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⭐️色褪せることのない絆⭐️ ✨️EMPATHY 大隅綾音と魚住隆也✨️  作者: 詩野忍


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4/12

✨️若葉色の記憶、永続する心の道標✨️

挿絵(By みてみん)

 人が誰かを想うとき

 その想いは

 決して目に見える形を持って現れない

 けれど

 確かに“そこにある”

 胸の奥のどこか

 光でも影でもない中間の場所に

 ふと触れた指先のように

 ひんやりと

 そして確かに存在している


 『色褪せることのない絆』

 目に見えない“心の筋道”を

 十九歳の春から

 長い時間をかけて

 追いかけていく


 私、大隅綾音と魚住隆也


 恋人でもなく

 幼馴染でもなく

 運命を誇張するような劇的な出会いでもない


 誰の人生にもひっそりと潜んでいる

 “すれ違いの瞬間”

 から始まる

 見慣れた通学路で

 ふと目に映る横顔

 講義室の扉の前で

 何気なく交わした視線

 小さな親切と 

 それ以上を言葉にしない遠慮


 まるで

 若葉が音もなく

 芽吹くように

 気づけばそこに

 “確かな存在”

 として根づいてしまっている


 初恋

 という名の甘い疼きではなく


「ある人を思い続ける心は、どれほど時間が経っても色褪せない」


 という

 人生の普遍的な真理を静かに


 絆とは

 共に暮らすことでも

 いつも隣に立つことでもない

 物理的な距離や

 肩書きや関係性の名前に回収されるようなものでは

 本来ないのかもしれない


 絆とは

「その人の存在が自分の歩幅や呼吸を、目に見えぬ形で変化させるということ」

 その静かな力にほかならない

挿絵(By みてみん)

 十九歳の春

 私、綾音は

 自分でも説明できない感情の“前触れ”と共に歩き始める

 若葉色の風が頬を撫でるたび

 胸の奥で何かが小さくきしむような

 新しい頁をめくるときの

 紙の音のような感覚に戸惑いながら

 推理めいた観察を繰り返すたび


 魚住隆也という青年の

 静かな気配が私、綾音の心に影のように宿っていく

 まだ言葉にも形にもならない

 けれど確かに芽生えつつあるもの

 そしてその芽生えを

 私、綾音は誰よりも慎重に

 誰よりも深く味わっていく


「季節が巡り、年齢を重ね、人生が複雑さを増してもなお、心のどこかに灯り続ける想い」


 春は予感の揺らぎ

 夏は挑戦とすれ違い

 秋は選択と再会

 冬は静寂の中に宿る祈り

 そして最後に訪れる“永続の季”は

 人が生きる時間を超えた

 魂の透明な連続性を示す章である


 季節は

 誰のもとにも平等に訪れ

 平等に過ぎ去っていく

 しかし

 その季節を

 “誰と過ごしたか”

 “どんな心で歩いたか”

 によって

 人生はまったく異なる表情を見せる

 私、綾音と隆也が歩いた季節は

 決して派手ではなく

 闘いの物語でもなく

 劇的な愛の告白でもない


 **「静かに隣を歩くということが、人生で最も難しく、最も強い愛」**


 人生を振り返るとき

 大きな出来事よりも、些細な瞬間

 桜の下を歩いた日の風の匂い

 ふと視線が合った時の

 ほんの数秒の温度

 言葉にしなかった後悔や

 伝えられなかった優しさ

 思い返すたび

 胸の奥で静かに痛み

 同時に温かくなるような記憶たち


 私、綾音の戸惑いに

 自分の過去の揺らぎを重ねる

 隆也の沈黙に

 伝えられなかった想いを重ねる


 絆は

 手をつなぐことで生まれるのではない

 恋人であることで保証されるものでもない

 それはどちらかといえば


「その人を想うことが

 自分を整え

 自分を支え

 自分を少しだけ前へ

 押し出してくれる」

 そんな透明な作用の積み重ね


 私、大隅綾音と魚住隆也は

 人生のすべてを

 共にするわけではない

 長い間すれ違い

 互いへの気配だけが

 心の奥で灯り続ける季節

 けれど

 その灯りこそが

 二人を導く“見えない手”となる

 やがて人生の秋に差し掛かる頃

 二人は気づく


 絆とは

 選ぶものではなく

 気づけばそこに在り続けるものだと


 そして

 人生の冬を越えた最後の季──永続の季

 季節に名前がつかないほど透明な場所で

 二人の物語はそっと輪を閉じる

 しかしそれは“終わり”ではなく

 胸の内に

 “第二の春”

 を芽吹かせるための静かな余白


 人は決して孤独ではないと知る

 誰かを想った日々は消えない

 色褪せるどころか

 むしろ時間と共に深まり

 静かに光り続ける


 その光を

 “絆”

 と呼ぶ


 この物語は

 その優しい真実を

 500季もの歳月をかけて

 そっと教えてくれる

挿絵(By みてみん)

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