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還る場所―Silver Sorcere外伝―  作者: 土方あしこし
21/24

<2>

見つけた時俺はすぐに駆け寄って声をかけてやることが出来なかった。


「なんだ、この有様は・・・」


「ちょっと、何を急に止まっているの!危ないでしょ・・・」


俺の後ろから状況を目にしたエマも足を止め、言葉を失った。

目の前の地面が一面、白い砂。

つまりそれは、悪魔の死骸であり、その場に立ち尽くしている人物が一人で大量の悪魔を倒した事を物語っている。

もちろん立っているのは、マーリィンだ。

マーリィンはまだ俺達の存在に気づいていないらしく、手の平に載せている何かを茫然と見つめていた。


(何だ・・・?)


俺は何を持っているのか気になって足を進めると、マーリィンがそれを口に運ぶように手を上にあげた。

その時に、地面と同じ白い砂が手に乗っているのが見えた。

まさか、コイツ・・・!


「よせ!!」


思わず駆けよってマーリィンの手を強く叩き、砂を落とさせた。

もう少し気づくのが遅かったら、かなり危なかった。なにせ、マーリィンは



悪魔化しようとしていたのだから。



「・・・ルシャ・・・くん?」


「何をしているっ」


一人で人型悪魔を倒し、その死骸の粉を飲めば誰でも悪魔化する。

何をしようとしたのかは一目瞭然だが、俺はどうしてこんなことをするのか意味がわからなかった。

マーリィンはただ固まった表情のまま俺を見上げてくる。


「マーリィン?」


エマも恐る恐るマーリィンの近くに寄ると、マーリィンは怯えたように後ずさりした。


「二人の見ての通りだよ」


「どういうことだ」


「だから、悪魔化を・・・」


「どうしてそうしようとしたのかを聞いている!

俺は、お前が悪魔化するなど許さない!」


「っ!」


俺がルワンの忠告を無視して怒鳴りつけると、マーリィンは今まで一度も見せたことがない涙をぽろぽろと流し始めた。

まずい、感情的に言い過ぎた・・・。

エマが目で強く俺に釘をさすと、マーリィンの肩に手を置いた。


「マーリィン、これには何か理由があるのよね?

いきなり怒鳴って悪かったわ。だから、泣かないで」


「ちがっ、違う。ルシャくんは、悪くない・・・ごめんなさい」


ごしごし手で涙を拭ったマーリィンは、まだ涙を流しながらも泣きだした理由を口にした。


「私はっ、安心してしまった。

悪魔化をすると決めたのに、ルシャくんが止めてくれたことに安心してしまった!

こんな自分が悔しくて・・・だから・・・」


「だから、泣いたのか」


俺の言葉にコクンと頷いて見せる。

好きで悪魔化したいわけではないのはわかった。

この様子から見て、どうしても悪魔化しなければならない理由があり、苦渋の決断の下この道を選んだのだろうが、自分の決意が綻んだことを恥じているようだ。

どこまでも自分に厳しい奴だ・・・。

同じ考えを持ったエマがまた優しくマーリィンに声をかける。


「理由はわからないけれど、マーリィンがそこまで自分を追い込むことはないのよ?

私達がついているじゃない」


「エマ、ありがとう。

でも、これは私がやらなくちゃいけないことなの」


「どういうことなの?説明してくれないかしら」


エマの言葉に素直に頷いたが、いつまでも悪魔の巣窟に長居しているわけにもいかないし、シールドの魔力回復も必要であるため、翌朝全員が揃った状態でその説明はされた。


「私達、強くなったよね。当主を倒せるくらい」


宿の俺の部屋で、椅子に座ったマーリィンがこう口を開いた。各自椅子やベッドに座ってその話を聞き、俺は立ったまま壁に寄りかかって今の台詞に静かに頷いてみせた。


「だから、もう悪魔の城に行って、魔本を奪う事が出来る」


「そうだね。

それは、早い方がいい」


ルワンがこう言うと、マーリィンはゆったりと頷き、歯切れが悪いが話を進めた。


「うん。

それで、その・・・悪魔の城への行き方なんだけどね。

悪魔の城は、宙に浮いているでしょう?」


「そうね。でも、魔法を使えばなんの問題もないわ」


「ううん。悪魔の城は、魔法ではたどり着けないようになっているんだ。

防御魔法が働いているみたいで、誰も寄りつけない」


「なんだと?」


エマの言葉に対して言ったマーリィンの台詞は初耳だ。

それだと魔法使いが悪魔に手を貸していることになるし、何より行く方法がない。

しかし、マーリィンは俺の不安を一気に拭いさった。


「悪魔の城に行く方法が一つある。

城への扉が地上にいくつかあって、それは森の中を移動している。

それを探して、城へ行けばいい」


「扉が移動してんのか?」


「うん。いくつか出現する場所のパターンが決まっているから、その時期にその場所へ行けば、かならず扉が現れる。

そこは問題ない」


不思議そうに質問するニールにもマーリィンはハッキリとした答えを返した。

よっぽど悪魔の城のことを調べたらしい。

しかし、『そこは問題ない』ということは、他のことでマーリィンは思い悩んでいるのだろう。

俺が黙って続きを待っていると、マーリィンは思い切ったように口を開いた。


「でもその扉は、誰かが悪魔にならないと見えない上に、触れない。

つまり、誰かが悪魔化しないと城へは一生行けない」


「何だと?

なぜだ。

人間では見えないのか?」


そんなバカなことがあってたまるか。


「そう、侵入者を防ぐために、悪魔じゃないと見えないし触れない扉らしい。

悪魔を捉えて扉を開けさせようと試みた人もいたらしいけど、そうすると、悪魔は全員自害してしまって・・・扉を見ることは出来ても、開けるには至らないんだって」


マーリィンはそう言いながら俺の方を振り返り、少し微笑んでいるような、それでいて泣きそうな顔で口を開いた。


「だから、私が悪魔化して、扉を開ける」


「なんでお前が悪魔化するって決まってんだよ!」


ニールが思わずベッドから立ちあがりマーリィンを怒鳴りつけた。

確かに、なぜマーリィンが悪魔化しなければならないのかがわからない。俺達の中の誰かがなればいい話だ。

まぁ、そんな単純に決められる話ではないのだがな・・・。


「ニール、魔本封印を提案したのは私だよ?

だから、これだけは皆に頼ることは出来ない」


「そんなの、お前が悪魔化する理由になんねーよ!

お前、本当は嫌なんだろ?怖いんだろ?

泣くくらいなら、嫌だってちゃんと言え!

諦めずに他の方法探せばいいんだよ!」


「もう怖くないし、他の方法なんて見つからないんだよ!」


「怖くないわけねーだろ!

方法だって、皆で探せば見つかる!諦めんな!」


俺は、マーリィンの何事にも揺らがないその意志に尊敬の念を抱いていた。

だが、やはり彼女も一人の人間であり、まだ18歳の少女だ。

完璧に全てを貫く事など出来ないし、こんな不安を自分一人で抱え込むには荷が重すぎる。

俺は何がしてやれるだろう。

どうしたら、支えてやれるのだろうか。


「死を恐れない人間などいない。

お前が、恥じることなど何もない。

だから、嘘だけはつくな。俺達の事を考えてくれるなら尚更だ」


「でも、私は、自分のためじゃなくて皆の為に旅にでたのに、自分のことを考えてしまった!」


俺の言葉にマーリィンは尚も民の事を考えて反応を返したが、これを聞いたニールがさっきよりも怒りを露わにしてマーリィンの胸倉を掴んだ。


「っ!ニール?」


「ニール、やめるんだ」


ルワンが手を掴んで引き剥がそうとしたが、どうもニールは本気らしく手の力を緩めない。


「お前の言う『皆』と『お前』は何か違うのかよ?

自分が世界で一番偉い存在だとか思ってんのか?

自惚れんなよ!?

お前に犠牲になられてもな、こちとら何も嬉しくねーんだよ!

皆皆って・・・お前自身がいなくなったら誰も悲しまないと思ってんのかよ!

バッカじゃねーの!!」


最後の台詞と共に、ニールはマーリィンを椅子に叩きつけると部屋を出て行ってしまった。

ニールがこんなに人に意見を言ったのは初めてなんじゃないだろうか。

それ程にマーリィンの事態を真剣に受け止めているということなのだろうが、肝心のマーリィンが余計へこたれてしまった。

よろよろと立ち上がると、か細い声で俺達に問いかけてくる。


「私・・・別に自分が偉いとか、思ってないよ。

でも、じゃあどうしたらいい?」


俺とエマとルワンは、顔を見合わせると一度頷いてルワンが口を開いた。


「まずは、とことん悪魔の城への行き方を探そう。

最終的に今の方法しかなかったとしても、悪魔化をする人物は俺達仲間全員で決めよう。

これはすごく大事な事だから、一人で抱えちゃダメだよ」


「・・・うん」


「あとね、ニールの言い方はよくなかったかもしれないけど、ただマーリィンを心配する一心で言葉を口にしたんだと思うんだ。

ちゃんとマーリィンが今どんな気持ちでいるかをわかっているはずだよ。

ただ、マーリィンがいなくなったら、ニールが悲しむ事を忘れないであげて」


「・・・うん。

私、ニールと話してくる」


マーリィンはそう言うと、部屋の扉へ足を向けたが何かを思い出したのか、こっちに向き直って俺に抱きついてきた。


「ルシャくん、森で止めてくれてありがとう」


急な事に戸惑った俺は、ニコニコ顔のルワンと、眉間に皺を寄せるエマに見守られながら頭に手を置いた。


「気にするな」


マーリィンは笑顔を見せて今度こそ部屋を出て行った。


「どうしてあなただけ礼を言われているのかしら」


不機嫌な顔で見られている時点で、エマには不満を言われると思ったが、いちいち突っかかってこないでもらいたい。

俺が黙っていればいいのだろうが、どうもコイツの態度は腹が立つんだよな。


「俺がお前より先にマーリィンの手を叩いたからだろ」


「あなたの図体が大きくて見えなかったのよ」


「責任転換はよせ。老眼で見えなくなっていたんじゃないか?」


「いちいち年寄り扱いしないでくれる!?

ボケっと突っ立っていたのが悪いのよ!」


「いつ俺がボケっとしていた。

驚いて動けなかったくせに」


「それはあなたもでしょう!?」


「はいはい、痴話喧嘩はよそでやってね~」


痴話喧嘩じゃないし。

プライドをかけた戦いだ・・・と俺は思っている。

まぁ、ルワンのこの言葉のお陰でエマの怒りの矛先がそっちに向かったから良しとするか。


それから半年。

俺たちは悪魔の城へ行く方法を探すべく、様々な書物を読み漁り、直に移動する扉の位置まで行き悪魔を捕まえては扉を開けられないかどうかを試みた。

考えられる全ての方法は試した・・・が、その全ては呪術によって阻まれてしまった。

魔法学校に協力を要請し、城の防御魔法を共に打ち破るという方法も考えられたが、呪術によって仕掛けてある魔法は、どんなに攻撃をぶつけても、呪術を解くまで壊れることはない。

その根本的呪術を解ける者が存在しなかった。


なら、やはり方法は一つしかない。


「・・・悪魔化か」


俺は一人、疲れた目を休めるために木の上に登っていた。この呟きは誰にも聞かれていない。

そして、ぐるぐるといろんな考えが浮かんでくる。

世界の平和には常に、表舞台に立たない影の功労者が何千何万と存在していると思う。

戦争に駆り出される兵士がそうだ。

どんなに作戦を練ろうとも、動く者達がいなければ何も始まらないし、開けない。

平和への扉を開けるために、命を鍵に変えてきた者達がいる。

俺はその立場なのではないだろうか。

旅に参加した目的は、マーリィン達を守ることだ。

あいつらなら、ウェストルダムに平和を導いてくれると信じたからここまでついてきた。

なら、誰ひとり死なすわけにはいかない。


「あいつらが光りなら、俺は影だ」


元々腕にしか自信がないし、悪魔化することが最大限に役に立てることなのではないだろうか。

命を粗末にするつもりはない。ただ、ついてきたからには、自分の使命を見極め、全うする覚悟だ。

だが・・・俺は約束した。

無事帰ったら、式を挙げると。


「テュイル・・・」


俺のポケットには、常に丸い青い宝石が入っている。

それは、婚約した時に夫が妻に贈る物だ。他の国では結婚指輪らしいが、ウェストルダムでは、宝石を贈る事が結婚の証となる。

オルファンに貰った物よりも一回り小ぶりだが、これくらいがテュイルには似合うと思い、旅立つ前から買っていた。

本当は・・・恋愛感情なんて一切なかった。婚約しているからけじめをつけようと、手紙に『式を挙げよう』と記し、こうして宝石を買った。

テュイルは俺の手紙を読んでどう思っただろう。喜んだのだろうか。

いつもの温かい笑顔で、笑ったのだろうか。

もしそうならば・・・


「嬉しい・・・な」


今までは、重荷になるのではないかと考えていたが、嬉しいと思うようになった。

離れているからだろうか、彼女の笑顔が支えになっているところが多くなっているのだ。

テュイルが喜べば、俺も嬉しい。

そして、これから俺がやる事を誰も許さなくても、テュイルだけが許してくれるのならば、俺は後悔せずに進んでいけると思う。


「テュイル、俺は、お前を」


気づいた想いを口にすることはない。

ただ、気づけたからこそ、俺は決心が着いたと思う。

このまま仲間の内の一人が悪魔化して、魔本封印が上手く行っても、俺は笑ってそのあとの平和の中で生きていけるか?

いや、間違いなく後悔をする。

そして、そんな状態では誰も幸せにすることは出来ない。

愛する者達が安心して暮らせるようになるならば、俺は悪魔化をする。


父上の跡は、リシュが継いでくれるはずだ。

レーシェは嫁いでしまったが、リシュなら婿を迎えて当主になれる。

剣の腕も女子の大会で優勝する程に成長したし、ノアルドの名に恥じない当主になるだろう。


マーリィン達には、どう切り出すかだが・・・。



「俺が悪魔化をする」


結局良い言いまわしを考えられなかった俺は、素直にこう告げた。

もちろん誰もが反対するわけで、特にマーリィンは烈火のごとく俺に突っかかった。


「何を言ってるの!?ルシャくんが悪魔化をしようとする理由がわからない」


「これが俺の役割だと思ったからだ。

それに、他に方法がない以上、誰かが悪魔化しなければならないことは決まった。

悪魔はイースティックも落としにかかっている。もう時間はない」


「私は、ルシャくんにこんなことをして欲しくて、ウェストルダムから連れ出したんじゃない!!

こんなこと、頼んでない!」


「わかっている。

これは、俺の我儘だ。

許せ」


「許さない」


マーリィンに代わって、ルワンが珍しく怒りの表情で俺に突っかかってきた。

まぁ、そんな顔をされても俺の意志はもう揺らがないがな。


「ルシャには、家族が待ってるよ。テュイルちゃんも。

悪魔化するなら俺がする」


ルワンも悪魔化することを考えていたことはわかっていた。

そう決意した理由はわからないが、こいつはそういう男だ。


「ダメだ。

お前はドレーク家の跡取りだ。代わりはいない。

俺には妹がいるから、心配はいらない」


「ニールがいるよ。

父上も、もう歳だ。俺が悪魔化して死ねば、ニールを跡取りにする。

そうすればニールはいい生活を送れるし、俺はそれで幸せだよ」


「お前の望みは、ニールの幸せだけではないだろ。

兄弟揃って帰りたいからここまで来たんだろ。

なら、悪魔化して死んだりするな。

マーリィンもそうだ。

お前は当主を倒し、魔本を封印するのだろう?

悪魔となって、倒れてなどいられない。

エマも、マーリィンと生き延びたいのだろう。

ニール、お前はルワンの為にも未来を生きろ」


仲間全員が己の願いの為にここまで必死にやってきた。

そして、俺の願いはこいつらを守り、ウェストルダムを守ってもらう事だ。

最大限にこの命を生かせるってものだろう。


「ルシャはどうなるんだよ!

家族の為にここまで来たんだろ!

なら、命を粗末にするな!!」


「粗末になんてしていない。

俺は、マーリィンを守る為にこの旅に同行した。

マーリィン、お前ならウェストルダムを救ってくれると思ったからだ。

この言葉は、お前の重荷になるかもしれないが、これが俺の意志だ。

命は、大事な時に使え。その時期を間違えるな。

これが俺の願いなんだ」


「ルシャくんの命は、私を生かす為にあるんじゃない!

そんな安い命じゃないっ」


俺には勿体ない言葉だな・・・。


「そう思ってくれるのなら、魔本を必ず封印してくれ。

俺はそれで報われる」


「ルシャくんを待っている人達は、報われないでしょうっ」


「このまま帰っても、誰にも何も与えられないさ。

だから、もう何も言うな」


「ルシャくんはバカだっ」


「バカで結構」


そんなこと昔から知ってるし。



この翌日、俺は人型悪魔を一人で倒し、その死骸の粉を手に入れた。

粉を口に含んで水で流しこんでしまえばいいだけの話だが・・・いざ飲むとなるとかなり抵抗があるな。

さっきまで人間の形をしていた物体なんだよな。


「それ飲むの?うえー」


「ニール・・・これから飲むのだから、そういうことを言うな」


俺が『うえー』と言いたいくらいだ。

と、その前に忘れていたことがあった。

俺は粉の入った小皿を机に置くと、護身用のナイフを出して三つ編みに手をかけた。

剣を手にしてから、ずっと三つ編みをしてきた髪だが、これも今日でおさらばだ。

切る事で一つ区切りをつけることが出来るだろう。


「『ルシャ=ノアルド』はここで死ぬ。

これからの俺はただの『ルシャ』だ」


俺は、ひと思いに髪を切った。

なんだか随分と軽くなって、肩の荷が下りたような気がする。

もう俺がノアルド家を背負っていくことはないんだな。


「ルワン」


「何?」


「この髪を父上に渡してくれ。

俺は悪魔にやられて死んだことにしろ」


「!

お父さんには、事実を伝えた方がいいよ」


「出来れば、今のままの俺の姿を思い出にしてほしい。

父上の中では、そう生き続けたい」


また俺の我儘だが、いいだろ最後くらい我儘を言ったって。


「テュイルちゃんはどうするの」


「テュイルには、直接会う。

一つ、俺自身から渡さなければならないものがある」


「悪魔化した状態で会うの?

そうすると、お父さんにも話が伝わるよ」


「悪魔化した後、魔法で人間の姿に見えるようにしてから会う」


「なんでそんな回りくどい方法をとるのさ。

今会いに行けばいいよ。時間はある」


「いや。

今会えば・・・決心が鈍る・・・かも。

悪魔化してから会いに行く」


女一人の為に悪魔化するの辞めました、とか洒落にならん。


「ルシャ、今更青春なのか!」


「うるさい」


ルワンのこういうところは嫌いだ。いちいち大げさな反応をしないでもらいたいものだな。


「それじゃあ」


俺が微かに笑って粉の乗った小皿を持ち上げると、全員が驚いたような表情をした。

こんな時に笑っている方がおかしいか。


「魔本封印の為に、乾杯」



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