プロローグ
「…く!」
私はとにかく走った。
夕刻の学校の中でただ逃げ惑っていた。
何に逃げているといえば。
スサーー!!
まるで壊れたラジオのような雑音を響かす黒い影だ。
黒い影は私を追いかけてくる。
立ち止まってしまえば自分は死んでしまうのだと直感できた。
逃げる際にいろんな教室を使い、扉などを壁とし逃げようとしたがその扉はまるでそこに何もなかったように消えたのだ。
あれに捕まれば私も消えてしまうのだろうか?
そんな恐怖心が私を震わせる。
走ってる内についに行き止まりに来てしまった。
おかしい。
私とてバカじゃない。
この先にはしっかり道あったはずなのに、私を通さないように壁ができているのだ。
そして影が私に触れようとした瞬間。私は目を閉じる。だが。
バキ!
何かが凍るような音がした。
ゆっくり目を開くと。
「これは…。」
目の前には大きな氷の塊が私に触れようとする近さにあったのだ。
この氷はさっきの影なのだろうか?
バリーン!
私が氷に触れた瞬間跡形もなく砕け散り地面に散らばった。
「大丈夫か?」
その声はすぐ近くに聞こえ、そこには。
蒼い美しい髪。そして氷のように冷たい目の男だった。
「あなたは…。」
「うるせー。黙って俺に守られてろ…。」
それが始めての出会いであり。これからの悲劇の原点だった。