表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
白色の狼どこいった?  作者: yademoca
6/10

夜が明ける

「ッキャ────────────!!」


 和子の叫声が爽やかな朝の森に響きわたり、ビックリした野鳥がバサササ、ピチュピチューとちりじりに飛び交っている。

 和子も出来ればそのなかまに入ってどさくさ紛れに飛んで行きたかった。


 「な、なん、なん、なんで、なんであ…アンタが」

 さっきまでシロとラブラブしていたはずなのに、なんで今は目の前に例の銀髪男が裸で立ってるの…?

 裸で、立って…?


 「ウキャアアア───────────!!!!」


 またも爽やかな朝の森に矯声が響きわたり、ビックリした野鳥がバサササ、ピチュピチュー!と飛び交い、森のひとがウッホウッホと騒ぎだす。


 さっきまで困り顔だった銀髪男も、もう野生を味方につけて仁王立ちである。


 「ワコ、オレヲシガミツク、ワカッタ。コレネ?」


 堂々とご自慢のスカイツリーを和子に披露している。

 和子はとてもではないが直視できず、一瞬だけ指の隙間からチラ見してみたが、さすがこの異世界一のスカイツリーぶりにコンマ数秒で目を覆い、


 「シロ、メッ!シロ、わるいコ!シロ、りっぱ、なった、でも、イジワル、ダメッ!」


 とか、懸命に(あっちを向いてー‼)と真っ赤な顔で懇願している。


 シロこと銀髪男は、勝ち誇った顔でニコニコしながら、山の中腹から気持ちよく朝ションを飛ばした。


 「コンナノ、ヒサシブリー!サイコーダー」


 シャーピッピと終えると、朝陽を受けてとびっきりのスマイルでキラキラをとばしながら和子に振り返り、


 「ワコ、ワカッタ?ネ?シロ、コワクナイ」


 と言うとバッと和子に抱きついた。



 「キィヤ─────!!ムリムリダメ─ッ!!」


 ありったけの力で銀髪を突き飛ばすと、和子は麓に向けて猛ダッシュして行った。


(イデデ…、あ、そっち、ワコが逃げて来た方角なんだけど…)


 肌尻に爽やかな朝の光と湿った山の土を感じながら、銀髪男ことシロこと、現神帝アイオリア・フェルディナンドは、相変わらずゆかいなサザエさんのような和子の後ろ姿を笑顔で見送った。




(おわり)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ