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殺人は偶然に

作者: 夢菜

ある冬の寒い日、雪が降りそうな雲行きだった。


俺は雪が降ると歩いて仕事に行かなければならなくなるので面倒だった。


朝ごはんを食べて自転車に乗り、会社に向かう。


寒さに手が震える。


手袋をしているのにも関わらず、手が悴んでいる。


俺は、田中拓海、28歳。


22歳から働き始めた会社には20分程で着き、屋根のない自転車置き場に止める。


帰る頃に雪が降っていたら困るな。


俺は、タイムカードを押し、職場に向かう。


部屋は暖かくなっていた。


先に来ていた人がエアコンをつけてくれたのだろう。


有難い。


今日は、午後から会議があり、資料の再確認をし始めると、佐藤さんが話しかけてきた。


「今日は寒いわね。雪が降りそうな天気ね」


そう言いながら離れると少しして戻ってきた。


「拓海くんのコーヒーも入れてきたわよ。少しは温まるかしら?」


そう言うと机の上に置いた。


「ありがとうございます。寒かったからちょうどよかったよ」


上司が出勤するとみんな席に戻り仕事を始めた。


午後の会議が始まる頃には、空から白いものがちらほらと舞ってきた。


(とうとう降ってきやがったか。帰りが大変だな。あまり降らないといいけど)


拓海の思いとは裏腹にかなりの雪が積もっていた。


1度、雨に変わったらしく、凍っている所もある。


(帰りは滑らないように気をつけないとな)


仕事も終わり退社時間になった。


俺は、タオルを持って自転車に向かい、ハンドルやサドルを拭いた。


あちこち凍っていたが気にしなかった。


乗り込むと家に向かい走る。


途中、何人かが足早に滑りそうになりながら歩いている。


俺が横切った瞬間、男の人が転んだ。


(あ~あ、滑っちゃったな)


男の人はおしりを打ったのかなかなか立ち上がろうとしない。


俺は助けようとしたが、他人を助けてろくなめにあったことがなかったからやめて帰路に着いた。


お風呂を沸かし、その間に簡単な夕飯を作る。


体が温まって、酒を飲みながら先程作った夕飯を食べると落ち着いた。


テレビをつけると大雪のせいで怪我人続出と報道している。


俺は無事に帰れたが、転倒して病院に運ばれた人が多かった。


その中に俺の通り道でも何かあったらしい。


あれ?さっきの転んだ人?


よく聞くとその人は亡くなっていた。


え?なんで?


俺はその時の事を思い出していた。


でも思い当たる節がない。


情報によるとふくらはぎに裂傷があり、出血多量で亡くなったとの事。


相当傷が酷かったらしい。


俺が見た時は出血など見えなかったし、転んだだけだと思った。


もしかして俺がペダルか何かで?


自転車を確認したが裂傷になるほどのものは無かった。


転んぶ前後になにかしてしまったのかも。


そう思い俺は関係無いと安心した。


その後も犯人や凶器は出てこないらしく、手詰まり状態らしい。


結局、迷宮入りになり、未だに解決していない。


みなさんは、この事件の真相が分かりますか?


偶然が偶然を呼び、殺人にまでなってしまったのでした。




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