この世界はBLゲームの、筈?
話の中で言及はしてませんが、男性不妊について触れてます。
不快と感じる方はすぐに読むのをお辞め下さい
……ええと、コンニチハ。
僕の名前はレイファン・ストローク。転生者です。前世では普通の社会人として生きていました。
死因は忘れました。恐らくテンプレな死因でしょう。
記憶が戻ったのは三歳の頃でした。元々僕はスラムの孤児でした。その為思い出したショックで高熱が出た時、医者すら呼べない上弱肉強食なスラムで病気の孤児の世話をしようとする稀有な人はおらず、結果僕はスラムのゴミに打ち捨てられてました。
その間、僕は高熱と戦いながら少しずつ思い出していました。
自分には前世がある事。
ここはゲームの世界だと言う事。
自分の名前からしてこのゲームの主人公だと言うこと。(僕の名前がデフォルト名だから憶えていた)
最後に思い出した記憶は驚愕と恐怖の余り、「ウソだ!!」と僕は叫んでしまった。……近くにいた人達は驚いていたけど、病人の戯言だとスルーしてた。ちょっと位気にしても良いのにな。僕泣いちゃう。
……話は逸れましたが、最後に思い出した記憶はと言うと……この世界はその、つまり、女の子同士が恋愛するのが百合と言うなら、このゲームは薔薇。一部の女性、ほんの一握りの男性の間では絶大な人気を得ていました。世間はその人たちを『腐女子』『腐男子』と呼びました。
そうです。ゲーム名は『黒薔薇~禁断の愛』と呼ばれるBLゲームの世界なのです。略して黒バラとファンから呼ばれてます。
つまり僕は男と恋愛する羽目になっているのです。
えっ? 何で知っているかって? …………妹が腐女子で、某動画サイトで実況ゲームをしていまして。たまに男目線でゲームを解説すると言う名目で僕にゲームをさせられたのです。
で、その延長戦で男目線でBLゲームをする事になって、そのゲームと言うのが黒バラだった訳です。ですから僕は腐男子ではないのであしからず。
………………いやだ!!!!!!
僕はノーマルだよ!? 前世は彼女いない歴=年齢だったけど、僕はホモではありません!
絶対にBLゲームの主人公になりません!
どうすれば、BLゲームの主人公にならなくて良いのかよーく考えた結果。
黒バラのあらすじは『スラムの生活に耐えかねた主人公がマフィアに入り、ナンヤカンヤ色々あってボスとかボスの双子の弟とか、幹部とかはてに警察官とか恋愛をしよう!』
(コレ、公式文だから。本当にコレがあらすじこれだから。僕がめんどくさくってはしょった訳じゃないよ!)
因みに黒バラは登場人物が多く、スチル数が半端なく多い為、コンプリートは絶対無理と発売当初はそう言われてました。僕も攻略する時はそれはもう大変で、動画シリーズの中で唯一百を超えてやっとコンプリート出来ました。あの時はファンの皆様も大変喜んでくれて嬉しいです。
ちょっと逸れたけど、様はマフィアに入らなければ良いのです。確かに今の生活は平和な現代に生きた僕には辛い事ですが、幸いな事にこの国は実力主義で、成績が良ければ授業料が免除され運が良ければ、官僚にまでなれるそうです。前世から勉強する事自体好きだった方なので、苦になりませんでした。ゲームの主人公は勉強が不得意なキャラでしたので、マフィアに入った様です。つまり勉強を頑張れば、マフィアに入らない=BLゲームとして成立しない=男と恋愛しない。
つまり僕の完全勝利て訳です!
そう思っていた時期が僕にもありました……
「どうしたレイ?」
「いえ、何でもありませんボス……」
僕の目の前にいる上司、攻略キャラであるマフィアのボスであるアルフェディック様です。
ボスは優雅にタバコを揺らしながら新聞を読んでいます。
…………どうしてこうなった!!!!!!
あの後予定道理に官僚までにはなりました。そこまでは良いのです。
そこからどうしてマフィアの秘書に所属する事になるんですか!!
前々からマフィアと政府が癒着している噂があったのですが、まさか配置先がさり気なくマフィアも入っている程とは思ってもいませんでしたよ……
最初は絶望しましたが、出来るだけ攻略キャラと関わらないと決めて腹をくくったけど、
どうも可笑しい。
まず可笑しいのが彼、アルフェディックです。
ゲームでのアルフェディックは国一番の力を持つマフィア『アストレス』の若きボス。
アルフェディックは幼少の頃当時のボスであった両親を殺され、権力のせいで身内同士の醜い争いを幼いアルフェディック達の前でやったのです。(前世でプレイ中に『親が死んだ子供の前で殺しあうとかふざけんなよ!』と叫んだ位です)そのせいで人間不信になり、双子の弟と幹部以外信頼出来ない、極悪非道の泣く子も黙る悪魔、そして――当たり前ですが――独身。主人公はそんな彼の凍った心を溶かすとかありきたりな展開が広がるんだが。
それがゲームでのアルフェディックだった筈です。
そしてこれはBLゲームだった筈です。男と男が恋愛するゲームだった筈です。
「おい茶」
「は、はいっ!」
空になったカップにコーヒーを注いだ。注いだカップを飲んでいるアルフェディク様の左手の小指には銀色に光る指輪。
この世界のアルフェディクは結婚してます。しかも相手が女性の方です。
これを知った時思わず「男じゃないのですか!!」と叫んだらアルフェディクにアイアインクローされたのは今となってはいい思い出です。
何故こうなったのか考えてみましたが、この世界は『パラレルワールド』だからで納得するしかなかった。
アルフェディクには妻の連れ子の少女と二人の間に出来た三人の子供がいます。
そして三人の子供と連れ子を大変慈しみ、妻をそれはそれは大切に愛していました。
普段は氷よりも冷たい眼差しですが、家族を見る目はそれはそれは優しい目でした。
実はアルフェディクはゲーム内では一番気にかけていたキャラでした。親が殺された上、身内同士の騙し合いやら殺し合いを起こすわ、自分の背中に何百の部下の未来が掛かっていて、いつも心を削っていく姿を見ると攻略中何度泣いた事か。
アルフェディクの幸せな姿を見て、滝の様に泣いてしまい、アルフェディク達をドン引させてしまったのはこれもまたいい思い出です。この時僕にハンカチを差し出してくれたのは。
「お、お兄もいたんだ」
「遅いぞエル」
ボスの双子の弟であるエルフィード様でした。因みに彼が遅刻するのは何時もの事です。
アルフェディクとエルフィードは一卵性の双子で、見分け方はアルフェディクが短髪に対しエルフィードは肩までかかる長髪。
エルフィードは兄と真逆にいつもニコニコと笑い、男だろうが女だろうがナンパする大変チャラい男ですが、実は兄の為に敵の情報を得るため演技で、裏の顔は兄に仇なす者は老若男女関係なしに拷問を行う極悪冷酷なのです。攻略時にバットエンドで主人公がヤンデレられた彼に殺される時、R-18Gギリギリまでのスチルに一瞬魂が抜かれました。
今、僕の前にいる彼は確かに軟派で敵には容赦しない男でありますが、残酷さもゲームと違い薄まっています。その代わり、少し意地悪な面が出てきた気がしてきます。例えば蛙の玩具で脅かしたり、百足の玩具で脅かしたり、蜘蛛の玩具で脅かしたり……
はい。僕は虫は大っ嫌いです。エルフィードは知った上でこの様な嫌がらせをしてくるのです。嫌では有りますが、前世の友人であった幼馴染の事を思い出して懐かしく思い出されます。
所で、僕達がいるのは王宮の奥の部屋。そこは一握りの権力者しか入る資格がない、この国で重要な部屋。
そこは華美な装飾品がない。しかし防音がしっかりしている。その為最重要課題の時に絶対に使われている会議だ。この事は国中誰でも知っている。
………場違いすぎて死にそう。緊張過ぎて死にそう。あ、胃がキリキリしてきた。
「レイちゃん大丈夫? これあげる」
「ありがとうございま……いや―!!! ゴキブリ!!!!」
「アッハハハハ!! まーた騙されてやんの!!」
エルフィードから手渡されたのはゴキブリの玩具。咄嗟に貰ってしまったから思わず飛び上がる。
「お前らうるせーぞ」
「あああ申し訳ございませんボス! ですから殺気はしまって下さい!!」
アルフェディクから苛立ち気な殺気が。ええ、分かってますよ、こんな重要な場で僕みたいのが騒ぐのはボスの名に恥じさせる事位。でも嫌いなものは嫌いなんです特にゴキブリは!!
「アル。部下を怯えさせたらボス失格ですよ。エルもそんな好きな子を苛めるガキ大将な事をするんじゃありません」
「申し訳ございません」
「以後気を付けまーす」
アルフェディクは素直に頭を下げ、エルフィードは対して気にしてなさそうに謝った。
因みに二人に注意したのはこの国の王で双子の伯父であり、二人の両親を殺した黒バラのラスボス、ジルレイド王その人です。
とても温和で人当たりの良さそうな顔をして、裏では麻薬・人身売買・殺人等々マフィアも真っ青な事をし、麻薬・人身売買など言語道断、世間に公表しようとした双子の両親の口を封じ、挙句の果てにその罪を被せた外道です。つまりゲーム内での事件全ての原因なのです。攻略対象ではありませんが、それっぽいイベンドてかスチルがありまして、その、それがR-18ギリギリのエロい、詳しく言うなら縛られて猿轡されて、全裸で……これ以上言えません。ただ、腐った視聴者様の大興奮のコメントと黒バラの同人誌で凌辱物と言えばジルレイド王×主人公の作品と腐っていない方でも言う程の凄まじさでした。
ただし、目の前にいる方は本当に温和な方で殺人・麻薬・人身売買などした事もない、本当に善人な王様です。(因みに双子の両親の死は事故でした)
最も忌避すべき相手ですが、二人にとって良き伯父良き育ての父となってしますので良しとしましょう。
「皆に集まったのは他でもないハイレスカ王国についてだ」
ハイレスカ王国。アルフェディクの妻と連れ子の生まれ故郷で、二人を追い出した国。そして二人を追い出した辺りから不穏な動きを始めた。
「小国を攻めだし、あっちこっち戦争を起こしている。アッチは『敵の方から宣戦布告した』と言っているが、どうも濡れ衣としか思えない事案ばかりだ」
「女王の従兄弟の嫁は何だったか?」
「確か嫁の国の人間が女王を暗殺しようとしたと言っているが」
「どうも怪しい。使者と言っても持ち物の彼方の国のマークが合ったんだろう? そんなものいくらでも忍ばせる」
「何にせよ、このままでは我が国にも戦争を起こすのも時間の問題……」
「起こそうとしている」
アルフェディクは行儀悪く机に足を乗せている。この時僕は双子の間に立っている。
「ボス。お行儀が悪いです」
「うるせえ。お前は俺の母親か」
「せめて父親と言ってほしいです」
結局直してくれませんでしたが。僕を無視してボスは話を進めます。
「『俺の嫁と俺の娘』宛に手紙と使者が何度も来ている」
周りがざわめき始めた。……心なしか『俺の嫁と俺の娘』の部分は強調して言う。
「…………本当かい?」
ジルレイド王も眉間に皺を寄せる。
「本当だ。最初は手紙だったが、最近は使者を差し出すようになった。使者は家族使用人を人質にして送っている」
「……連れ戻していちゃもんつける気か?」
「正気か? 血縁ではないが、仮にも二人は王族関係者だぞ」
「自国民の家族と使用人を人質にしてる時点で正気じゃねえよ」
エルフィードの言葉に周りも思わず頷く。
「確かにあそこの国民に対する圧政は目に余る」
「あそこの税は重過ぎる。パン一つ買うために札束の煉瓦を幾つ出さなければならないんだ?」
「それはインフレのせいもあるだろ? 徴兵で稼ぎ頭を次々連れ出していくせいで貧困が増えるばかりだ。しかも拒んだら家族諸共処刑だ」
「国外逃亡が増えるばかりだ。アッチは何とかしようとしているが、兵士にも協力者がいるから多分今まで以上に増える」
「問題は!」
話が脱線したのを王が戻す。
「このまま戦争を起こしても彼方には帝国が付いている。コイツが問題だ」
皆が唸りだした。
そう。ハイレスカ王国はバックに強国、ジーラルト帝国が付いている。
ジーラルド帝国はこの世界で一番の武力を持っている。下手に喧嘩を売ったら潰されるのか関の山だ。そもそも今までハイレスカ王国が強気になっているのが、後ろの帝国がいるからこそだ。
「女王の夫が帝国の第二王子だったか」
「奴との間に子供を一人もうけていたな」
「そんなことよりどうにかしないと、連合を作っても烏合の衆だぞ」
皆が無い知恵を振り絞って何とかしようとしたが如何にもならない。雰囲気が悪くなるばかりだ。
「…………レイ」
「は、はい」
いきなり声を掛けられた。突然の事なので周りも僕に注目し始めた。止めて僕は注目されると緊張するの。
「お前、前にあの女と帝国王子の間の子に疑問を持っていたな。何でだ?」
……………………ああ。一度彼らの経歴を見たことを言っているのかな? 蚊の鳴く声で「可笑しい」と言ってたの聞いたんだ。結構アルフェディクとの間に距離があったのにな。地獄耳怖い………。しかし良い機会だから言わせてもらおう。
「……実は、一番目の奥様と離縁した後、三人程結婚してます。病死した二番目を除く三番目と四番目は離縁です。理由は『子供が出来なかった事』」
お偉いさんの頭に?マークが大量に浮かんでいる。アルフェディク以外全員だ。そりゃあいきなりそんな話をされたらそうなるだろう。
「この離縁された妻たちの足取りを追ってみました。元々二人共降嫁された形だったので直ぐに追いつきました。再婚後二人共子をもうけています。しかも四番目の奥方に関しては七人の子を産んでます」
僕の言いたいことが理解したのが周りが騒めいた。
「? ……確か妻側の不妊ではなかったのか?」
「だったらどうして妊娠している? しかも七人も産んでいるのだぞ?」
「結婚期間が短かったのでは? それかまぐわった時間が少なかったとか?」
「三番目も四番目も三年で毎日のようにまぐわってたそうじゃぞ」
「………毎日まぐわってたのを何で知っているんだ?」
「ホホホホッ」
同衾の話をしたのは国一番のエロ親父なので聞かないとして、他の人の話を統合すると少なからず、子供を作ろうとした努力があります。……童貞にこの話はちょっと恥ずかしいです。
「……ハイレスカの女王のとはいつからか」
アルフェディクは苛立ち気に言う。眉間の皺がより深くなった。
「………最初の妻が離婚して直ぐに。結婚できなかったのはハイレスカでゴタゴタがあった事と皇帝の反対でできなかったものです」
「……密通、ですか」
ジルレイド王は汚らわしそうに言う。ジルレイド王は愛妻家|(むろん女性。ここもゲームと違う)で他国でも有名だ。そんな人だから不倫など言語道断だろう。
……アルフェディクも、心配になる程手を握り締めてる。
「ボス。手に傷が」
「……良いから続きを言え」
……後で手当てしなくては。
「分かりました。実は皇帝一族を調べてみると一族の男児は代々自然での妊娠が出来ないのです」
「どういう事だ!!」
驚きの声を上げるのはこの中で冷静で中立の立場を守ろうとしている宰相です。他も大臣と同じ意見でしょう、眼を真ん丸にしています。
「遺伝か、はたまた帝国に滅ぼされた国の呪いかは知りませんが、一族の男子はどういう訳か子供は出来ませんでした。逆に余所に嫁いでいく女児は皆妊娠できました。ほんの昔はその嫁いでいった娘の子を養子にして何とかしていたそうです」
「………そんな話、初めて聞いたぞ」
「醜聞と思ったのでしょう。しかし、最近は治療をすれば男児でも子供が出来きるようになりました。もしかしたらこの事を公表するかもしれません」
「成程……その情報は確かか?」
「帝国お付きの医師から直接聞いたから間違いありません」
口が堅かったけど、国の一大事に繋がるとひたすら説得してやっと吐いたのだ。
「第一王子も現皇帝も治療して子を作れました。第二王子の方は」
「マリアの時はあの男はちゃんと治療した」
僕が言う前にアルフェディクが言った。
「でなきゃ、ヒルダは生まれなかった。浮気なんてアイツがそんな器用な事をするか?」
「出来んだろ」
「あんな良い人が浮気なんて出来んだろ?」
「まあ、アレの血を引かない方があの子の為になるけどな。しかし父親がアルで良かった」
「そうそう。子供が大人になったような奴だが、倫理に外れる事はしとらんしな」
「していたらワシの嫁さんにしたいわい」
「手前ら好き勝手言うな。後ジジイはぶち殺すからコッチこい」
拳銃を取り出してエロ親父の方へ向ける。
「たんまたんま! お兄、たんま!!」
「ボス!殺人はダメです!!」
僕とエルフィードが止める。殺されそうになっている本人は飄々と笑っていた。ジルレイド王が止めなければ本当に殺していただろう。
「それでは……今いる二人の子は、誰が本当の父親だ?」
ジルレイド王がいった最大の謎。これに僕は心当たりがある。
「実は女王がまだ、王女だった時に直属の騎士がいたそうです。彼は彼女が第二王子の子を産んだ時に謎の死を遂げてます」
「………証明するのは」
「彼の血縁者と二人の子のDNA検査をすれば分かります。彼の妹を保護してます」
「………これで揃ったな」
「王。決断を」
幹部は王に集中する。王は眼を瞑った。が、それはすぐに目を開けた。
「直ぐにハイレスカの女王とジーラルド帝国第二王子の子のDNAを採取せよ。二人の子は確か学園に通っている筈だ。調査結果がでたら、私から皇帝に直訴する。その間、アルとエルはその騎士の妹の護衛を頼む。その他は私の手伝いを頼む」
「「「「はっ!!」」」
僕達以外誰もいなくなった部屋で、アルフェディクは鼻歌を歌い、ご機嫌だ。
「レイ。良くやった」
「いえ。疑問を持ったらとことん調べるのが僕の性分なんです」
「しかし、大丈夫かな? わざわざ皇帝と直訴するなんて。もし下手をうてば、こっちもタダじゃ……」
「大丈夫です。恐らく、皇帝も薄々気づいてる筈です。でなければ、皇帝一族お抱えの医師が口を割りません」
「へー成程だ」
「おい」
アルフェディクは立ち上がる。
「家に帰るぞ。レイ、お前も家に来い。褒美に酒を飲ましてやる。……マリアが会いたがってる。お前が教えて貰った『ニシンのパイ』が作ったそうだ」
「それは楽しみです! ……もしかしてツレイとレミードは」
「お兄の家。娘も一緒にいるから粗相をしないように見張る、て言うけど、実態はマリアの傍に居たいだけだね。アレは」
ツレイとレミードは、攻略キャラではなく、サポートキャラだ。二人共男同士だけど夫婦で(この世界は同性同士の結婚が認められる)唯一、ゲームと何ら変わりのないキャラだ。バカップルで所構わずイチャイチャして、実は同人誌で一番多く描かれているカップだ。
あ、ちょっと二つほどゲームと違ったんだ。一つはアルフェディクの妻、マリアテル(実は乙女ゲーの主人公らしい)の大ファン。アルフェディク公認のファンクラブの会長と副会長。そのグッズが一つの部屋を占拠して困っているとエミリーちゃんと悩んでいた。
あ、エミリーちゃんと言うのが、二人の娘で二つ目のゲームとの違いです
娘と言っても、養子でツレイの遠縁の子供だそうです。引き取られた時の話は二人が話したがらないので、分かりませんし、分からなくて良いです。
エミリーちゃんはアルフェディクの娘であるヒルダちゃんの影武者をしていて、それは仲の良く、その姿を見ると荒んだ心が癒されます。
「それでは僕は準備をしてきますので、お待ちを」
「ああ」
「りょーかい」
僕は急いで自分の荷物を取りに戻った。……ジ○リ料理で一番食べたい料理を、まさか異世界で食べられてすんごく嬉しいな。
「お兄、良いの?」
「何だ?」
「確かヒルダ、レイちゃんの事惚れてるよ? 家に来させて大丈夫?」
「別にあいつもそう言う年頃だ。誰の事を好きになっても可笑しくない。それに呼べと言ったのはマリアテルだ。……それに奴なら、構わん」
「ふ~ん。もしさ、レイちゃんがヒルダを泣かせたらどうする?」
「死んだほうがマシの生き地獄の刑に処する」
『即答……レイちゃん、ガンバ』と心の中で合掌するエルであった。
「へくしょん! ……風邪かな?」
~登場人物~
レイフォン・ストローク
愛称はレイ。転生者で今作の主人公。
生前は弁護士で、弱い者の味方で必ず勝訴に導く弁護士で有名だった。
たまに嘘をつく依頼人がいたが、天性の直感の持ち主な為すぐばれる。
某動画では実況の他に、料理作りとして有名で、『アニメ料理を作ってみた』が再現率が高いと評判だった。
因みに妹は有名実況者で腐女子。『はいこい』のスチルコンプリートに一人。
実は組織内では『おかんポジション』として親しまれている。彼の作るおやつや料理は絶品で、組員内で奪い合いの大喧嘩になるたび、ボスとボス弟にお仕置きさられるのが、日常と化している。
黒髪黒目の童顔。
アルフェディク・アストレス
「黒バラ」の攻略キャラの一人。愛称はアル。
ゲームでは極悪非道なボスだったが、本作では愛妻家子煩悩な人になっている。妻の連れ子である、ヒルデリカを特に気にしており、彼女が自殺未遂で血が足りない時、自分の血を輸血し一週間飲まず食わず寝ないで看病した。
レイフォンの事は頼もしい部下と言うより、世話焼きのおかんみたいと思っている。
赤髪赤目のツリ目なイケメン。
エルフィード・アストレス
黒バラの攻略キャラの一人。愛称はエル
ゲーム内では極悪冷酷でヤンデレで有名。リョナモノの同人誌で一番の人気キャラ。本作は冷酷であるが、大分マイルドになっている。義姉や姪が可愛過ぎて兄が羨ましい。そろそろ結婚したいと思っている。
実はレイフォンの事をLOVEよりのLIKEで、ついつい苛めたくなる。
愛に発展できるか謎。
赤髪赤目のツリ目イケメン。兄より髪が長い。
ジルレイド王
黒バラのラスボス。愛称はジル(ただし嫁限定)
凌辱ものの同人誌数NO1の方。本作では甥思いの愛妻家。妻との間に三人の子をもうけている。外道ではないが、国のためなら冷酷になれる生まれながらの王。因みに、作中で彼だけ呼び捨てではないのは、妹が彼の凌辱同人誌をレイに見せたいでトラウマになっているせい。
青髪青目のジェントルマンなイケメン。顎に鬚を生やしている。
エロ親父
セクハラジジイなのだか、これでも凄い人。レイフォンが女の子だったら良いのにと思っている。仕事はしっかりと不真面目ながらやっている。
好々爺な白髪黒目。
ツレイとレミード
公式ホモカップル。前作の主人公エミリーの義理の両親。
ツレイの遠縁の子供で引き取られた時の話は絶対二人共話さない。
エミリーは二人を尊敬しているが、マリアテルのグッズは減らしてほしいと思っている。仕事は娘に尊敬されるよう、二人共真面目にやっている。
アルフェディクの妻である、乙女ゲーのヒロインであるマリアテルの大ファン。アルフェディク(夫)公認のファンクラブ会長と副会長でもある。
ツレイは黒髪黒目のイケメン。レミードは金髪碧眼の美人系。
H27・6月22日追記
ルビの打ち方がアレだったので手直ししました