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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第3章 PC部員たち、社会の上下関係に巻き込まれる
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第35話 巨大ゴーレム討伐依頼 2

「な……なんだこれは」


 関所を通り、村の中を見た俺は呆然としてし合った。


 村の作りは単純で、中央にメインストリートが走り、左右には民家が並ぶ。宿屋もあるようだ。

だが! 歩いている奴らがちょっと違う! 全員ムキムキなのだ! 全員が、マッチョで、巨漢なのだ!


「「「‥‥‥‥」」」


 その光景を見てしまった新田と赤坂、シルクが固まってしまう。なにせ全員が筋肉マッチョで、遊んでいる子供たちも筋肉が……上腕二頭筋が……。


「と、とにかく例の宿屋に行きませんか?休みたいです」


 一番早くに解凍状態から覚めたシルクがそう提案してくれた。俺は「そうしようそうしよう」と言い、未だにショックで固まっている2人を引きずって、宿屋に向かった。


  〇 〇 〇


 怖かったが、道行くマッチョや筋肉モリモリのおばさんたちに道を尋ねていき、やっと弟子(仮)の滞在場所の宿に到着した。


 中に入って気づいたことその1.なんか天井が高い。そしてドアがでかい。多分だが、この街の人の ガタイを考えてなのだろう。


 俺はカウンターにいる、これまたマッチョな男に尋ねてみる。


「あの~、ちょっといいですか?」

「ああん? なんだよ」


ひいい! 「ああん?」だって!? 怖すぎるだろこのカウンターの人! ここってやくざの集まりだったの!?


「用があるなら早く言え」

「ああ、その……ここに『祈祷の時雨』がいると聞いたのだが」

「ああ、いるが。貴様ら、何者だ!」

「すんませんすんませんすんません! 俺たち増援です! 例のゴーレム討伐の増援です!」


 少々不機嫌な声を出されたので、プライドなど投げ捨ててペコペコ頭を下げる。直角に。90度に。より丁寧に! より早く!


「ぞ……増援!? あの化け物を倒していただけるのですか!? し、失礼しましたあああ!」


 そういうなりカウンターのマッチョは慌てて頭を下げてくる。それを勘違いしてしまったのは俺。再び頭を下げる。それを見てマッチョがまた頭を下げる。それがどんどん激化していく。

 その後勘違いによるヘドバン合戦は20分ほど続いたという。


 それから無事に俺たちは『祈祷の時雨』が滞在する部屋にたどり着いた。俺たちはその横に2部屋取った。部屋代はタダだ。これは絶対にゴーレムを討伐しないといけないな。


 荷物をおいてから、彼女らが止まってるはずの部屋をノックしてみる。


「はーい、ちょっと待って~」


 奥からステフと思われる声が聞こえてきた。3姉妹の中でも特にはつらつとした声は絶対にステフだ。

 すぐに足音が聞こえ、ロックを外す音がして、ドアが開く。そこに立っていたのは長女のバーニーであった。


「あれ? さっきのステフの声じゃ……」

「ああ、あの子は今危険物取り扱ってるので、私が代わりに……」


 なんだよ、危険物って。物騒だな。


「ああ、師匠たちが増援で来るのは聞いてますので。今回もよろしくお願いしますね」

「こっちこそ。いてくれて助かったさ」


 俺はバーニーは入っていいというので、中に入れてもらい、赤坂たちも呼んで作戦会議をし始めた。


「知っての通り、今回のジャイアントゴーレムは50m級で、おそらくミスリル種ですね。ミスリルはかなり固くて、魔法が効きにくいです」

「「は?」」


 途端に俺と新田は声を上げた。

 俺たちの知識では、ミスリルはかなり頑丈なものだが、魔法にはそこまで強いというものじゃなかった。おそらく、この世界特有なのだろうが。


「それで、そのくっそ固いデカブツをどう倒すかだけど……」

「はいはいはーい!」


 俺が切り出そうとしたところ、ベットの上で何かを作っていたステフが手を挙げた。はい、なんじゃらほい。


「今、わたしが作ってる地雷ってのがあるんだけど、ししょー、これでなんとかできない?」


 火薬の量によるな。酸反応性爆弾を応用した地雷の構造は単純で、踏まれた衝撃でレモンの果汁が酸に反応する薬草に届き、爆発するというものだ。

 内部破壊では見事な破壊能力を見せてくれたが、どうかはわからないな。少なくとも、今ステフが持っているのの2~3倍は必要じゃあなかろうか。


「なるほど。爆発ですか…精霊魔法にも一応爆発する魔法はありますけど……魔法に強いんじゃ今回は私は役に立たないかな……」


 いえいえシルクさん。まさか。おそらく【チェンジマテリアル】が通用するんで、それでただの鉄にすればいいだけさ。


「じゃ、そうだな。ステフが地雷で、ほかは適当な魔法でゴーレムを足止め。俺が【チェンジ・マテリアル】でミスリルから鉄に変換したりして、とどめをシルクでいいか?」


 その方が確実だろう。なんせあのゴブリンの群れを苦手だという【ムーンライトブラスター】で壊滅状態にしたからな。それに今度は日中での戦闘になるから、得意技の【サンライトブラスター】なのだろうし。十分に期待できる。


「どうだ?」

「「「「「「異議なし」」」」」」


 こうして、作戦が決まり、その夜は明日に備えてみんな早く寝た。


  〇 〇 〇


 翌日。俺は全員を連れて【フライ】でジャイアントゴーレムの目撃情報がある森の方面に飛んでいった。魔力削減のため、各自1人ずつ背負ってもらっている。


「とにかく、ステフ。ちゃんと起爆できるんだろうな?」

「やだなししょー、わたしが間違えるとでも思って?」

「ああ、思うね!」

「バッサリ!?」


 キッパリと疑いの言葉を向ける俺。前にこいつが調整したバズーカが暴発したことがあるんだよな~。


 そして、次に意識を集中させた時、すぐ目の前に巨大な建物があった。それは銀色に光り輝いており、すぐ横を見れば、これまた細いとも太いとも言えないタワーが。


「……」


 もしや、これは…。


 おそるおそる上を向くと、四角い顔に浮かべた黄色の2つの目がこちらをジロジロ見ているところだった。


「…………」


 うん。出た。ジャイアントゴーレムだ。しかもミスリル種。種類の予想があたったのはいいんだが、でかい。


 胴体の見た目はまさに高層ビル。というか、俺はよく気づかなかったな。


「くそ! ステフ! 地雷だ!」

「わあってるよししょー! 足元に落とせばいいんでしょ!?」

「そうだ、早くしろ!」


俺は素早くステフに指示を飛ばし、地雷を落としてもらう。


のだが……。

 

 地面にぶつかったとたん、それは爆発した。おそらく、衝撃によるものと思われる。

 その爆風で、ジャイアントゴーレムが横倒しになり、俺たちは、はるか上空へと投げ出される。


「あー、火薬の量間違えちゃったかな?」

「じゃねーよ! これどうすんだよ!」

「まあ、ししょーならなんとかいてくれるかな…って!」

「俺頼みか!」


「く……【チェンジ・マテリアル】!」


 射程を離れる前に、俺はジャイアントゴーレムに物質変換魔法をかける。かろうじて、ゴーレムの装甲を変換できたのを感じる。


 そして、変換し終わったと同時に、俺の魔力が切れた。



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