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還る場所―Silver Sorcere外伝―  作者: 土方あしこし
9/24

<2>

白い閃光が落ちてくる。魔法を発動させた目で見るとそれが止まって見える。

この刀で打ち返してやる。


「降りて来い!!」


光が近づいてきたとき、俺は刀を大きく振り切った。

閃光と刀がぶつかり合い、青白いスパークが飛び散る。そして、雷はフェイメル=サージの顔面横すれすれを通り過ぎた。

本当は直撃するはずだったが、超人的な速さで避けられたのだ。


「髪こげちゃったんですけどー。どうしてくれるんですか?」


黒い帯の隙間から間抜けな声が聞こえてくるが、ちらりと見えた表情はそれとは裏腹に、顎に片手を添えて真剣な顔をしていた。心は違うことを考えているようだ。


「降りてきたらこげた部分も切ってやる」


俺はそういいながら、自身を白い光で包んでまた歩き出した。

敵が闇なら、やはり光が弱点という考えはあっていたようで、まとわりついてくる帯がだいぶ減り、歩きやすくなった。さっさと心臓を捜さねば。


「じゃあ、カットお願いしましょうかね〜」


相手は思ったよりすんなりと下に降りてきて、俺の目の前でにこっと笑い、双剣で空を斬った。俺が避けたということだ。

しかし、この黒い生き者のせいで動きづらい。俺が足を下につけるたびに、ズブズブと泥沼のように沈み込む。

だが、相手の足元は普通の地面のようにまったいらだ。動くたびにコツコツとブーツの音がする。その音が容赦なく俺に迫る。


「かなりのハンデがついているのによくそこまで刀を扱えますね」


双剣を振りながらニコニコを話しかけてくるが、ここで初めて相手が観客席に視線を送った。

そして、どの辺りを見ていたのかはわからないが直ぐに顔を観客席から背けて眉間にしわを寄せ、涼しげな顔に冷や汗をかき始めた。

一体どうしたというのだろう。

が、初めて隙をみせたのだから絶好のチャンスだ。今の内に心臓部へ移動しよう。

俺は、隙をついて相手の体勢を崩し頭上を飛び越えた。


「あ。あー・・・いいのか」


飛び越えた後ろで、変に納得しているフェイメルがいた。

足元の生き物を倒されてもいいということなのだろうか?

考えすぎると動きが鈍るからやめよう。

今は心臓を・・・


「!?」


いきなり先ほどまでと打って変わって足元の引き込み方が早くなった。あっという間に下半身が埋まってしまっている。


「くそっ」


フェイメルが指示を出して俺を沈ませているのか、人差し指を地面に向けて軽く振っている。

もがけばもがくほど視界が狭くなっていく。本気でヤバイ。

魔法で脱出を考えたが、それはフェイメルの魔法によって打ち消されてしまった。そして、その時の奴の顔は誰かを思わせる顔つきだった。

冷めたようなあの目。あれは・・・


「さよならだ」


ルシャが完全に黒い床に引き込まれてから、フェイメルはその場にしゃがみこみ、なんともなさげに軽く地面を撫でた。



奴はどうしてここで俺を沈ませたのか。

脈が大きくなって、全身でその鼓動を感じる。近くにある。

息のできない空間で目を開くと、目の前には俺の身長ぐらいの赤く光っている球状のものが鼓動と一緒に動いている。ちがう。こいつが原動力だ。


これが、心臓。

もうぶった斬るしかないだろ。無駄な殺生は好まないが、許してくれよ。

俺は、謝罪を胸に心臓めがけて刀をつきたてた。

突き刺した直後、苦痛に耐えようとしているのか、俺を包んでいた黒い空間が激しく歪み、徐々におとなしくなり、一気に視界が開けた。

空中分散した中身から俺は本来の闘技場の地面に着地した。

そして、すぐに相手の気配のする方向へ刀を構える。


「抜け目ないですね。

生還おめでとうございます。

赤い服、なかなかに合っていますよ〜」


パチパチと拍手をして、心臓からの大量出血で真っ赤に染まった俺の服を褒め称えている。

こんな状況下でへらへらしていて実に腹立たしいが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。


「お前っ、わざと」


俺は息が切れ切れの中、相手に尋ねた。

明かにわざと心臓部に俺を引き入れただろう。

だが、相手はしらばっくれた。


「何がです?あーあ。ボクのかわいいペットが。

敵はとらせてもらいますよっ!」


呆けた顔になったかと思ったら、肩を落として激しく落ち込み、仕舞いには斬りかかってきた。

黒い帯の所為で体力がいくらか削られてしまったが、まだまだいける。

接近戦は大の得意だ。


それから試合が終わるまで、フェイメル=サージは一切大きな魔法を使わずに接近戦にこだわった。しかもほぼ受けに徹していた。

もう魔力がさほど残っていなかったのか、使わないようにしていたのかはなぞのまま試合は終了した。



試合後、俺はコロシアム内で立ち往生している。

足元に子供達が群がって、その親たちまでもが俺の行く手を阻んで、行きたいところに行かせてくれない。皆、好奇な目で俺を見つめ、その視線が痛い。

試合で負けたから集団リンチにあっているわけではない。その逆で、勝利を収めた俺をまじかに見に来ているのだ。

足元の子供が騒ぎ出す。


「サイン頂戴!」


サインなんてもの考えたこともない。


「この刀頂戴!」


お前みたいなちびは、逆に振り回されるぞ。


「あはは!おさげー!!」


おさげって言うな!!誰だ言ったの!!


・・・じゃなくてだ。心の中で子供と葛藤してどうする。

俺は今、試合相手だった『フェイメル=サージ』に会って確かめたいことがあるんだ。

試合中に俺が負わせた傷で意識不明となった相手は、救護班に運ばれて闘技場を後にしてしまい、確かめたいことが聞けなかった。

コロシアムから出ればどんな傷も修復されるため、相手はもうピンピンして街へ出てしまったかもしれない。早く行かねば。


「あー!負けたお兄ちゃんだー!」


足元の群れの一人がいきなりコロシアムの入り口付近を指差すと、そこに深い藍色のマントが翻って消えた。


「すまない。通してくれ」


「えぇー!?」


足元の子供達を掻き分けて(いちいち抱き上げてどかして)、俺は入り口の外に飛び出した。


「いない・・・」


入り口も多くの人が行き来していて見通しが悪かったが、マントが消えた方角にはそれらしき人物はいなかった。子供めっ。

しかし、俺が心なしかうなだれていたら横から声がした。


「俺に何か用ですか」


声のしたほうに向き直ると、入り口の脇の影から茶色いブーツを鳴らして『フェイメル=サージ』が現れた。

俺が追いかけていたことを気づいていたのか、支柱の影に隠れていたらしい。

ん?隠れる必要ないよな。まぁいいか。


「聞きたいことがある。

お前、本気で戦っていたか?」


直後、相手は顔をしかめた。

それもそうだろう、好きで負ける奴なんてこの大会に存在しないし、負けた相手にそんなことを言われたのだから気分がいいわけがない。

だが、俺は確かめなければならないのだ。手合わせしている最中に感じた違和感を。


「それは、どういう意味です?

想像より簡単に勝てたから、俺が手を抜いたと思っているんですか?

残念ながらあれが俺の全力ですよ。では、これでも急いでいるので・・・」


そう言って、俺を追い越してコロシアムから離れようとしたが、腕を掴んでその場に留まらせた。


「俺には、お前が・・・」


「場所を変えましょう。少しだけなら付き合えます」



フェイメル=サージはさっと周りに視線を巡らせると、俺の言葉を切り、掴まれた腕を払って街の方へ歩き始めた。

さっきまで試合をしていた二人が人前で何かを話していたので、野次馬がわんさかいたのだ。


先を歩く藍色マントは、時々、街の中央にある時計台に目を向けて急いでいるかのように、人気の少ないところまで一直線に移動した。


「ここでいいですかねー」


レンガの壁が連なった裏路地に入り、行き止まりの少し薄暗いところでフェイメルは立ち止まった。

向き直ってにこっと笑う。

おそらく、これは仮の顔。

試合中からなんとなく違和感はあったのだ。無理やり作っているようなその笑顔が原因だと思う。


「本当にお前は『フェイメル=サージ』か?」


俺の言いたいことは伝わっているだろうか。

相手は微動だにしない。


「初対面で何も知らないが、それが本当の姿なのか?

試合前に俺を見ていただろう」


確信を突いた一言。

この瞬間相手から表情が消えうせ、場の気温が一℃ほど下がった気がした。

穏やかなものから無へ・・・。

口調も愉快そうにしていたものから、面倒くさそうになっている気がする。


「あんまり関わっちゃいけないんだけどなぁ・・・勘がいいんだな、あんた」


なにやらぶつくさ言っているので、無言で相手の次の言葉を待った。

すると真実を語ることを決心したのか、俺を敵と見なしたのか、相手は自らの足元に魔法陣を出現させた。

俺が柄に手をかけて警戒すると、相手は魔法陣から発せられる白い光に包まれながら口元を楽しそうに歪ませた。

そして、光が消え失せてから現れたのは先ほどまでの『フェイメル=サージ』ではなく、黒ずくめの赤茶髪の少年だった。

明かに見覚えのある風貌と、整った顔。

試合前に俺を見ていた人物だ。


「そっちが本当の姿なのか?」


「そう。

ハジメマシテ、ルシャ=ノアルドさん」


にこりとも笑わずに、手を優雅に胸に添えて形だけの挨拶をしてきた。

いきなり無愛想になりやがって、こいつ二重人格か?

じゃなくて、聞きたいことは他にある。


「どうしてわざと負けた」


接近戦に持ちかけてから、奴はやけに避けたり、受け流すことが多かった。

そして、わざと俺の攻撃を受けている印象がしたのだ。

これに対し、相手は否定をしなかった。


「勝つことが目的じゃなかったから。

それとも、最上級魔法で片付けられたかったかな」


「本当に使えるのか・・・」


わざと負けたことより、最上級魔法が使える事実のほうが驚きものだ。

魔法使いは20代が最も魔力の向上が大きいといわれ、この20〜29歳までの間でどれほど努力するかで魔法使いの格が決まってくる。

それ以上・それ以下の年齢はどうがんばっても限度があり、20代の最高単位の魔力には到底届かない。20代の最高単位は無限といってもいい。

最上級魔法を使用するには、10代での最高単位の魔力を持ち合わせていなければ、とてもじゃないが一秒も使っていられない。

17歳ほどで使えるということは、こいつはすでに10代で会得できる魔力をとっくに蓄えていることになる。

10代の最高単位をとるだけでも、相当に過酷な修行を必要とするのに・・・。

常人の域を超えている。


見かけは明かに努力とは無縁そうな綺麗な身なりで、何事にも無関心そうなのに。

人は見かけによらないものだ。

こうして俺が一人納得してウンウン頷いていると、相手は気分を害したのか、顔をかすかにしかめて話題をずらした。


「一つ聞きたい。妹さん俺のこと何か言っていたか?」


リシュのことか?だが、答える義理がない。


「そんなことを聞いてどうする」


「作り笑顔の研究成果が知りたい」


喋ってみると案外、無の表情から喜怒哀楽を見せるが、口調が淡々としている。

で、眉を少し上にあげて平然と変なことを言われた。

作り笑顔だと?


「なんの為にそんな事を」


理解できない。楽しくなければ笑わなければいい。女を惹きつけるためなのか?

だが、相手はそんな安易な気持ちで笑顔の開発をしているわけではなかったらしい。

表情を無から、目に意思を宿した真剣なものに変え、俺の質問に答えた。


「俺は、王の恩恵を受けるために、力と仮面を必要としている」


王の恩恵?平民が?

確かに王も目を瞠る魔法の力は十分にあるようだが、何のために。


「裕福な暮らしをおくるためか?」


相手は首を軽く振って答えた。


「贅沢な暮らしなんていらない。

でも、今は・・・弟と一緒にいるために、王に尽くさなければならない」


この時、ほんの少しだが、どこか悲しそうな表情をした。

親はいないのだろうか。


「家族の為、か」


家族のために犠牲を払うことは共感できる。

だが、相手は苦痛の方が大きいのか、それとも家族に後ろめたいことでもしているのか、纏っている空気が重く、辛そうにみえる。

そして、また首を軽く振って俺の言葉に答えた。


「そんな聞こえのいいものじゃない。

俺は自分が一人になりたくないだけで、向こうは本当の家族に今でも会いたいんだと思う。

会わせてやれないけど」


「血が繋がっていないんだな。その弟」


「そう。でも俺の生きる意味だ」


弟を大事に想っているらしい。嬉しそうな、心の温まる表情を見せた。

だが、唯一人間らしい表情だったそれはすぐに消え失せ、不機嫌そうな顔になってしまった。


「どうしてこんな話に。

妹さんはどうだったわけ」


態度急変。腕を組んで壁によりかかり、妙に偉そうだ。

しかし、答えたらリシュに何かしら影響がでるのだろうか。だとしたら軽々と喋るわけにはいかない。

こうして俺が沈黙していると、相手は静かにため息を吐いて眉間に皺をよせた。


「別に妹さんに危害を加えたりしない。

どうせもうすぐ俺を見たことを忘れるし」


なんともなさげに相手は赤茶の髪をかきあげて、長い前髪をうっとおしそうにつまむ。

今の台詞は聞き捨てならないだろ。こいつは記憶が消去できるのか?


「お前、人の記憶を操作できるのか?

いや、またそれは何のために?」


「質問ばかりしてないで、そろそろ答えてくれないか?

あまり時間がないと言っただろ」


相手は、組んだ腕の上を人差し指でトントン叩いて苛立ちを表し始めた。

確かに、さっきから質問しかしていないな、俺は。


「すまない。答える」


そう言って、リシュの反応を一言二言で述べ、相手の反応を見た。

本人は答えを急かしていたのにも関わらず、「ふーん」としか答えずに、聞かなくてもよさそうな反応をしている。

まぁ、リシュの反応からいって成功なのだろう。たぶん。


「156ページだったかな」


勝手に結論づけをしていたら、相手はすでに違うことを考えていたようで、壁に寄りかかっていた体を起こして俺と真正面に向き合った。

何が156ページなんだ。


「俺が知っていても意味のないことだから、あなたの為になることを教えておいてあげるよ」


話がずれているのに、あくまで上からの物言いだ。

相手の方が背丈が低いはずなのに、纏っている鋭い雰囲気のせいで見下されている気分になってくる。

しかも無表情になってしまい、何を考えているのかわからない。


「この間、ウェストルダム城の書物を漁っていたら、指輪からの解放呪文を見つけたんだ。

興味があったから覚えたまでだけど、あなたは知っておいた方がいい。

長いから心して聞けよ。

呪文は・・・」


「待て。お前は何を言ってるんだ。

指輪とはなんだ?城の書物をお前が閲覧できたのか?」


いきなり意味のわからないことを言いだして、どんどん先に話を進められても混乱するだけだ。

だが、正論を言ったはずなのに、向こうから一段と不機嫌になった気配がする。

しかも、相変わらず感情の読み取れない無表情だ。微かな喜怒哀楽も見当たらなくなっている。


「黙って聞いてればいいんだよ。

記憶するだけで、理解しなくていい。

知るべき時になったら思い出させるようにするから」


実に鬱陶しそうだ。

思い出させるって、本当に記憶を操作できるようだし、簡単にやってのけそうだな。

相手は、つらつらと長い呪文の言葉を紡ぎだした。

それは一般に使われている言語ではなく、俺達魔法貴族と王族しか知るはずもないものだった。

主に正式な場で使われ、国の機密事項を話し合うときに使われたり、罪人に刑を宣告する時などに用いられる。

今奴が紡いでいる言葉の内容は、罪人を解放するというものだった。


「・・・以上。

この呪文は、指輪の持ち主が唱えないと意味がない。

だから、あなたが唱えても何の意味もない。

だが、300年の間に伝承が断たれ、持ち主はこの呪文を知らない。

あなたは、持ち主との信頼を勝ち取り、伝えなければ、永遠に解放されないだろう。

精々がんばれ」


頑張れといいながらも、表情や言い方はどうでもよさそうで癇に障る。


「その言語は、王族と魔法貴族しか知らないはずだぞ」


少し不機嫌そうに告げたのだが、相手はなんともなさげにまた意味のわからないことをつぶやいた。


「そうか。

ここでは古語じゃないんだったな」


俺の問いを聞いていたのかこいつは?

どうして古語とかいう単語がでてくるんだ。

会話をするだけ無駄なのか?もう意味がわからない。

だが、後々必要になる知識なら一応聞いておこう。必要じゃなくても聞くだけで特に損はしない。

相手が黙って俺の方を見ていたので、俺は先を促した。


「続けてくれ」


肩をすくめてから相手はまた喋りだした。


「婚約はあなたが22才になるまでお預けにしておいたほうがいい。

彼女が大切ならそうするべきだ」


『彼女』とは、やはりテュイリール=リアスのことだろうか。

なんでこいつが知っているんだ・・・


と、考えるだけ無駄なような気がしてきた。


「お前、占い師か何かか?」


呆れ口調にそう告げると、相手は先ほどまでの無関心な態度が嘘のように、表情と声音を真剣なものに変えた。

そして、しっかりと俺の目を見て宣言した。


「勘違いするな。

これは、予言じゃない。史実だ」


冗談じゃなければ、一体何者だというのだろう。

見かけによらず仙人の爺さんだったりするのか?

そんな想像を膨らます俺を無視して、相手はレンガの壁の上から微かに見える時計台に目をやってから、またさっさと話を進めた。


「もう時間だからいろいろ教えるのはこれが最後。

俺があなたの視界から消えたら術が完成して、俺と関わった全ての人から俺の記憶が消える。

そして、あなただけにこの会話を意識の隅に封印させる。

顔と名前だけは記憶を消さないであげるけど、誰かに俺のこと話したらその瞬間に大事な指輪の記憶も消えるから気をつけるように。

何か質問は?」


そっぽを向きながら、無関心そうにたずねてきた。


「お前の名は?」


そういえばこいつの名前を聞いていないことを思い出し、名を尋ねた。

名前は『フェイメル=サージ』のままだったりするのだろうか。

この質問を聞いた相手は、「なんだ、そんなこと」といった顔をして答えた。


「『アダム』。

遠い未来に会うかもしれないな。

まぁ、そちらさんが300年も覚えていられたらの話だけど。

・・・孤独に耐えれば、最期にまた光に出会えるよ。

それじゃ」


自称アダムとやらは、そのまま背を向けて歩き出し、この言葉を残して去ってしまった。


「孤独・・・」


どういうことなのだろう。

300年?指輪?孤独?どれも今の俺にはさっぱりわからない。

あいつは『史実』と言っていた。

まるで俺の未来を知っているような口ぶり。


「アダム。覚えておこう」


そして、俺は家族のいるコロシアムへと足を向けた。

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