手なのがコンプレックスである新田は、こういう時だけ態度が冷たい。いや、実際に作らせてみたら俺よりも味がよかったんだけどな。


「どうせ! どうせ私は料理下手ですよ!」

「いや、だから大丈夫だっつーの!」


 こういうときだけすぐに感情的になる新田をなだめながら、さっさと調理器具を組み立てていく。

 その日のうちに調理器具は完成して、明日の食料調達を残すのみとなった。


  〇 〇 〇


 その日の夜。俺は相棒が持ってきた映像水晶の解析を進めていた。


『また領主様はグランツに行ったの?』

『いったい何をするつもりなんだろうね?』


 やはりグランツとの国境に面している伯爵家はあちらとつながりを持っているらしい。

 予想通りだ。

 つぎに移った映像には、その伯爵と誰かが密談している映像だった。身なり滑降から相手も貴族かそれ以上の立場の者と思われる。


『……やはり邪魔だ』

『こいつは数でどうにかなるが、英雄は……』


 2人は、2つの水晶を見比べながら、なにが邪魔だ、ここはこうした方がいいなどと話し合っているではないか。


「……これは」


 どう判断するべきなのだろうか。内密につながっていて、伯爵は反乱を起こす予兆なのだろうか。

 いずれにせよ、よからぬことが起きようとしているのは間違いないな。


『……!』

『だから……奪えれば』


 彼らの話題はだんだんと絞られて行っている。前の会話を踏まえれば、その人物をいかにして打ち倒すかということらしい。


『“英雄”がいなくなれば、この作戦は成功する。確実に仕留めなくてはな』

『ええ……我らに天の加護があらんことを……』

『フ……フフフ…フッフッフ……』

『『クックっクック……』』


 映像水晶の最後には不気味なおっさんの笑い声が録音されており。

 後ろで寝ていた新田を大いに怯えさせる羽目になった。




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