第12話 オタクの本領発揮は引きこもりに現れる。
繋ぎの話なので、短いです。
無事にジャンガリアンドックとかいう頭のおかしい敵を倒した(本当はどちらも頭おかしい)夜。俺たちは木を切っていた。赤坂は剣で、新田は魔法で、俺はそれを支援魔法をかけて運び、設計図どおりの角材を作っていき、くみ上げる。それを2日間繰り返し、とうとうガラス窓付き、2階建てのログハウスが出来上がった。
やっている最中に俺はなんと【物質変換】の魔法を編み出し、これによりただの石が魔力を込めれば石炭になるという具合のものをできるようになった。ちなみに、後から知ったがこれで金を作ったら死刑らしい。いや、やんなかったけど。これによって加工が楽になり、岩場の石でガラスを作り、ドアや窓が完成、テーブルやらベットやら、シンクやらを作り、しまいにはでかい浄化装置を作って、川から水を引くという上下水道までも完成させてしまった。
そして、ある程度住めるようになると、俺たちはジャンガリアンドックの皮や、そこら辺の動物の皮などで布団を作り(加工は魔法頼み)、部屋にもカーペットなりでデコレーションし、住環境が整ったところで、各自コピーした50音表(やはり【物質変換】で複製した)と魔法書や武器書、この世界の歴史などが書かれた本(新田と俺が余った金で購入してたやつ)を片手に部屋に入り…………
そして…………。
引き篭もった。
俺たちは、その後2年間も日を浴びずにこの世界で生きるための勉強を引篭もってやっていた、時間も忘れて。
その間、何もなかった…….
〇 〇 〇
俺たちが引篭もってから丸3日が立った時。とうとうギルドマスターはしびれを切らし、エルフの大森林に冒険者の捜索隊を送った。ぶっちゃけ言って、彼らが死んだとは思えないし、彼らに死なれては困るのだ。自身の出世にも影響するが、この辺りは最近凶暴な魔物が多くなっているのだ。彼らはそれを倒せる才能がある。なんとしても、確認しなければならない。、
そして、さらに1週間。馬小屋には馬と馬車があり、半径1キロ以内には、以前は見かけなかった人気のないログハウスが一見ぽつりと立っているだけで、姿は魔獣ともども見つからないという報告が上がってきただけだったという……。




