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コラボ作品集

夢コラボPART2~御徒町樹里ちゃんがゆく VS 酔いどれ軍団/ハロウィン編

作者: 神村 律子
掲載日:2013/10/28

日下部先生の「酔いどれ軍団」と御徒町樹里ファミリーのコラボです。

 御徒町樹里は日本有数の大富豪である五反田六郎氏の邸の専属メイドです。


「樹里様にはご機嫌麗しく」


 例によって、昭和眼鏡男と愉快な仲間達がコスプレで登場です。


 今、日本の各地で流行っている「ハロウィン」にちなんだ扮装のようです。


 朝からそんな格好だと危ない人と勘違いされると思う地の文です。


「おはようございます」


 ところが、樹里も愛娘の瑠里も魔法少女ルックです。


 不甲斐ない夫の杉下左京が生きていたら、涙を流して興奮したでしょう。


「俺は生きているぞ!」


 左京もドラキュラの格好をして出てきました。


 どちらかと言うと、貧乏神が似合っていると思う地の文です。


「うるせえ!」


 左京は正直に感想を述べただけの地の文に切れました。


(かぶってしまった……)


 眼鏡男もドラキュラのコスプレです。


 隊員達は狼男、ゾンビ、ミイラ男、フランケンシュタインの怪物、加藤真澄警部と順当な扮装です。


「俺はモンスターじゃねえ!」


 どこかで本物の加藤警部が切れました。


 本人の方がもっと迫力があると思う地の文です。


「そうなんですか」


 樹里はそれでも笑顔全開です。魔法少女ルックなので、スカートの丈が際どいです。


「おお!」


 眼鏡男達は思わず樹里の美脚に見入ってしまいます。


「しょーなんでしゅか」


 瑠里もミニスカートなので、親衛隊の一人が喜んでいるのは法的に内緒です。


 今日は五反田邸でハロウィンパーティなのです。


 きっと、エロメイドが際どい格好をしている事でしょう。


「してないわよ!」


 地獄耳の目黒弥生がどこかで切れました。無視する地の文です。


「今日は左京さんの車で出勤します」


 樹里に笑顔全開で言われ、石化してしまった眼鏡男達です。


(神は死んだ……)


 ニーチェを気取ってみても誰も気づいてもらえませんでした。


 


 その頃、仕事より酒が好きな人達しかいない小林商事では、騒動が起こっていました。


「そのパーティ、どうしても出席しないとダメなのか?」


 井川という加藤警部も靴を脱いで靴下を脱いで逃げ出すような強面のおじさんが言いました。


 元々怖い顔をもっと怖くしています。


「む? 何だか、悪口を言われているような……」


 井川は部下の一人である名取を睨みました。名取は小動物のように震えて、


「ぼ、僕、何も言ってませんから!」


「俺も何も言ってねえよ。やましい事がないのにどうしてそんなに怯えるんだ?」


 井川がニヤリとして名取に歩み寄ります。名取は死を覚悟しました。


「まあまあ、誰も何も言ってませんよ、井川さん。そのパーティの主催はあの財界の雄、五反田六郎氏で、会場は五反田氏の邸です。欠席というわけにはいかないでしょう?」


 二人の間に入ったのは、日下部良介です。パッと見、俳優の沢村一樹に似ています。


 性格も似ているかも知れません。


「僕はあんなエロ男爵じゃありませんから」


 笑顔で地の文に突っ込む良介です。


 井川は腕組みをして、


「今度、再開発する商業施設の中核はあのグループか。あそこはウチも関わる事業だからなあ」


「そうですよ。それに会費もなしで、飲み放題食べ放題らしいですから、行かないと損ですよ」


「そうだな。酒も高級なのが揃ってそうだしな!」


 井川はすっかり乗り気です。良介は見事に井川を丸め込みに成功しました。


「大丈夫かなあ、井川さん。いつもの調子で飲んだりしたら、ウチのイメージがダウンするのでは……」


 名取は井川の酒癖を心配しました。


「何か言ったか?」


 井川が突然振り返ったので、名取は漏らしそうになりました。


「いえ、何も言ってません!」


 先が思いやられると思う地の文です。


 


 左京は、久しぶりに樹里を助手席に乗せたせいで、何度も事故を起こしそうになりました。


(樹里のミニスカートが気になってハンドルを切り損ねたと知られたくない)


 嫌な汗をたんまりと掻く左京です。


 車を降りて樹里をエスコートし、瑠里をチャイルドシートから下ろした時、


「いらっしゃい、樹里さん、瑠里ちゃん、杉下さん」


 五反田氏の愛娘の麻耶がピンクのドレスを着て登場です。羽が付いているので、妖精のコスプレのようです。


 決して、林家の人には似ていません。


「こんにちは」


 樹里と左京は挨拶を返しました。瑠里は嬉しそうに麻耶に抱きつきました。


(俺が最後に呼ばれたのは我慢すべきなのか)


 小さい事にこだわる左京です。だから仕事がないのだと思う地の文です。


「いちいちうるさい!」


 左京は地の文に切れました。


「樹里さん、瑠里ちゃん!」


 そこへ目黒弥生が夫の祐樹と共に現れました。弥生はターコイズブルーのドレスを着ています。


 妊娠しているので、コスプレはしていないようです。もちろん妊娠は嘘ではありません。


「あ、杉下さんもいらしたんですか」


 今気づいたような顔で言う弥生です。左京は顔を引きつらせました。


「お久しぶりです、樹里さん、左京さん。瑠里ちゃん、僕を覚えているかな?」


 さすがに気遣いができる祐樹は左京の名を瑠里の前に言いました。


「あ、はじめ君、こっちだよ」


 麻耶はボーイフレンドの市川はじめが来たのに気づき、そっちに行ってしまいました。


 はじめは何故か二宮金次郎のコスプレをしていました。妙に似合っています。


「今では二宮金次郎は学校の怪談のメンバーらしいですよ」


 祐樹が苦笑いして解説してくれました。


「そうなんですか」


 樹里は笑顔全開で応じましたが、左京は別の一団が気になっていました。


(何だ、あいつら? ヤクザか?)


 品のない笑い声を上げ、既にできあがっている男とその舎弟らしい男二人です。


(あの顔、加藤より悪人面だな。やっぱりヤクザか?)


 左京は警備員を探しましたが、近くにいません。


(こういう時に限って、来てないのか。役に立たない連中だ)


 左京は加藤警部と平井蘭警部を探しましたが、どちらも来ていませんでした。


「どうしたんですか、左京さん?」


 そこへ黒のドレス姿で樹里の姉の璃里が現れました。


 残念な事に夫の竹之内一豊も一緒です。


「誤解を招くような表現を使うな!」


 心情を汲み、率直な言い回しをした地の文に切れる左京です。


「あの連中、ヤクザではないかと思って」


 左京は三人の男達を見て言いました。すると璃里は笑って、


「あの人達はヤクザではありませんよ。建設会社の方です」


「え?」


 左京は自分の見立てが間違っていたので赤面しました。


 相変わらずヘボな探偵だと思う地の文です。


「ううう……」


 図星を突かれた左京は項垂れました。するとそのヤクザに間違えられた男が璃里に気づき、近づいてきました。


「おお! 久しぶりだね、樹里ちゃん! またキャバクラで働かないのか?」


 ヤクザに間違えられたのは、小林商事の井川と愉快な仲間達でした。


「井川さん、私は姉の璃里です。樹里はあちらにいますよ」


 璃里が笑顔で応じると、井川はギクッとした顔になり、


「も、申し訳ありません! 失礼致しました!」


 何故か敬礼して立ち去りました。


「どうしたんですか、あの人?」


 左京が不思議に思って尋ねると、


「以前も、樹里と間違えられたんです。その時は警察庁にいましたから、身分証を見せたんです。それを覚えていたのでしょう」

 

 璃里は愉快そうに教えてくれました。


「そうなんですか」


 思わず樹里の口癖で応じてしまう左京です。


 


 小林商事の三人は、コスプレの時間がなかったので、そのまま来ていました。


「おお、いたいた! 相変わらず可愛いなあ、樹里ちゃんは」


 井川はニヤニヤしながら、樹里に近づきました。


「井川さんも隅に置けませんね。いつの間にあんな美人と知り合ったんですか?」

 

 良介が尋ねました。すると井川はヘラヘラしながら、


「前に言った事あるだろ? キャバクラにもの凄く可愛い子がいるって。その子だよ」


「ああ、その後で僕と名取が行ったら、もう辞めていた子ですか。なるほど、可愛いですね」


 良介は頷きながら応じました。


「隣にいる子がそっくりなのは、彼女の娘なんでしょうか?」


 名取が瑠里に気づいて言いました。ロリコンでしょうか?


「違う!」


 瞬時に地の文の妄想を否定する名取です。このお話に馴染んできたようです。


「何!?」


 井川が怖い顔をもっと怖くして叫びました。


「嘘だろ!? 樹里ちゃん、結婚して子供までいるのか?」


 泣いた赤鬼のような顔になる井川です。


「直接確かめよう」


 井川はズンズンと歩き、樹里のそばに行きました。


「樹里ちゃん、俺の事、覚えてる?」


 井川はこれでもかというくらいの笑顔で言いました。


「申し訳ありません、どちら様でしょうか?」


 樹里が笑顔全開で尋ねました。井川は挫けそうになりましたが、


「井川だよ、小林商事の。キャバクラにあんなに通ったのに忘れちゃったのかい?」


 涙ぐんで言いました。すると樹里はポンと手を叩き、


「ああ、auのCM、いつも観ています」


「その井川じゃないって! それに俺、男だし!」


 樹里の危険なボケにも果敢に立ち向かう井川です。


「そうなんですか」


 樹里はそれでも笑顔全開です。


「この子、貴女の娘さんですか?」


 名取がしゃがんで瑠里を見ました。やっぱりと思う地の文です。


「だから違うって!」


 また瞬時に否定する名取です。


「そうですよ」


 樹里が笑顔全開で言ったので、井川は固まってしまいました。


「僕、名取って言います。今はどこのお店にいるんですか?」


 名取は図々しくも名刺を差し出しました。


「今はこのお邸で働いています」


 樹里は言いました。すると良介が、


「ああ、どこかで見た事があると思ったら、メイド探偵の御徒町樹里さんですよね? 女優を引退されたとか。とても残念です」


 さり気なく握手を求めました。


「そうなんですか」


 ところが樹里は良介の手にグラスを渡しました。苦笑いする良介です。


「ええ!? あの女優さんなんですか?」


 名取は仰天しました。


「しょうだよ。ちらないの、オジちゃん?」


 瑠里に「オジちゃん」と呼ばれ、固まってしまった名取です。


(これが噂の天然攻撃か?)


 良介は嫌な汗を掻いていました。


(無事に帰還できるかな?)


 心配になる良介です。


 


 しばらくして復活した井川は、左京が樹里の夫だと知り、腹いせに一晩中酒を飲ませたそうです。


 めでたし、めでたし。

ということでした。

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― 新着の感想 ―
[一言] これ読んでから、左京が出て来ると全部貧乏神の姿に変換されるようになってしまいました。 イメージ湧き過ぎと言うか、似合いすぎと言うか。 ボロ麻の貫頭衣で貧相な顔していそうで・・・。 いかん。…
[一言] さすが! 小林商事の連中を熟知している律子さんだけのことはありますね。 実に見事な使いっぷりです。 執筆ありがとうございました。 “裏”はしばらくお待ちくださいね!(ムフ)
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