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不安③

 秋葉原に行くまでもない、私はAmazonで盗聴器を二台購入した。電源タップ型でコンセントに差しておけば電力が永遠に供給される。


 ゆうくんが仕事に行ったのを見計らって部屋に侵入し、テレビボートの裏にあるコンセントに差した。


 もう一つはベッドの下にある普段は全く使わない場所。バレる心配は無さそうだ。


 次に餌を撒く。


『今週の金曜日からお母さんと温泉に行ってくる。お土産買っていくね♨️』


『お、良いねえ温泉。お土産よろ』


 これでよし。赤ん坊を連れて金曜から旅行に出かけることに何の疑問も抱いていない。


 金曜日は会社の飲み会、再びあの女、愛美が来るとは考えにくい。《《普通なら》》。


 しかし、あの女は必ずゆうくんを奪いにくる、しかも強引な方法で、女の勘だ。酔った勢いでまたマンションを訪れるはずだ。


 こんな事をしてなんの意味があるの?


 もう一人の私が問いかける。意味、そんなものはない。確かめたいだけ。


 なにを?


 分からない。


 私はテレビをつけてから自分の家に戻る、六階から二階。直線距離なら十メートルも無いはず。


 最新式の盗聴器、受信機は自動で周波数を合わせてゆうくんの部屋に仕掛けた電源タップに繋がりテレビの音声が聞こえてきた。感度は良好。


 なぜか心臓がドキドキする。初恋のような胸の高鳴り。少しだけ盗聴犯の気持ちがわかった気がする。


 その晩、夫に抱かれた。見えない電波で繋がった私たちの部屋。ゆうくんに聞かれているようで興奮した。すごく。

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