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第10話 最初の危機


 迷宮の深部。


 三パーティは、

 狭い通路を縦に並んで進んでいた。


 忠臣は前列、

 八神剛と共に盾を掲げながら歩く。


 その後ろで、

 しずくが杖を握り、

 仲間を癒す準備を整えていた。


 通路が広がると、

 突然、低くうなる咆哮。


「来るぞ!」


 魔物の群れ。

 ゴブリン、スケルトン、アンデッド。


 数は以前より多く、

 通路の端から押し寄せる。


「前列、押さえろ!」


 忠臣は剣を構え、一体目に踏み込む。


 だが、突如、通路の天井が崩れ落ち、

 巨大なオーガが落下してきた。


 しずくの背後に向かって棍棒を振り上げる。


「八雲さん!」


 忠臣は迷わず、前に飛び出した。


 身体が自然に動く。

 力が全身に漲る。


「炎迅撃!」


 剣から赤い炎がほとばしる。

 オーガの巨体に突き刺さり、

 激しい衝撃と共に吹き飛ばす。


 同時に、しずくの杖から白い光が漏れる。


(……魂の共鳴?)


 互いの魔力が、

 無言で共鳴している。


 光と炎がぶつかる瞬間、

 二人の意識はわずかに重なった。


(カイト……)

(フィオナ……)


 その声が、

 互いの胸に響く。


 戦闘の余波で、

 周囲の魔物も一瞬立ち止まる。


 忠臣は炎迅撃を再び振るうことなく、

 通常剣技で残る魔物を蹴散らす。


 しずくは後方で、

 回復魔法を仲間に行き渡らせる。


 戦いが終わると、

 通路に静寂が戻った。


 忠臣は息を整えながら、

 しずくの方を振り返る。


 彼女もまた、

 息を整え、杖を握りしめていた。


 視線が合う。

 言葉はなくても、

 互いに伝わるものがある。


(……やっぱり、

 懐かしい)


 しずくも同じ感覚を抱く。

 胸の奥に、

 言葉にならない違和感と懐かしさ。


 二人の心は、

 戦闘を通じて少しずつ、

 互いに近づき始めていた。


 その距離は、

 確かに運命の糸に導かれるような感覚。


 だが、

 互いの正体――

 異世界の勇者カイトと聖女フィオナ――

 は、まだ誰も知らない。


 忠臣は、

 剣を鞘に戻す。


「次の通路も、慎重に行こう」


 しずくも軽く頷き、

 杖を抱え直す。


 戦いは続く。

 だが、心の奥底に、

 二人だけの秘密の感覚が、

 静かに芽生え始めていた。


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