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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第2章 PC部員たち、萌えと苦労を知る
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第25話 巨大なウミヘビ 2

                  ー大川sideー


「あー、うめー」


 俺は早速新作の石窯でピザを作って食べながら修繕した家の強度と欠陥を確かめていた。

 見ている限り、パーツにばらすときのジョイントパーツも問題なさそうだな。よしよし。

 あと、自作とはいえピザうっめぇ! なにこれ! まさか見よう見まねでこんなにうまくできるとは思わなかった。ふっ、料理だけなら負けない気がする。


 さてさて、対シーサーペントだが。これ、実はとっても簡単。だって、相手は水の中なんだから2通りしかないでしょう。


 そんな楽観的な俺の発言を受けて、ほかの全員が不安そうな眼つきと態度を見せる。なんでだよ。あの岩龍をも撃破した大川君だぞ。策くらいあるわい。


「本当ですかね……」


 赤坂よ、疑いの目で余を見るでない。今回は酸反応性爆弾も使わない。策が通じれば単騎で可能だが、失敗した時を考えて全員にバックアップを頼もうと思う。

 あとは、素材だけだな。


「ホーネスト、なるべく質のいい鉄を用意してくれ」

「何に使うんだ?」

「ちょっとな……」


 作戦に、使うのさ。


  〇 〇 〇


 俺たちは【フライ】を使って、エルフの大森林とは正反対にある湖から1キロ弱の所にやってきた。出現する魔物はほぼ同じだが、こちらは芋虫型のキャタピラーという魔物がいた。

 ぶっちゃけ気持ち悪い。生で見ると気持ち悪さが加速する。

 そいつらでウォーミングアップし、俺は3往復程度して、計50キロもの鉄を用意。そこから質がいいのを厳選して、電波塔のようなものを作っていく。

 もう一方はステフと俺で俺用のステフ改造型バズーカと弾頭、魚雷、替えの32連装マイクロミサイルの弾を作っていく。念には念だ。


 それらの準備が終わり、俺たちは湖に向かって【フライ】で飛んでいく。途中でキャタピラーを見つけてはバズーカの試射の的にした。バズーカそのものの威力は試作型と同じだが、2回りほど大きいせいで取り回しが悪いと感じたので、マイクロミサイルのラック以外を元のサイズまで戻す。不格好だがこれでいい。32連を打ち終わったらパージできるようにしておく。


 そんなことをして1時間。とうとう俺たちは湖までやってきた。周りは平和そのもの。シーサーペントの「し」の字もないくらい平穏だ。

 辺りの景観もきれいだし。いないとは思うんだけどな。ギルドからの情報だしそれで結局依頼は受けたし。

 とりあえず、作戦第一段階を決行。俺は湖の水に魔力を注ぎながら。


『我が力よ、願いに応じその真価を発揮せよ! 【チェンジ・マテリアル】!』


 水をとある物質に変えた瞬間に、湖の魚が一斉にぷかぷか浮かんできた。よし、ちゃんと変えられる。


「先輩、何にしたんですか……?」


 後ろからガスマスク(俺の自作)をした新田が聞いてくる。


 ……ああ、これは日本酒。少量のアルコールをさっき湖に流し、それを増大させたのだ。

 だが、流石にこれじゃあおびき出せないようだ。


「もういっちょ……」


 俺はもう一度【チェンジ・マテリアル】を発動して、少し離れる。BTB用紙(自作)を取り出して確認。やはりちゃんとできた。


「今度はなんですか……?」

「あ、うん。塩酸」


 今度はアルコールを塩酸に変えたのだ。だから今の湖は塩酸水溶液の塊。ちょっとでも触れたらおじゃんだ。

 だが、この環境下でもシーサーペントは現れない。しぶといなぁ。いったいどうなってんだよ。


 なら、お次いきますか。俺はそう決心してガスマスクをする。全員が下のを確認した俺は、次の物質に変換する。


「「「「「「くっさぁ!」」」」」」


 マスクを通しても感じる猛烈な臭さ! その正体はアンモニア水溶液! いくらなんでもこのくささは効くだろうに。

 だが、いっこうにシーサーペントが現れる気配がない。臭いでこっちが先に倒れそうだ。やむをえず、俺はアンモニアからただの水に変える。


「「「「「「はふぅ…」」」」」」


 ごめん、言っておきたいんだけどさ。俺が一番臭かったからね!? 一番アンモニア水に近くて風下にいたの俺だよ!? それ俺のセリフ!


 そんなツッコミをしながら、俺は先ほど作った電波塔みたいなものを湖の周りにたくさん設置していき、伸びている導線を湖の中に差し込んでいく。ステフ達をいったん退避させ、俺は【フライ】で上空に行くと、詠唱を始める。


『我が力よ……【エレクトリックフィールド】!』


【エレクトリックフィールド】で発生した電気は、四方八方に設置した電波塔のようなものに取り込まれると同時に、同線をつたって、湖の水に流れ始めた!


 そもそもなんで水が電気を流すかというと、不純物のせいだという。一部はイオンとして存在して水の中を移動する。それが電気を流している。対して、不純物のない真水の場合、電気を通さない。         科学の実験のちょっとした応用で、シーサーペントを感電させようとしたのだ。

 電波塔のようなものは、避雷針のようなもので、受容器の役割を持つ。鉄は電気を通すので、そこに接続した導線から水の中に電気を流すというものだ。


『…………オオオ』


 湖の中から岩龍と同系統の雄たけびが聞こえた、おそらくはシーサーペントだろう。だが、遅い。このまま出力を上げる。


「みんな、用意してくれ!」

「「「「「了解!」」」」」


 俺の合図と同時に湖から距離を置いていた。他5人がシーサーペントが現れた瞬間を狙おうと攻撃の準備をする。


「でてくるぞ!」


 気配を感じ取った俺は、【エレクトリックフィールド】を切って上空へと退避、


 そのあとに湖の水が山のようになり、そこからでかい顔を持つ大蛇が現れた。すみかをめちゃくちゃにされ怒り狂ったシーサーペントだ。翼があるとは聞いていたが、かなりでかい。

 というか、もうこれドラゴンじゃん。日本神話とか中国神話に出てくる龍だよ。

 とはいえ、俺しか見えてないんだからチャンス!


「いまだ!」

『我が力よ、願いに応じ巨大な岩で粉砕せよ! 【フォールストーン】!』

『我が力よ、願いに応じ暴風で彼の者を切り刻め! 【竜巻】!』

「【大車輪】!」

「一に剣聖、二に陽炎…くらえ、【五月雨如水撃】!」

「【爆雷雨】&32連装マイクロミサイル! いっけぇぇ!」


 俺しかマークしていなかったシーサーペントの頭上から巨大な岩が降ってきて、胴体に竜巻が命中。エビの足みたいについていた手に【大車輪】が命中。横腹に【スラッシュ】が速くなっただけ 【五月雨如水撃】(仮)が命中し、全身には分裂したバズーカの弾、下からも32×2で合計64個ものミサイルが襲う。


『オオオオオ!!!』


 その猛攻を受けて、体中ボロボロになりつつもシーサーペントは俺に向かって飛んでくる! マジか、あれを耐えるのか!

 ならば俺がカタをつけるだけ!


 背後にX状に装備していたバズーカを肩にかけながら、【ソードビット】を発動。4つ、いや、自分の視界も合わせ5つの情報がリアルタイムで、同時に流れ込んでくる。正直言って長くはもたない。

 なので、後先考えずに脳の全ての能力をフル回転させる。


「くおおお! 【爆雷雨】、【ソードビット】!」


 頭痛が襲う中、ありったけの魔力を込め【爆雷雨】を2つ放ち、即座にバズーカを縦にして32連マイクロミサイ ルをぶっ放す。それと同時に【ソードビット】の2本はシーサーペントの両目に命中し、後ろへ貫通。他2本も胴体を貫通する。


「うおおお!」


 俺はバズーカを手放して、短剣を抜き放ち、向かってくる蛇の頭の下に潜り込んでから急上昇してすれ違いざまに首(?)を掻っ切る、【ソードビット】はさらに胴体をずたずたにしていく。


『……オ……オオオ……!』


 その後、全てを使いきった俺と、絶命したシーサーペントはともに地面に激突した。


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