第12話 迷宮最深部への突入
迷宮の通路は、
徐々に幅を広げ、天井も高くなった。
三パーティは整列し、
慎重に最深部へ進む。
雷光衆、白銀の誓い、
そして蒼天の翼。
忠臣は前列で剣を握り、
視線を先に向ける。
胸の奥で、
しずくの存在がまたざわつく。
(やはり、気になる……)
しずくも、
後列から忠臣を意識していた。
互いの胸の内を知らずとも、
自然に距離を詰める心地よさ。
「最深部まであと十メートル」
真壁恒一が低く告げる。
前方には、
巨大な暗黒の扉が立ちはだかる。
壁には古代文字が刻まれ、
淡い紫色の魔力が漂う。
「これは……
高位魔物の封印か」
神崎剣悟が呟く。
忠臣は剣の握りを強める。
ここからが、
最も危険な戦場になる。
扉を押し開けると、
巨大な空間が現れた。
奥には、
黒い影がうごめく。
オーガよりも巨大。
全身に漆黒の鱗をまとった魔物。
「……あれが、
最深部のボスか」
颯真が魔法陣を展開。
雷光を帯びた剣で斬りかかろうとする。
しかし、魔物は
一歩も動かず、
ただ威圧するだけで空間を震わせた。
忠臣は感じる。
異様な魔力の波。
(……強すぎる)
その瞬間、
魔物が咆哮を上げ、
闇の刃を通路へ飛ばしてきた。
「避けろ!」
八神剛が盾を掲げ、
仲間を守る。
だが、刃は忠臣としずくの方向に飛ぶ。
「しずく!」
忠臣は咄嗟に飛び込み、
炎迅撃は使わず、通常剣技で刃を跳ね返す。
同時に、しずくの杖から白い光が漏れる。
(……魂の共鳴!)
二人の魔力が、
無意識に共鳴する。
光と炎が互いに反応し、
敵の攻撃を逸らす力となる。
その瞬間、
互いの視線が合う。
(……やっぱり、
懐かしい)
しずくも同じ感覚を抱く。
胸の奥で、
異世界での記憶が微かに揺れる。
魔物の咆哮。
通路の振動。
剣と杖の閃光。
戦場の中で、
二人の心は確かに通じ合った。
忠臣は深呼吸し、
剣を大きく振るう。
しずくも、
杖を掲げて回復の光を放つ。
戦闘は始まったばかり。
しかし、二人の魂の共鳴は、
迷宮最深部の危機を前にして
静かに芽生え始めていた。




