表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/9

裏設定 そのとき遠い宇宙では

「うむ、こちらの星でもうまく潜入成功したな。そっちはどうだ?」

「こちらは既に繁殖をし始めた。順調だ。あっちの銀河系の星はどうだ?」

「そっちも第一段階は恙無く完了した。このままいけば現地の生物遺伝子を取り込みながら繁殖していけるだろう。」



 彼等の星は、そのもともと長い寿命と進んだ科学により将来的に人口が収まりきらなくなることがわかっていた。

 

 そのため彼等は、移住可能な他の惑星を自分達が住みやすいよう改良する計画を立てた。


 その手段は、寿命が長い彼等らしい、実に緩やかな侵略である。


 まず、小型宇宙船に自分達の遺伝子情報を持った繁殖用生命体を乗せて目的の星に送り込む。

 

 送り込まれた生命体は現地で「その星で最も素晴らしい生物」と交配し、子孫を残して消滅する。


 どんな現住生物とでも確実に受精させる力を持たせるぶん、その交配で残せる子どもは一体程度。

 しかし、生まれた子どもは彼等の遺伝子情報を持つとともに、その星に適した現住生物の特性も持つ最強生物となる。


 やがて最強生物は「その星で最も素晴らしい生物」との交配を繰り返してその生物をのっとり、より素晴らしい遺伝子情報を構築していく。


 のっとりが完了した頃、彼等はその星に赴き、遺伝子情報を回収して自らの体に反映させ、移住するという寸法だ。


 長いときを生きる彼等にとって、現住生物が数世代、数十世代交代していくのを待つことは、大したことではない。




 ただ、彼等は知らない。

 少なくとも、銀河のある惑星に産み落とされた彼等の繁殖用生命体が「最も素晴らしい」と選んだ生物が、愛玩動物だったことを。

 そして、その子どもとして生まれてきた、彼等の遺伝子情報を持つ大事な最強生物が、一緒に生まれた兄弟たちとともに、去勢・避妊手術を検討されていることを。



「ねー、母さん。この羽だけ隠したら動物病院で去勢やってくれるかなぁ?」

「いっそ、その羽切っちゃえばいいんじゃない?」

「ええっ? いや... いくらなんでもそれはひどいでしょ? ほら、フク震えてるよ? 悪意を感じ取ったんじゃない?」

「じゃああんたがパイプカットしちゃえば?」

「... いや、それも... ていうか、爬虫類って生殖器どうなってるんだろうね?」


 ーー下手したらこの最強生物、去勢以前に命の危機、かも、知れない。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ