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第5話 魔物の群れ


 大規模討伐当日。


 湾岸第三区。

 立ち入り禁止区域に指定された工業地帯の一角。


 ひび割れたアスファルトの中央に、

 巨大な黒い穴が口を開けていた。


 迷宮型ダンジョン。


 周囲には、

 探索者たちが集結している。


 雷光衆。

 白銀の誓い。

 蒼天の翼。


 三つのパーティ、

 総勢十五名。


 蒼天の翼のリーダー、

 神崎剣悟が前に出る。


「俺たちが先行する。

 通路を確保するから、

 十分後に続け」


「了解」


 雷光衆と白銀の誓いが、

 同時に頷く。


 神崎は剣を抜き、

 風見蓮と相原拳が左右に並ぶ。


「行くぞ」


 三人が闇の中へ消えた。


 残った忠臣は、

 しずくの姿を無意識に探す。


 彼女は白銀の誓いの後列で、

 杖を胸に抱えていた。


 目が合う。


 しずくは、

 小さく頷いた。


 忠臣も、

 静かに頷き返す。


(守る)


 理由は分からない。


 だが、

 そう決めた。


 十分後。


 通信魔法が入る。


「第一通路、

 安全確保」


 雷光衆と白銀の誓いが、

 ダンジョンへ突入する。


 中は薄暗く、

 湿った空気が漂っている。


 壁には、

 淡く光る鉱石。


 足音が反響する。


「来るぞ」


 真壁の声。


 前方の闇が、

 うごめいた。


 赤い目。


 牙。


 ゴブリンの群れ。


「前列、

 迎撃!」


 八神剛が盾を構える。


 忠臣は一歩前へ。


「はぁっ!」


 剣を振るう。


 一体目を斬る。


 二体目の爪を、

 身をひねってかわす。


 剣を横薙ぎ。


 血飛沫。


「風見、

 左!」


 背後で叫び声。


 蒼天の翼が、

 横から合流してきていた。


 通路の別方向から、

 魔物が流れ込んできたのだ。


 数が多い。


「忠臣、

 少し下がれ!」


 颯真が魔法陣を展開。


「雷刃付与!」


 忠臣の剣が、

 青白い電光を帯びる。


「行け!」


「了解!」


 忠臣は踏み込む。


 剣が走る。


 雷光と共に、

 魔物が倒れる。


 その背後で、

 白い光が瞬く。


「ヒール」


 しずくの声。


 忠臣の腕の切り傷が、

 瞬時に塞がる。


(速い……)


 彼女の回復は、

 異常なほど早い。


 忠臣は、

 思わず振り返った。


 しずくと、

 目が合う。


 一瞬の静寂。


 その瞬間。


 天井が崩れた。


「上だ!」


 巨大な影が、

 落下してくる。


 オーガ。


 三メートル級の魔物。


 棍棒を振り上げ、

 しずくへ向かう。


「八雲さん!」


 忠臣は、

 考えるより早く動いていた。


 体が、

 勝手に反応する。


 魔力が、

 全身を駆け巡る。


「炎迅撃!」


 剣が、

 紅蓮の光を放つ。


 一瞬で距離を詰め、

 オーガの胴を斬り裂いた。


 爆ぜる炎。


 巨体が、

 崩れ落ちる。


 静寂。


 忠臣は、

 はっと我に返る。


(……使った)


 封じていた技。


 異世界の剣技。


 しずくは、

 呆然と忠臣を見つめていた。


 胸の奥が、

 ざわつく。


(今の……

 カイトの……)


 だが、

 すぐに首を振る。


(違う。

 気のせい)


 戦いは続く。


 だが、

 二人の心には、

 確かな違和感が残っていた。


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