表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
道徳の部屋  作者: 荒馬宗海
6/11

六時間目


 では、そのような国における正義の味方とはなんなんでしょう? スーパーヒーローとはなんなんでしょう? 


 このプリントに出てくるスーパーヒーローの正体がもしも、この国の人民であったとしたら、彼、もしかしたら、彼女かもしれないし、もしかしたら、人間だかどうだかも解らないけど、とにかく、そいつの正義が、私たち、少なくとも、私から見たら、違和感を感じさせないではいられないのは、この国で行われている、行われているであろう歪な教育が原因なのだと思います。

 ある日の図画工作の課題が「唾棄すべきニ○テイを気持ちよくブチ殺すところを気分爽快に描きなさい」だったりしても、驚きには値しない国での出来事だからなんだと思います。


 その理念は実は道徳に近しいものかも?


 なぜですか?


 道徳って、国や郷土を愛する態度を学ばせるためのものであるらしいよ。だとしたら、その課題って、郷土愛に溢れているじゃん。個人的にあまり感心はしないんだけど。外に敵をつくるっていうやり方。


 韓国の大統領が支持率が落ちると決まって日本に対する“恨”を煽る、みたいな。だって、反○は正義だもんね、あの国。公で、学校でそういう教育をしていて、根本が出来ているから、右からも左からもお手軽に攻撃出来るうえに、極めてウケはいいときている。そりゃ、やるでしょ。


 そういやあ、防○少年団(隊だっけ?)のメンバーが、日本に原爆が落とされたのを大喜びしている朝○人たちが描かれているTシャツ(だっけ?)を着て、平気な顔して公の場に出てきていたよね。広島にだって、長崎にだって、同じ国の人間はいただろうに……。


 あれって私服だったのかな? 衣装だったのかな?


 本人の自前だったとしても、番組や関係者がそれを用意したとしても、誰一人それを見咎めることなく、カメラの前まで、ストップかけずにスルーって……。そのアイドルだけでなく、取り巻きの大人たちの感覚もすごいな。狂ってんな。そういう環境で育ったんだろうな。


 学校での教育がそんなんで、ましてや、ガキの頃からずっと歌だのダンスだののレッスン漬けだったとしたら、そりゃ周りの大人の責任だろ。


 核を落とされたのを大喜びって……。道徳以前に人として最低じゃね? 人間として駄目だろ。


 教育って改めてすごいよね。


 ちなみに今度、日本で正式な教科になるそうです。道徳。これまでは、子供たちの内申を評価することは出来ないとして教科としていなかったのだけれど。


 軍事独裁国の洗脳、教化といってもいい教育を経て誕生する軍人や警察は、人民に奉仕しているようにも見える職務に従事しているという側面もありますが、その本質はやはりあまりにも偉大すぎる独裁者様に命を捧げるということなんだと思います。ここでのスーパーヒーローの本質もまたそのようなものでしょう。だから、ことこの国の正義に携わることに関しては常軌を逸した働きっぷりを示すのでしょう。たとえ、ヘロヘロの年寄りとはいえ犯罪者ならば、たかがパンを盗んだ程度の微罪であっても、盛大にコテンパンにするのでしょう。


 きっと犯罪者を、たとえどんな微罪であっても、ボコボコにするのはものすごくすがすがしいんだろうな。道徳を守ったってことで。人に親切にしたくらいに。もしかそれ以上に。いっそエクスタシーなんだろうね。


 パンを盗んだ程度の微罪と言いますが、本当にそれは微罪なのでしょうか? このような独裁国家においては、須らく全ての物資が著しく不足しているのが常です。貴重な食料の窃盗というのは、私たちの国における同じ種類の犯罪よりも遥かに罪深いものなのではないでしょうか? だから、半殺しなのでは?


 正義の味方はどうして、兵隊や警官になることなく、マスクと全身タイツでスーパーヒーローとして活躍することを選んだのでしょう? 


 無給でボランティアとして働いていることに、「ああ、俺って(私って)将軍様のためにすばらしく働いている」という事に、自己陶酔に浸っているんじゃないの。職業として、賃金をもらって働くよりも。


 自分の能力があまりに突出しているが故に、既存の組織では収まらないと思ったのかも。


 マスクと全身タイツで正体を隠していることに関しては、自身が魔女狩りの魔女と認識されることを恐れたのでしょう。他と違ってしまっているということに。このことに至っては、私たちの知っているスーパーヒーローと同じ事情なのではないでしょうか? 敬愛する独裁者様に、ひいてはその国家に、仇なしうる危険な存在と認識されるのは、人民としてはいたたまれないのではないからではしょうか? もしかしたら、(北の)将○様のご覧になる、調和を美とするマスゲームの一員だったりして、一層その念を強くもっているのかもしれませんね。


 そういう独裁国家にこそ真っ当な正義の味方がいて欲しいんだけどね。独裁者に真っ向から立ち向かうスーパーヒーローっていう存在が。フラフラのじいさんをパンを盗んだくらいでコテンパンにしている場合じゃなく。


 ストレスなんだろうね。自分に体制を−−独裁政権を−−打倒するだけの実力に欠けていることを身に沁みて、解り過ぎる程に解っていて、メンタルがまったくもって小市民で、極めて現実主義者なわけだから。そんな類は耽っちゃったりするんだろうね。正義を守ると称して、ただのパンを盗んだだけのじいさんを、やりすぎなくらいブチのめしたりしちゃうんだろうね。八つ当たり的に。日頃のうさを晴らしに。弱い者いじめ。で、強い奴とは絶対に戦わない。力とか立場とかが。痛い目に遭いたくないし。本来、反乱分子でなきゃいけないのに。人権をないがしろにしている独裁者に対する。自分というものをわきまえきっている根が小心者の現実主義者だから、そういうスケールの大きいことはしたくないんだよ。ボコボコにされる人民にとってはいい迷惑だけど。力持て余しているんだろうね。なまじ中途半端なばっかりに。それって、スーパーヒーローじゃないか。もしかしたら、正義の味方でもないのかな?


 抑々、スーパーヒーローとはどの程度の実力を備えていなければならないのでしょうか? 黒帯級の実力はあると思ってよいのでしょうか? 黄帯とか緑帯とかではなく。正義の味方と認識されるにはそれ相応の実力を備えていなければならないと思うのですが。


 柔道とか空手とかの黒帯って、何気にそこらじゅうにいなくね? あんまり珍しい存在でもないような気がするんだけど。そりゃ、段位を持ってるくらいだから、それなりに強いんだろうけど。

 悪の独裁者と戦うとなると……。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ