第11話 討伐中盤
迷宮の奥深く。
三パーティは互いの距離を保ちつつ、
複雑に曲がる通路を進んでいた。
忠臣は雷光衆の前列で剣を握る。
視線の端には、しずくの後ろ姿。
(やはり気になる……)
胸の奥がざわつく。
だが、任務に集中しなければならない。
「左側通路、注意!」
神崎剣悟の声。
斥候の風見蓮と格闘家の相原拳が
左右に散って魔物を迎え撃つ。
忠臣も踏み込み、
剣を振るう。
ゴブリンの首が跳ね、
スケルトンの骨が砕ける。
しかし、敵は数が多く、
一体倒してもすぐに次が現れる。
「後列支援、頼む!」
しずくが杖を高く掲げ、
白い光を仲間に降り注ぐ。
忠臣の肩の切り傷も、
瞬時に塞がった。
戦場の中で、
自然に互いを意識している。
視線が一瞬重なる。
互いに言葉は交わさない。
(……やはり、
懐かしい感覚だ)
その瞬間、
通路奥から新たな異変。
黒い影。
大きな羽を持つ魔物が姿を現す。
「ドラゴン型か……!」
雷光衆の久我颯真が叫ぶ。
火力と魔法で迎え撃つが、
その速度は想像以上だ。
忠臣は踏み込む。
通常の剣技で距離を詰め、
炎迅撃を使わずに攻撃を仕掛ける。
だが、魔物の防御は堅く、
わずかに傷を付けるだけ。
その隙をつくように、
しずくが杖を振るう。
「ヒール!
体力が危ない!」
仲間の傷を瞬時に治癒する白い光。
忠臣は一歩下がり、
冷静に敵の動きを読む。
(……やっぱり、
頼もしい)
その時、背後で微かな違和感。
振り返ると、
しずくも同じように忠臣を意識していた。
(お互い、
無意識に……)
魔物の翼が遮る光。
忠臣は剣を大きく振るい、
一撃で翼を斬る。
その衝撃で、魔物はバランスを崩し、
地面に叩きつけられる。
蒼天の翼の剣士・神崎が追撃を加え、
魔物はついに倒れた。
「やったな」
忠臣は短く呟き、
しずくに目を向ける。
しずくも、
杖を下ろし、微笑む。
(……やっぱり、
懐かしい感覚)
二人の間には、
言葉にできない絆が芽生え始めていた。
戦闘が終わると、
通路は再び静寂に包まれる。
忠臣は剣を鞘に収める。
しずくも杖を抱え直し、
互いの存在を無言で確かめ合う。
胸の奥に残る違和感と懐かしさ。
それは、
まだ名前を呼べない想いのように、
静かに二人を引き寄せていた。




