無垢にもどる
普段から荒んだ音と荒んだコトバばかりを駆使していますので、ごくたまにこういった可愛らしいコトバたちを扱ってみたくなるのです。
セーラーのリボンが揺れる
ふい
と
風に
無口なのは
がまんするのは
それは
おまえのことだから
不思議じゃないさ
いつものこと
メタルフレームに指がのびて
つい
と
静かに
まばたきひとつ
コトバにおちる
それは
おまえのことだから
不思議はないさ
いつものこと
どこか おくのほう
ずっと おくのほう
俺のずるさ
わかっていたのにな
はなやかな声につられて ひきずられて まとわりつかれて うかれて
しずかな強さに頼りながら それを
それを
置き去りにして
あの部屋の隅
コトバを追う
おまえの視線と
ページをめくる 指のかすかな震えと その音に
どっか おくのほう
ずっと おくのほう
俺の汚さ
わかっていたのにな
なんどか ふたりきり あるいた かえりみち
いちどだけ ふたりきり すごした としょかん
いつもとおなじ
ただコトバに目を落として
でも
俺にはわかってた 幸せな波がおまえから
おまえから
なんどかの ふたりきり
次の日の通学路で ちいさな
おはよう
風にそよぐおまえの髪は いつもより
はなやかに おどり かおっていたな
コトバにしないやさしさと
うつむき続けるその つよさに
きっと
わかっていたのさ
ずっと おくのほう
たりない勇気を ふりしぼる
いまさら遅い だけど ふりしぼる
くだらない 壁をよじ登る
きっともうなにもない だけど よじ登る
あるこうな もういちど ふたりきりで
あるこうな
こんなふうになるまえになぜ俺は?
白いベッドに体を起こして コトバに目を落とす おまえの
白い指にふれてみる
俺を見て
またまぶたをふせる
がまんをすてて
白く うつろう
おまえの髪は
今日も はなやかにおどり かおっているよ
セーラーのリボンは揺れないが
あの日とおなじおまえにはもう あえないが
それでもいいんだ
俺はここにいる
おまえの想いは やっと ここにある
若干の真実もありつつ、フィクションです(笑)