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番外編:sideキリアン

 私の妻は世界の人々に崇められている。

 過去に偉業を遂げた方々を全員合わせても叶わない程のずば抜けた頭脳を持つためで、だが容姿は可憐でとても美しく、本当に女神と言われるに相応しい。

 世界を牛耳ると言われているが、彼女がそう思えば、きっとそうなるだろう。

 だが、彼女にはそんな気はさらさらない。


 学院の頃から、彼女はその才媛ぶりに反して、どこかのんびりしている雰囲気があった。

 講義中は真面目に凛とした姿勢で講義を受けていたが、表情には出さないがどこかつまらなさそうな様子だった。

 講義が終わると、毎日図書室に通い黙々と読書をしていた。その様子も淡々としており、本を読むことをただの作業として行っているようで、周囲の学生達はその様子を遠巻きにみているだけだった。

 そんな彼女が誰からも慕われるようになったのは、リナの行動による。

 ある日、本を探している学生にリナは声をかけた。

 何を探しているのかを聞き、すぐにその本のところに案内した。驚いた学生に、リナは図書室にある本は、どのジャンルがどこにあるのかは覚えたので私に聞けばすぐに見つけられますよと優しく答えた。

 私を含めた周囲の図書室の常連は、その時点でまだ2ヶ月しか経っていなかったため、驚愕の面持ちでリナを見たのだった。

 それからは、リナは自分の読書の合間に、本を探している学生に声をかけては、司書のように案内を繰り返していた。

 恐縮しながらお礼を言う学生に、本の内容を簡潔に伝えたり、時折リナが読んでいる本の内容を問う学生に対してはその内容を詳細に話していた。

 誰に対しても、優しく穏やかに丁寧に接するリナが、世界を牛耳れる女神と囁かれるようになるのに半年もかからなかった。

 噂は彼女に届いていたようだが、彼女は一切気にすることなく、穏やかな態度はそのままに誰に対しても平等に接していた。


 そんな彼女の特別になりたいと思い始めたのは2年生を過ぎた頃だった。

 公爵令息である私は、学院当初から多くの貴族令嬢に媚びるような視線を送られていたため、それから逃げるように図書室に篭っていたのだが、私を含めて誰にも興味を示さない彼女がとても新鮮だったのだ。

 高位令嬢であるのに、傲慢な様子はカケラもなく、学生だけではなくどんな職員にも同じく平等に丁寧に接する態度に、心底心根が優しいのだと感じた。


 この女神を、他の者にとられたくないと思い、積極的に彼女に接することにしたのだ。

 彼女の隣に座り、読書の合間に彼女の好きな物など聞いてみた。宝石にはあまり興味がないが、可愛いリボンや筆記具など集めていること、ケーキやプディングが好きだということ、将来は外交官を目指していることなど彼女のことを少しずつ知っていき、彼女の誕生日には彼女が気に入りそうな小物をプレゼントした。

 働きたいので婚約者を作る予定もないと言っていたので、アプローチは彼女が働いてからにしようと、密かに彼女と距離を近くしようとしている令息達を牽制するのみとし、彼女とも一定の距離を保った。

 だが、予想を超えて彼女は次々と国政を整えていったため、卒業時には世界から彼女に熱い視線が送られてしまっていた。

 彼女の父がいる部署に進路を決め、彼女の父に婚約者として認めてもらうことに決めた。


 結果として、それは功を成した。

 予想通り、卒業後に殿下や他国の王子から婚約の打診が来たようだ。

 職場に入ってすぐから、リナの父にリナの事をずっと以前から慕っていることを伝えた。学生の時はリナと誰よりも仲良くしていたので、リナの方も少なからず私に対して好意はあるはずですとも強調した。

 リナの父であるミハイル卿は、リナに確認してくれたがほんとにそうだったようで、内心とてもほっとしたのだが。


 私達の婚約を進めていいと判断したミハイル卿は、他の婚約の申し込みに対して、以前から私との婚約が内々に決まっていたということにしてお断りをいれたとの事だった。

 確実にリナを手に入れることが出来ると、しばらく内心浮かれっぱなしだった。

 リナとデートを重ねるたびに、その可愛らしい仕草や変わらない優しさに心を打ち抜かれた。

 死ぬまで、この女神を大事にして愛し抜こうと誓った。


 結婚して母となってからも、子供達のために次々と素晴らしい物や政策を打ち出していたが、その美しさと優しさは全く変わらず、常に女神だった。


 リナの側にいられることに感謝し、彼女がやりたい事を思い切り出来る環境を整えることに力を注いだ。

 世界を牛耳る女神と言われていたが、私達家族にとっては、家族だけではなく世界を幸せにしてくれる、美しく優しい妻であり母だった。

 私達の子供達も、リナに似て誰もが天才と呼ばれる何かしらの特技を持っていたが、誰一人奢ることなく、リナのように穏やかで優しい子に育っていた。

 女神から生まれた子は、みんな天使だった。

 女神と天使に囲まれ、最高の人生を送れている。


 外交官の道を諦めたリナだが、そろそろ国政から離れていい年齢だ。

 寿命まであと10年くらい……

 ゆっくりとリナと他国を回る旅をしよう。

 きっとリナは喜んでくれるだろう。



登場人物の内心を書きたくて、番外編投稿いたしました。お読みいただきありがとうございます!


よろしければ、下の☆☆☆☆☆から評価を入れていただけると大変励みになります!


何卒よろしくお願いいたします!(*´ω`*)

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