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88.暴走7

さて、ダンジョンの入り口からは大勢のモンスターの足音が迫っている。そろそろかと身構えていると、俺の指輪からグラムとスノウ、ウルが飛び出してきた。


「おいっ、お前ら、勝手に出てきちゃダメだろ?」


「えっーと、そろそろかと思ってなの!」


「だぞ!」


「なのです!」


そう言いながら3人は体を動かしている。どうやら準備体操をしているようである。それを、見ていた玄羅と朔夜、遙は何も思わなかったが、後ろにいる探索者や自衛隊の面々は武器を身構える。その、気配を感じたので、俺は振り返り


「コイツらは敵じゃないので攻撃しないでもらえますか?」


「「「「「「「???????」」」」」」」


「あっー、何と言いますか、コイツらは仲間なので!」


「仲間ぁー?モンスターがか?」


と、長谷部が突っ込んで来るが、それに、グラムがイラッとしたようで、


「むぅ!何かムカつくの!!攻撃してもいいの?」


と、物騒な事を言ってくる。


「いや、ダメだから!」


「むぅ!残念なの!」


何とかグラムは攻撃は諦めてくれた。


「おいっ、オッサン!あんまり家の者を悪く言うのはやめてもらえるか?」


「家の者だと??」


「そうだ。俺にはあるスキルがあって、そのスキルを使ってモンスターと友好的になれるようになったんだ。」


「そうなの!主はスゴいの!!」


「「「主?」」」


「まっ、まぁ、それはいいとして、コイツらも参戦させるから!」


朔夜と遙、玄羅は了承する。まぁ、グラム達が参加するのは大体予想は出来ていたのだろう。すると、


「あの~、ちょっといいですか?」


「二階堂さん、どうしたんですか?」


そう、支部長の二階堂が話しかけてきたのである。


「恐らくですけど、あのスライム達はそこにいる白い犬と同じくらい強いんですよね?」


「そうですね。それがどうかしました?」


「いえっ、なら1つだけ私の我が儘を聞いていただけたらと思いまして。」


「我が儘ですか?」


「はい。先ほど、あの白い犬にも頼んだのですが、全力を出されるとモンスターが吹き飛んで壁がダメになってしまうんですよね。」


「分かりました。………、おい、お前達。今、聞いた通り、敵を吹き飛ばしたりするのは禁止な。非常事態の時は仕方ないけどなるべく気をつけてくれ。」


「分かったの!」


「了解だぞ!」


「なのです!」


「わん!」


「頼んだぞ!………二階堂さん。これでいいですか?」


「はい。ありがとうございます。」


グラム達も了承してくれた。ちょうど、その頃に、ダンジョンの入り口からモンスターが続々と出てくる。


「何か、さっきよりも少し大きくないっすか?」


「気のせいではないと思いますよ!」


「ん?そうなのか?じやあ、朔夜達は止めとくか?」


「いえ、やります!」


「やるっすよ!」


「そうか!………それで、じいさんも?」


「勿論やるぞ!」


「了解!じゃあ、行くぞ!」


俺とグラム、スノウ、哮天犬は、一気に黒いゴブリン達に突っ込んでいく。そして、ほんの少し遅れてウルも突っ込んでくる。


「あっ、師匠!ずるいっす!」


「そうですよ!」


「そんなこと言っとる暇があったら儂らも行くぞ!早くせんと奴等に全て持っていかれるぞ!」


「了解っす!」


「分かりました。」


こうして、朔夜達も参戦するのであった。


そうそう、一応鑑定を使ってみた結果、


種族 ブラックゴブリン

HP 2000

MP 500

スキル 剣術8 咆哮3 


と、結果としては、ゴブリンにしては強いと思うが、結局は俺たちの敵ではない。だが、遙や、朔夜、玄羅にとっては、ちょうどいい相手である。


まずは、その遙である。今までは、前線はほぼ1人だったので、MPを消費することは怖かった。MPが、無くなればいざというときに何も出来なくなってしまうと思って、率先して使ってなかったが、俺達が戦闘に参加することにより遙の肩の荷は下りた。いざとなったら師匠達の誰かどうにかしてくれる。何せ、自分達よりも遥に強い人達だからである。なので、ここからは自由にやりた


「行くっすよ、トライデント!」


その声に反応するようにトライデントは、少し光ったように見える。遥は、自信の回りに水を生成し、水を圧縮し、いくつもの水の玉を作り出す。そして、それらの水の玉を自信の水魔法で放つ。水の玉はものすごい速度で飛んでいき、ブラックゴブリンに風穴を開け床や壁に穴を空けてしまった。


「あっ、ヤバイっす!やりすぎたっす!」


支部長の二階堂から、出来るだけ建物には被害が無いように戦ってくれと頼まれていたのに、俺やグラム達よりも先に自分が被害を出してしまうとは夢にも思っていなかったのである。だが、被害が出たものは仕方ないので、無視することにする。二階堂にも適当に言い訳をしようと思う。そんなことよりも早く1匹でも多く倒していかないと俺達に持っていかれるので、さっさと倒しに行く。



次は、朔夜である。俺達が来る前は、朔夜も遙と同様にMPを温存して戦っていた。ここからは朔夜も遠慮なくMPを使用することが出来る。朔夜は、矢に風魔法を付与して射る。魔法を付与しない状態で矢を放っていた時は矢はブラックゴブリンに刺さるだけであった。刺さるだけと言っても、辺りどころが悪ければ大ダメージになるし、下手したら致命傷にだってなりかねない。だが、今は、ブラックゴブリン自体を貫いてしまうようである。今回は、1匹を貫き、その直ぐ後ろにいたもう1匹に突き刺さったが、よく考えて射たないと支部自体を傷つけてしまうかも知れないので要注意であると考えながら矢を射っていた。

朔夜の攻撃方法は弓なので、皆とは違い、後方からの攻撃が主である。まぁ、近接で弓を使う奴も居るかもしれないが、朔夜にはそんな技術は持ち合わせていなかった。後方からだと全体の動きが良く見えていた。俺とグラム達は当然余力を残して戦っている。そして、遙ある程度の力を発揮しつつブラックゴブリンを相手にしている。もし、ここに来る前の遙であったらもっと苦戦したかも知れないが、結構な数のブラックゴブリンを倒してきたお陰でレベルも相応に上がっているので、今はちょっと不安程度で見ていられる。だが、一番の懸念は玄羅である。玄羅は、1匹のブラックゴブリンと対峙していたのだが、今は乱戦の状態である。更には、戦う人数は明らかにこちらの方が圧倒的に少ない。なので、1人が何匹ものブラックゴブリンを相手にしなければならない状態である。たが、玄羅にはそれが出来ない状態にあった。目の前の1匹に集中しないとあっという間にこちらが負けてしまう。玄羅にとってはそう言う相手である。本来ならばこの戦いを、命のやり取りをやっているという感覚を味わう事が出来るのだが今はそうも言ってられない。


「困ったのう!」


と、思っていると、玄羅の後ろからブラックゴブリンが玄羅目掛けて飛んでくる。それを見ていた朔夜が、


「はぁ~!仕方ないですね!」


そう言いながら玄羅目掛けて飛び込んだブラックゴブリン矢で貫く。玄羅は、目の前の相手に注意を払いながら


「朔夜、すまんのう!助かったわい!」


「いいえ、!それよりもお爺様、目の前の敵に集中してください!」


「分かっておる!」


そう言い玄羅はブラックゴブリンと対峙する。だが、どちらも攻撃に出ることは出来ないでいた。どちらにも隙がないのである。ならばと、玄羅はあえて隙を作り出す。すると、ブラックゴブリンは、その出来た隙を突くように飛びかかり攻撃してくる。だが、隙は玄羅があえて作り、そこに攻撃をしてくるように誘導したのであるため、回避するのは簡単なことである。これがある程度の知能があるモンスターであったならあまり効果がなかったのであろうがブラックゴブリンも知能は低かったのであろう玄羅が作った隙に攻撃を仕掛けてくる。勿論、玄羅は、ブラックゴブリンに攻撃をさせようていたのだから余裕で回避を行う。回避後はミスリルの刀を上段から振り下ろしブラックゴブリンを仕留める。どうやら、俺が作ったミスリルの刀でもブラックゴブリンにダメージを与えることは出来たようである。最初こそ1対1で戦っていたのに回数を重ねる度、自身の成長を実感しブラックゴブリンを倒す時間を少なくしていくのであった。



次は、ウルである。ウルの基本的な攻撃は、格闘術と手に着けているオリハルコンナックルガントレットである。だが、今回に関してはこの戦い方は不利であると思う。その理由としては、なるべく建物に被害を出さないようにという注文があるからである。取りあえず、考えていても仕方のないためブラックゴブリンを倒して見ることにする。ある程度の力を込めてウルはブラックゴブリンを殴り付けるがブラックゴブリンは見事に吹き飛んでいき壁に激突し、亀裂を生じさせてしまう。


「ムウッ!………難しいのです!」


力加減を間違ったようであるが、ブラックゴブリンは壁に激突した際には既に息絶えていた。次に、右ストレートを繰り出すが、今度は威力が足らずに仕留めきるには至っていない。だが、明らかにダメージは入っている。その証拠に、腹に右ストレートを放ち、ブラックゴブリンは悶絶している。そのあとも、ウルは、らブラックゴブリンを吹き飛ばさずに倒せるように何度も力調整を行い、漸く見つけ出すとペースを上げてブラックゴブリンを倒していくのである。



さて、こちらはスノウと哮天犬である。2人は四足歩行の獣型であるため攻撃手段はよく似ている。しかも、今回は吹き飛ばし厳禁なので、スノウは斬爪撃でブラックゴブリンを引き裂いていく。そして、哮天犬も負けじと爪で攻撃していく。但し、哮天犬は、雷を体に纏っているため殆んどのブラックゴブリンは感電死している状態である。まぁ、この2人にとって、建物に被害を出さないようにすると言うお題は、あまり難しくない問題であった。



次は、グラムである。まず、グラムは考えた。どうしたら建物に被害なくブラックゴブリンを倒せるのかを。まず、酸を使った攻撃は無しである。ブラックゴブリンを倒すことは容易いが、外れたときやブラックゴブリン自体を貫通した場合、それは、そのまま建物に接触してしまう。すると、建物はグラムの酸で溶けてしまわない。次に、魔法で倒していく。これは、問題なく出来るだろうがあまり面白くない。


「よしっ!これで行くの!」


グラムは、自分の攻撃方法を決める。そして、グラムは、大きくなり自分の体を何本もの刀や剣に変化させ、そこに硬化のスキルを硬くしてブラックゴブリンに攻撃を仕掛ける。グラムは、スパッ、スパッとブラックゴブリン斬っていく。勿論、建物などに被害をもたらすこと無くブラックゴブリンを蹂躙していくのである。



最後に俺だが、俺にとっても今回の戦いは安牌であった。抜刀術は流石に何度も鞘に納めるのが面倒なので使わない。なので、普通に来た敵を斬るという単純な作業をしている状態である。そうそう、いい忘れたが、今回俺は雷神の剣である。雷神は、


《やっと儂を使う気になったか?》


「そういえば、久しぶりだな。」


《御主が儂を抜いて以来初めてじゃ!》


「よくそんな細かいこと覚えてるな。」


《細かくないじゃろ。儂はもっと暴れたいんじゃ!!》


「わかった、わかった。今度からは使うようにするから勘弁な!」


《それならしかないの!じゃが、今日は力を使うぞ!》


「ああっ、よろしく頼むな!」


《わかったぞ。だがな、もう少し儂を使ってくれんかの?》


「わかった。じゃあ、行くぞ!」


《了解じゃ!》


っというやり取りが戦う前にあった。そんなわけ雷神の剣を使いブラックゴブリンを蹂躙していくのである。

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