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21.班分け

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 残された大人達三人で今後のことを話し合う。


 魔物達がどのような環境で過ごし、置かれている状況を初めて知ったエレインは瞳に悲しみの色を滲ませ、


「ケヴィンが言ってた事、さっきのティアの話でよく分かったわ。だからケヴィン達が色々と動いていたのね」

「ん、そうだな。まぁ、安直な考えではあったけど楽しみを見出すには、他人との交流と作る喜びを感じるのがいいと思ってな」

「それで畑作りね!よく考えているのね」

「畑作りは必要に迫られてたし、まぁ成功して良かったよ!」

「他にも用意しているんでしょ?」

「ん、まぁね。皆で考えたのは畑作りを含め五つ用意している。種族によって得意不得意が出るだろうから今日みたいに全員参加ではなく、興味がある者が参加すればいい。用意しているのは五つ。それぞれに班分けし、畑作り班、戦闘班、料理班、魔術道具班、建築班に分けてそれぞれ指導者が付いて教えていくつもりだ」


 ケヴィンは続けてエレインに用意している内容を説明していく。


 五つの班を用意。

 それらは一日を午前の部、午後の部、夕方の部の三つに分け、興味のある者は一日に三回は班を移動することが出来るようにする。

 そしてスタンプカードを用意し、各部が終了する度に班長からスタンプカードに判を押してもらえ、それが溜まると景品がもらえる仕組みだ。


 まずは多くの魔物達にそれぞれの班に興味を深めてもらえるようにし、その中から楽しさを見出だせるようにしたい。

 そう考えてケヴィン達はこのような仕組みを用意した。


 ケヴィンの説明を唇をトントンと押さえながら聞き入るエレイン。

 質問を交え内容を確認しながら、ひと通りの説明を聞いていく。


「本当良く考えているわ!それに今聞いただけでも面白そうなものばかり。ねぇ、ケヴィン。その講習、私が受けてもいいかしら?」

「ん、問題ないぞ。何か興味あるのがあったのか?」

「そうね、正直なところ全部受けてみたいけど、とりあえずは戦闘班、魔術道具班、料理班の講習は受けたいわね!」

「そんなにか?戦闘班は俺が見る予定だし、魔術道具班と料理班はディーケイが受け持つから、予定合わせて教えるぞ?」

「駄目よそれじゃ。ケヴィンとディーケイに負担かかるじゃないのよ!話を聞いていて何か久しぶりにワクワクしてきちゃったから、普通に受けたいの!夕方の部なら時間取れるし、楽しみにしてるわね!そうそう、ねぇケヴィン。何か私に手伝える事ある?」

「んー、そうだな。そういえば、建築班の指導が俺もディーケイも不安があるかな。プロじゃないし、大雑把な知識しかないからな」

「なら私に任せて!一人心当たりがあるの。商業ギルド長の息子なんだけど、今建築の勉強してるの。でも王都で新しく何かを建てるなんてそんな場所ないでしょ?だから地方に修行して回りたいって言ってたから早速声をかけてみるわ!」

「おっ、そりゃ助かる。でも大丈夫か?こっちの人って魔物や獣人に偏見持っている人多いだろ?」

「ふふっ、それは安心して頂戴!その子とっても良い子よ。昨日の行進を見てすぐに、店員に伝言を頼んで、魔物達を紹介して欲しいって言ってたみたいだから」


 エレインは楽しそうに笑いながら話しをする。


 彼女が今日の畑作りに参加した目的は、ケヴィンの言動に興味を持ち、彼が何を考えて行動を起こしているのか、観察してみたいと思ったからである。


 しかし当初の目的などすっかり忘れ、彼らのペースに巻き込まれ、畑で汗を流し、お子様組とじゃれ合い、労働の後に美味しいご飯でお腹を満たし充実した一日を過ごしていた。

 それにケヴィン達の用意する講習にワクワクし、楽しみにしている。


(何か予定と違うけど、こういうところがケヴィンの魅力なのかしら?)


 エレインは不思議そうにケヴィンを見つめる。


 ケヴィンとディーケイで打ち合わせは続いており、話題は講習の指導について移り、ディーケイが料理班の指導者について説明をしていく。


「料理班はマティスさんのところの副料理長と調理師数名がローテーションを組んで手伝いに来てもらえます!」

「おぉ!助かるなぁ。新しく作った転移用魔術道具のテストは大丈夫か?」

「はい問題ありません!あちら側に設置済みでこちらの遺跡の一室に転移可能でした」

「そうか、なら良かった!」

「ちょっとディーケイ!マティスから手伝いの人員が来るの?もう、そういうのは私にも教えてよ!せっかく店まで開いて人脈を広げたんだから。それでマティスが最近こそこそしてたのね。聞いても後のお楽しみですとか言うし、くっそーマティスにしてやられたわ!」


 そんな話をしていると遺跡の案内に出ていたお子様組とティアが帰って来た。


 ティアの頭上にはスラ吉が陣取り、ポヨンポヨンと跳ねている。そしてソフィを背中におんぶし、アイシャとリヴに手を引かれ、若干疲れた表情を浮かべて姿を見せる。


 すっかり懐かれたティア。

 お子様組の三人はティアの口調を真似ながら、御座る御座るとやたらと連発していた。

 たまにアイシャが拙者と使っているが、使いどころを間違っている為、何を言っているのか分からない。


 三人はティアを案内している時に、トレーニングルームとして使っている部屋でティアに魔法を見せてもらったらしく、その魔法をケヴィン達にも見てもらいたい為、ティアに催促する。


「ティア、あれを見せるです!この野郎の術!」

「えっと、この葉隠れの術で御座るか?」

「御座るなので御座る!」

「ねぇ、早くマスターに見てもらいましょう拙者!」

「うーん、やっぱりアイシャの拙者の使い方間違ってない?何か変で御座るよ」

「……」


 お子様組に催促され、皆の視線が集まると顔を赤らめ恥ずかしそうにするティア。

 ケヴィンが見てみたいと言うと、パアッと表情が明るくなっていく。


 ティアは一呼吸置き、胸の前で印を結び「忍法、この葉隠れの術!」と言うと彼女を囲むように空気の渦と落ち葉が現れ、竜巻きのような現象が発生する。


 その現象はほんの一瞬で終わり、竜巻きも落ち葉も瞬く間に消え去っていく。

 そして驚くのがこの後。

 なんと竜巻きと落ち葉と一緒にティアの姿も消え去ってしまったのだ。


 エレインが大きく口を開け「嘘でしょ?消えてしまったわ!これって魔法なの?」と呟くと、ディーケイが思案しながら「いえ、魔力の発生を感知しませんので魔法とはまた別物になります」と周囲を伺いながら応える。


 そしてケヴィンは感覚を研ぎ澄ませながら、鋭い眼差しで周囲を見渡し、カツカツと誰もいない方向へと歩みを進め、宙に手を出して声をかけた。


「はい、ティアみーつけた!上手じゃないか、ここまで出来るのは中々いないぞ」

「なっなっ!さ、流石は主人殿で御座る!とはいえここ最近は一族の者にも見破られることがなかったのですが、何故拙者がいるのが分かったので御座るか?」

「ん、気配の殺し方も身体の使い方も完璧だったと思うぞ。でも姿を隠しても息はするからな。そういうのは感覚を研ぎ澄ませれば空気の流れを掴めるし、死線を超えるような経験を重ねていくと分かるようになっていくんだ。まぁ、ティアの前に遮蔽物があったら見つけるのは難しかったと思うぞ!」

「なるほどで御座る!」

「さっすがマスターだよね!僕達は誰も分かんなかったんだよ!」

「そうですわね。恥ずかしながら全く分かりませんでした!」

「そうなのです!見えないのをいいことに、ティアに辱しめをされてしまったのです!」

「ソフィ殿!だからあれは事故だと申しているではないですか!」


 その辱しめを思い出し、リヴとアイシャの二人が大笑いしている。


 話を聞くとティアに術を使ってもらいどこにいるか三人で当てっこして遊んでいた時、ティアが躓いてしまい、転びそうになり何かに掴まろうとしたら丁度よくソフィがいたので、ソフィに掴まって転倒を防いだようだ。


 ただ掴まったところがソフィの顔面で、顔を両手で押し潰すような形になった。


 突然ソフィの顔が変顔になったのを見てリヴとアイシャは爆笑し、ソフィも突然顔が変形したので相当焦ったみたいだ。


 アイシャの話ではソフィはその時、涙目で天を仰ぎながら、おねしょしたことを神様に懺悔していたという。


 ソフィはそのことを思い出し、顔を真っ赤に染めていく。


 その後、皆で紅茶を飲みながら笑い話に興じ、賑やかな夜を過ごした。

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