十時間目
おじいさんはPTSD(心的外傷後ストレス障害)だったりして。
戦争に行ってたりしてて。
ある番組で、ラスベガスの地下スラムの回で、ベトナム戦争に従軍してPTSDになったって言ってるおじさんが出ていたのですが……。
俺もそれ見た。道路を行く車が信号かなにかで停止していると、それに近づいていって、「私はベトナム戦争に行ってまともな社会生活が送れなくなったのでめぐんでくれ」ってやってたやつでしょ? で、そこで手にした現金で日々暮らしているってやつでしょ?
プリントのおじいさんの社会の方が、アメリカのラスベガスよりも世知辛いって言いたいの?
きっと冷たいのですよ。そういう社会なのですよ。だから、PTSDで普通の生活が送れなくて物乞いになって、それを告白したところで、「あっ、そう」で無視されるから腹ペコで盗みを働かざるを得なかったのでは?
でも、じいさんが所属する社会が、国が、スパルタみたいで、戦士としてスパルタ教育を受けていたら、PTSDで心を患う余地などないのでは? そんなにヤワな兵士なんていないのでは?
きっと、ヤワな時点でスパルタの社会システムの中で抹殺されているよ。年金のシステムが実質破綻していて、それだけじゃ老後、とてもじゃないが喰っていけなくて、餓死する他ないみたいに。実質、「年くったら死ね」。社会の網の目の中に何気に姥捨て山があるようなもん。某国の「自助努力で二千万なんとかしないと老後の生活は立ち行かない」っていうのと本質は同じでは。
映画の『3○0(ス○ー・ハンドレット)』のスパルタ兵ってマッチョな戦バカばっかりっぽかったですよ。ああいうのがPTSDになるとはちょっと……。
そんな奴らの中で特にスパルタ教育に染まった頭のおかしいのが、警察より率先して、犯人を罰しているのでは? 強烈に過激に。
だとすると、正義のスーパー・ヒーローを自称するのは一人だけではないのかもしれませんね。
この場合、戦隊ものは戦隊一つでいちスーパー・ヒーローとみなします。そうですよね?
そこらじゅうにいっぱいいるってこと?
頭がイッちゃっているのが。
「我こそが最強」と思い込んでいる者ほど、名乗るのでしょうね。正義の味方って。スーパー・ヒーローを。自称でいいわけですから。ああいうのに許認可とか、免許とか資格とかはないでしょうから。
で、彼らなりの美意識と懐具合を反映させたコスチュームに身を包み、それを踏まえて、自身の感性に基づいてそれらしいヒーロー名を名乗る。
『こ○素晴らしい世界に祝福を!』の、め○みんみたいな命名センス(残念な人の設定)してたら、かわいそうな、もしくは残念なヒーローになっちゃうんだね。もし、正義の味方として雷名を天下に轟かせれば轟かすほど、そこらで「プークスクス」ってア○ア様みたいな笑いを誘っちゃって。
め○みんの飼い猫、ち○むすけって名前だけどさ、あれってチョムスキー知っていて作者出したのかな? だったら、作者、大学で言語学をとってたり、日本語講師の養成所にでもいたことがあるのかな? 言語学者の名前をもじって変な名前に仕立て上げるなんてなんかオシャレな感じしない?
名前が国や場所によっていろいろと違うのは、その人の信仰している宗教や背景にある文化、あとはその人のボキャブラリーに因ります。め○みんの属する紅○族というのは、その物語の主人公である佐○和馬が飛ばされた異世界の他の土地と比べて、そういった感覚が著しくズレているのでしょう。
となると、唯一、自称め○みんのライバルである、ゆ○ゆんだけが、異世界の多数派の感覚をもちあわせているということになるね。そのせいで(?)、名乗るのも口上も恥ずかしくて出来なくて、それで、ぼっち……。
名前といえば、俺は初めてマタチッチって聞いて笑った。
プークスクス。
なにそれ。
な、笑っちまうだろ?
ロブロ・フォン・マタチッチってのがフルネーム。
誰それ?
有名な指揮者だよ。確か、ブルックナーが得意な。日本のN響とかともからんでいたと思う。
名前もそうだけど、コスチュームデザインにセンスがない奴っていうのはもっとすごいかも。登場するやいなや、大爆笑とか。たぶん名前とかよりすごいよ。
顔出しで、スーパー・ヒーローやりたい人だっているのではないのですか?
それだと、なんだかありがたみに欠けてしまうと感じてしまうのでは。故に、いないか、ほぼいないのではないでしょうか? それに、そういう人は少数だと思います。TVや映画のスーパー・ヒーローは、ほぼ全て、顔を隠し着飾っているものです。たいていは派手派手に。ああいうのを子供の頃から見ているわけですから、たいていの人は、「ああいうのが正義のスーパー・ヒーローである」、「かくの如くあるべきである」と脳味噌に刷り込まれているのですから。