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オタクで変人なPC部員は、異世界で冒険者になったら器用○○でした!?  作者: 古河楓
第2章 PC部員たち、萌えと苦労を知る
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第21話 大川式訓練譚 2

 俺はやけを起こしながら市場でいろいろな食材を買いあさっていく。どうせ後ろにくっついてきているガキ3人組は大食いなんだろ。ったく、とんだ出費だぜ。こうなったら野菜中心に買ってやる。ガキは野菜が嫌いなのがセオリーだからな。ちゃんと肉も買うけど……。


「今日はキンカンソウがお買い得だぞ?」

「お、おっちゃん商売上手だな。買った!」

「はっはっは、何度も買いに来る客の好みくらい見抜けないとこの界隈じゃやってけないわい」


 こいつはラッキー。キンカンソウは文字通りホウレンソウみたいだがキンカンのような風味があるこの世界独特の野菜。ハーブティーにもできるし香草焼きにもなるし、サラダにしても美味しい。


「あとは、例のトマトある?」

「あーゴールデンかい。もちろん、仕入れてるぞ」

「くれ! 全部!」


 この世界に来て初めてはまった食材であるゴールデントマトも手に入った! あ、ちなみに、これはかなり甘いトマトで、言ってしまうと、もう果物。ミートソースには向かないけど、トマトジュースやサラダ、サンドイッチ、クッキーとかにも使える。


「先輩が子供に見える……」

「菓子じゃなくて野菜に夢中になる子供……?」


 うっさいわぼけぇ! 美味くてかつ万能な食材は料理人にとってありがたいものなんだぞ! 料理作れない奴らにはわかるまい!

 とにかく、満足な買い物を終えた俺は、【フライ】を唱え、上空へと舞い上がる。買いすぎたので往復しないと全員運べないのだ。


 それから冷蔵庫もどきに全部ぶち込んで、町に再び戻り今度はガキ3人を含めた5人にも【フライ】の効果を使って飛び上がる。


「お~高いね~……しかもしかも安定してるー。流石師匠だ」

「急降下戦法とか使えますねこれ」


 ステフは空に浮かび上がることを楽しみ、バーニーはこれを利用した戦法を冷静に分析している。

 これを見て真っ先に急降下戦法を考え付くとは……趣味が合うなぁ。


「今しないでくださいよぉ」


 俺の背中当たりではいまだに怖がっている新田がそんなことを言っている。どれ、いっちょやるか。

 はいすいませんごめんなさい。目標居ないからやんねぇよ。こら、首絞めるな……苦しい……!


  〇 〇 〇


 ログハウスに着くなり、探検したいとかいうガキどもを新田におしつけ、修行内容を考えていた。

 やけくそになっていたとはいえ、受けてしまったもんは受けたんだ。ちゃんとやらなければならない。


「ししょー、早速修行やろーよ!」

「……お願いいたす」


 探検し終わったステフとサリーがこちらにやってきた。確かこいつら2人が言い出しっぺだったかな?

 じゃあまず、動きやすい服装にだな。


「その前になんだけど~」


 なんだよステフ。容赦はしないぞ?


「実はこの前の戦闘の時に弓が壊れちゃって~……えへへ、飛び道具貸してくんない?」


 そこからかよ! 確かにこの前の戦闘で全員の武器を物質変換魔法である【チェンジマテリアル】でただの鉄くずと木の棒にして倒したの俺だけど。ちゃんと元通りにしたぞ?


「うん、むしろ使いやすかったんだけどね……」

「ステフが調子乗って走ってるときに転んで、根っこからベキャッ、ってなっちゃったんです」

「バーニー! ばらさないでよ!」


 なるほど。根元からか。直せるといえば直せるけど強度が問題になるな。つーか、あんな弓どうやって引いてんだよ。あ、勇者病のおかげか。

 そうだ、だったら試作品を使わせてみるか。ついでに、動きやすい服装はあれで統一……。


 俺は各自に着替えを、ステフには追加で試作品を持たせ更衣室へ放り込む。その間に、大好物のゴールデントマトを隠れ食い。

 丁度食べ終わったころ、着替えていた3人が戻ってきた。


「こんなもん?」「通気性抜群です!」「和服じゃないと落ち着かない……」なんて口々に言いながら、こっちに向かってくる。


「これは……間違えたか?」


 3人はもともと顔は整っている方だが…軍服着せたのは間違った。背中に大型武器を背負い、ヘルメットをした幼女は……多分一部の人が喜びそうな、いわゆる「萌え要素」をむき出しにしてしまった。

 言っておくが、俺にそっち方面の趣味はない。


「先輩、流石にこれは」


 うん、赤坂君、俺だってわかっている。ダメだこれ。どう考えてもアウトだな。理性が既に赤信号を出してきてるもん。新田もそう思うよな?


「ふおおお……!」


 なんて思いながら横向いたら目を輝かせている新田が! ちょ……。


「先輩、これは! これはいい萌え要素ですよ! 歩く萌え要素ですよ! 地球じゃあできないから実際に見たことはありませんでしたけどここまで破壊力があるとは思いませんでしたよ! なんですかこの迷彩服に似合いすぎているというか後ろの武器のごつさとのギャップのこの黄金比は!」


 そう言いながら新田はバーニーの周りをぐるぐる回り観察している。正直言って怖い。獲物を狙うスナイパーの目だ。確かに一部の人間からすれば歩く萌え要素だろうなぁ。つーかこういうの出てくる同人誌ありそう。

 通気性に機動性、破れにくいといえば軍服だし、軍服って言ったら迷彩服だから。ヘルメットは試作品。一応、10キロの岩を上空20mから落としても壊れなかった。


 そして、ステフに持たせてみたものは……。


「先輩! これって、バズーカですか!? バズーカですよね!?」


 そうその通りバズーカでございますとも。とはいえ、銃にはそこまで詳しくないので、ゴム鉄砲とパチンコを応用しただけで、引き絞るのをパチンコみたいにして、射出をゴム鉄砲方式にいただけ。

摩擦熱で砲身がかなり熱くなり、反動もそれなりにある。1発ごとに込めなきいけないし。いうなれば不良品だ。


「先輩、ちょっと待っててください!」


 それを説明しようとしたときに新田が走り出したかと思うと瞬間でリターン。手にはフリルの付いた3着の洋服が。


「ちょ……ちょっとこれ着てみて!」

「まさかそれって……!」

「はい、メイド服ですよ! せっかくこんな萌えがあるんです! 試さない道理はありません!」


 その言葉に素直に従った3人はすぐさまそれを着て現れた。着なくてよかったんだぞー。


「ふおおおお!」


 それは新田がものすごく興奮するほどいかがわしかったとさ。


  〇 〇 〇


 とりあえず萌えには目をつぶって軍服になってもらい、まずは基本の能力測定をさせてもらう。

 どれが苦手でどれがうまいかわからないと困る。


「というわけで50m走なんだが……」


 速さが尋常じゃなかった。大型武器を背負いながらでもなんと全員が6秒台という結果になった。一番早かったのはステフで6秒3。計測方法はPCで。充電だって? バイオ発電してます。エコでしょ?


 続いて反復横跳び。これも武器を背負いながらなのに体育が5のやつと記録は変わらず。腕立て伏せは余裕で40回を超え、腹筋も50回近く。

 持久走は5キロを20分で走破するわ、ハンドボール投げでは余裕で70m超すわ。化け物だ。恐ろしいな勇者病。


 そのあとでステフにはバズーカの使い方(知ってる部分だけ)教え、藁人形を複数作りサリーの居合切りを見学し、バーニーがメイスを素振りしていたらいつの間にか森林が切り開かれていたのに驚愕する。

 俺はよくこんな相手を軽くあしらっていたな、と思っている。


 夕暮れ時。最後までバズーカの標準機の使い方を練習していたステフがログハウスに入ってきたので夕食にした。


「これ、この味付けは何使ってるんですか!? 食べたこともない味です!」

「おいしい~……おかわり頂戴!」

「食べれば育つ」


 予想と違わず、3人組は今日買った分の食料を全て食い尽くした。

登場人物名鑑ー5


名前:サリー

身長/体重:141㎝/35キロ

身体の成長具合:姉妹の中では一番スタイルがいいらしい。

サイコパス度:ハイパークラス(何かを斬ることに快感を覚えている)

好きなこと:剣の手入れ、剣を振って斬る。食べること、裁縫。

苦手なこと:料理(全部みじん切りにしちゃうから)、苦いもの、飛び道具

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