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イレギュラー①

 たっぷりと土日、博多旅行を満喫してしまった。当たり前のようにセックスをして、部長、井上さんだった呼び名は(こう)くん、ゆうちゃんになっていた。


 夜の営みを思い出して思わずニヤける、モテる男はセックスも上手い、いや、セックスが上手いからモテるのか、どっちでもいいや。


 二日間家を空けた事なんて結婚以来初めて。大量のお土産を抱えて慎重に玄関の鍵を開けた。


「ただいまぁ」


 玄関に靴はない、出かけたか。


 なぜかほっとしてリビングに入るとそこは惨状と化していた。食べっぱなしの寿司に飲みかけの酒、スーツもパジャマも脱ぎっぱなし。


 子供かよ。


 ため息を吐いて片そうとすると、おや。取り皿から箸からすべて2セットある。なるほど。


 金曜夜の機嫌の良さ、つまりお持ち帰りに成功したか。夫婦で暮らす家に持ち帰るな馬鹿が。


 ゴミを捨ててシンクに溜まった食器を洗う、スーツはクリーニング、他は洗濯機に突っ込んで時短で回す。掃除機を掛けて寝室に入ると案の定、布団はめちゃくちゃ。シーツを剥いで新しい物に変える。


 あっという間に元通り。我ながら鮮やか。


 スマートフォンを取り出してアプリを起動させた。監視カメラに録画された映像をチェックする。


 リビングと寝室に1台ずつ隠しカメラが仕込んである。もちろん夫のDV現場を証拠として提出するため。


 金曜日の深夜まで時刻を戻す、リビングに二人の人影。夫と知らない女、察するにえりこ。下品なワンピースが良く似合う。


 普段じゃ考えられないほどテキパキと動く夫、しかしどこに何があるか分からないのか、引き出しをメチャクチャに開けている。


 しばらくソファで飲んでたと思ったら、いきなり夫が女に覆い被さる。抵抗する女、強引にキスをせがむ夫。


 やがて女が諦めたように体を許すと、自宅のリビングで他の女とセックスする夫の映像が淡々と流れた。


「キモッ」


 何を考えてるんだこの女は、よくこんな男に抱かれるな。私なら無理。6000万のため。


 同じ頃、おそらく恒ちゃんに抱かれていた私。


「ふっ」


 勝利を確信して動画を保存した。



『くそ野朗の証拠』フォルダにまた一つ有力な武器が加わった。満足。すごく。

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