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囚人番号103  作者: うそ
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私たちの人生

初めて書いたので誤字脱字があるかもしれないです。楽しく書いたので皆さんに楽しんで欲しいです!

 今月は生理が来なかった。

 どちらの子供でも今ではもう関係無いことだ。

 だって…

 その子が不幸になることには変わらないから。

 恨みから出来た子供は幸せになることは出来ないから。


 最後のお願いです神様。

 どうか強く生きさせてください。

 どうか間違えないようにしてください。

 どうか………選ばれないようにしてください。

 私の可愛い可愛い赤ちゃんを。

*************************************************

 冷たくて重い扉が大きな音をたてながらゆっくりと開いていく、その扉はたくさんの人の恨みで出来ているような色で私の不安を募らせた。まだ朝のはずなのに部屋の中は真っ暗でじめじめとしていた。周りをまじまじと見ていると看守から猫のように首根っこを掴まれて狭い部屋の中に押し込まれた。

 「おい!102番今から30分やるからここでの規則をしっかり覚えとけよ」

太くて少し神経質そうな男の声が私の耳に張り付く 

 「102番?何をいっているの?私の名前はライ…」

 「黙れ!!!」

 私の声は男の怒号によってかき消された。私の肩は無意識に震えていた。

 「規則をしっかりと読まないと大変な事になるぞアバズレが」

 「アバ…」

そう言い残すと男は何もなかったかのように歩き去ってしまった。 

先ほどの言葉に憤りを感じながら地面を見るといかにも使い回してそうなボロボロなルールブックがあった、少し恐怖が在りながらも少しの期待を信じて手に持って開いてみるとそこにはびっしりと文字が書かれていた。普段から本を読まない私には、精神的拷問にも思えた。長すぎるので私が30分読んだ内容を要約すると。

 

 <規則.投獄条件>

 ⚪ダルラズル終身刑務所は犯罪を犯した者や王に指名された者を隔離する施設である。

 ⚪起床5:30  就寝11:30を基本とする。

 ⚪食事は1日一回とする。

 ⚪囚人同士名前で呼び合ってはならない。(与えられた数字のみ)

 ⚪男は6時間以上の労働を義務化

 ⚪女は家事全般を義務化

 ⚪看守の言うことは絶対

 ⚪監視カメラに手をつけない

 ⚪1ヶ月に一度囚人を最大3人処刑(ランダム)

 ⚪重罪者は背中に烙印

 ⚪重罪を犯した者の家族にも罪を与える

 ⚪囚人の血縁者は共に収容

etc.


すべて読み終えて一息着くと、何処からか分からない行き先のない恐怖が込み上げてきた。 

 「処刑…血縁者…」

 今までは恨みでいっぱいだった心はいつの間にかすっからかんになっていた。割れたガラスに写った真っ青になった私の顔、まるで死人のようだった。

 次の瞬間私をもっと怯えさせるように耳をつんざくようなベルの音が辺りになり響いた。動かなくてはならないのに足が根をはったようにびくともしない。看守が何人か走ってきてドアの鍵を次々と解いていく。

 「ねぇ!早く出ないと痛いことされるよ!!!おねぇちゃん!」

呆然としている私に一回りほど年が離れた女の子が話しかけてきたその子は、お風呂に4日に1回しかはいれないのでバサバサになったブロンドの髪と乾いた瞳を持っていた、しかしそれでいても美しい女の子だった。

 「はーやーく!!!早く!」

女の子から急かされながら独房から駆け足でキッチンへと向かった。

 **********************************************

 キッチンに着いてからすぐに女の子は静かに私の瞳をじっと見て満面の笑みを見せた、口の横に出来たエクボは可愛さの象徴とも見えた。女の子は、荒い呼吸を落ち着けながら、ゆっくりと

 「0…9…7…097!!」

最初はなんのことか分からなかったがすぐに思い出した。

 「ああ!えっと私は102番」

 「102ってことは私の後輩だね!よろしく。」

 「よろしくね」

ここでは番号が名前だったのだ。今までにない自己紹介を済ませて私たちはキッチンに立ち、芋の皮むきを始めた。097番ちゃんは小さな手で一生懸命芋をむいていた。


 3時間後料理の作業が終わった女性達は洗濯に向かった。

洗濯は簡単に見えたが寒い気候の中冷たい水で洗うのはとても辛いものだった、流石にこれには097番ちゃんも辛い表情を見せた。皆で手を浸けるから少しずつ暖かくなっていくのを感じるのは、手が麻痺しているからかもしれない、でもそれは今の私たちにとっては少しの助けにも思えた。洗濯をすべて終えると097番ちゃんが冷たくかじかんだ手を精一杯擦り会わせていた、そんな姿を見て自分の弟を思い出して少しの泣きそうになった。少しずつ097番ちゃんに近づいてフーっと息をかけてあげると嬉しそうに笑った。今の私には権力も財力もないけど小さな女の子の手を暖める優しさは残っているのに気づいた。外の生活より上に行くわけではないけど、ここでの生活も悪くないなと思った。汚い王の理不尽な罰もないし、近所の目に悩ませられることもない。ただここには自由がないだけなのだ…………………………。


 しかし私はまだ知らなかっただけだった、ここにいる人たちの深い傷も自分自身の傷も。私の悪い癖は目の前の現状にしか目が行かないこと、それはとんでもなく悪い癖だった、だってこの世界はいつでも理不尽に出来ているのだから。

次回は今回登場した女の子について書くつもりです。

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