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第129話 その一歩で動き出す。
……歩き出した一歩。その一歩の価値は人で変わるだろう。
知らない世界を歩きだし、その世界に目を向け、聞き耳を立て、口で物を感じ、森の匂いを嗅ぎ、直に触れ合う。
3年という月日は長いようで短かった。
では、その間でやったことはなんだ?
まだ、それだけでこの世界の全てを見たと思うのか?
ただ、それは闇から逃げているだけなのだろう?
まだ、自分の運命というものを辿らず。
ただ、自分の臆病さで逃げるだけなのだろう?
まだ、自分の知らないことにしておいて。
ただ、常識にとらわれる。
まだ、自分に言い聞かせているんだ。
ただ、認めたくないだけだって。
……この世界は、 見覚えがあると。




