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80.ある人からの電話

俺達が帰った後の天上院宅である。そこの主である天上院玄羅は、自身の書斎の椅子にもたれ掛かっていた。


コンッコンッ!


と、部屋のドアをノックされる。


「入れ!」


「失礼します。」


玄羅が入室の許可を出すと1人の黒いスーツを着た男性が入ってくる。この男性は、玄羅のボディーガードのリーダーである三門健介である。


「お呼びでしょうか?」


「ああ。お前達の悩みを解消しようと思ってな。」


「それはっ、一体?」


「お前達、神月の犬に負けた事で自信を失くしていることは知っている。そこでだ。お前達に提案がある。」


「てっ提案ですか?」


「そうだ。………お前達もダンジョンに入るんだよ。」


「ダンジョンですか?」


「そうだ。今年になって世界は大きく変わった。それは、世界的にダンジョンが出現したことだ。人はダンジョンに入り、モンスターを倒すことで色々な未知の物が手に入れる事が出来るようになった。そして、レベルというものを上げれば、身体能力が上がり、様々なスキルや魔法まで使えるようになる。そんな中で、お前達の仕事の内容は変わらず依頼主の警護だ。今までならお前達で護る事は問題がなかったが、相手がレベルが高く、スキルを習得した奴ならお前達なぞ赤子の手をひねるような物だ。」


話を聞いていた三門は表情は変えないが拳を強く握る。それを見ていた玄羅は、


「悔しいのは分かる。そこで、提案だ。お前達もダンジョンに入ってみないか?」


「はい?」


「儂は、今、神月に連れられてダンジョンに赴いているのは知っているな。」


「はい。知っています。」


「神月のお陰で、儂も結構なレベルアップしての。若い者の言葉で言えばハマっておるのじゃよ。そこで、儂もいつまでも神月にいつまでも迷惑をかけるわけにはいかんと思っておってな。じゃが、この年じゃし一緒にダンジョンに潜ってくれる者もおらん。まぁ、朔夜がおるがあれは友達と潜るだろうし、玉兎は、興味を持っておったようだが、まだ、免許を持っておらんし。………、そこで、考え付いたのがお前達ボディーガードの面々じゃ。ダンジョンに入れば強くなれるし、護衛対象の儂を護れる事も出来る。臨時収入も増えるぞ。」


「臨時収入ですか?」


「そうだ。ダンジョンに入りモンスターを倒すことで魔石やアイテム等がドロップする。また、宝箱も出現するからそこには色々な物が入っている。これらは、自分達で有効利用するも良し、国に売っても良し。まぁ、魔石なんかは儂達には使い道がないから国に買い取ってもらうのが1番なんじゃがな。それに、儂は、金は要らんからボディーガードの面々で均等にすれば、臨時収入にもなるじゃろ。但し、珍しい物が出たときは儂にも交渉させて貰う権利位は貰うがの。どうだ?」


「確かに、それはいいお話だと思います。私としては賛成なのですが他の者が何というか分かりませんので明日まで待って頂けますか?」


「わかった。」


「では、失礼します。」


三門は、玄羅に一礼すると部屋から出ていく。


「フゥー、これで1つ目は片付いたわい。あと、もう1つの面倒事も片付けることとするか。」


玄羅は、部屋にある電話の受話器を上げるとあるところに電話をかけ始める。



ここは、警察庁長官の部屋である。今の、警察庁長官の冴島雷蔵である。冴島は、部屋にて机の上に山積みになっている書類の整理を行っていおり、今日はそろそろ切り上げて帰ろうかと思っている時だった。急に、部屋に置いてある電話が鳴り響く。警察庁長官室には、2台の電話が設置してある。1つは普通の電話である。もう1つは、警察庁長官室直通の電話であり、この番号を知るものはあまり多くなく、大抵面倒な事があるので、冴島は、あまり鳴って欲しくない電話である。冴島は、意を決して電話に出る。


「もしもし、どちら様で?」


「久しぶりだな。儂だ。天上院玄羅だ。」


「はぁ~、何だ。玄羅か!」


「何だ、その言い方は?折角の昔馴染みにたいして酷いではないか!」


「いいんだよ。それで、何の用だ?」


「いやなにちょっと腹立たし事があったので連絡したんじゃ!!」


「イチイチ腹立たしい事があって、私に連絡されても困るんだが、玄羅が些細な事で連絡するとは思わんが何があった?勿論、私に連絡してきたんだから、私に関係があるんだろう?」


「そうだ。雷蔵、儂の孫が探索者になったんじゃ。」


「そうか。それで?」


「それで、探索初日に孫とその友達は2人でダンジョンに入るのは少し躊躇ったようでの、それを見ていたグループに声をかけられて一緒に探索することになったようなんじゃよ。」


「大体話が読めてきたぞ。最初は上手く一緒に探索をして人気のない所に連れていって不埒な事をしようとしたってパターンか?」


「その通り。よくわかったの!」


「警察を長年やってるとそう言う事については敏感になるんだよ!それで、孫に不埒な行いをした奴らに復讐でもしたいのか?」


「ん?何を勘違いしておる。孫もその友達も無事だ。」


「何だ。そうなのか。それは良かったな。」


「ああ。」


「じゃあ、何故、私に連絡してきた?」


「問題はここからだ。」


「何?」


「ちょうど孫とその友達が襲われているところを偶然助けてくれた御仁がおっての。しかも、孫達の悲鳴を聞いて直ぐに駆けつけてくれたらしいんじゃが、その御仁はそのままダンジョン支部や警察に突き出しても証拠がないと言われると思ったらしくて、暫く隠れて一部始終を携帯のカメラ機能を使って証拠となる映像を撮影したらしいんじゃ。」


「そいつ、良くわかってるじゃないか!」


「その辺は、儂も感心しておる。………だが、そんなことをする暇があればもう少し早く孫達を助け出してくれると嬉しいんじゃが、その状況では今の行動がベストなのかもしれん。」


「そうだな。それで、どうなった?」


「ああ。孫達を襲おうとした男達を全員無力化させたらしい。」


「はぁ?………因みに男達は、何人居たんだ?」


「確か、4、5人と聞いておる。」


「孫達を助けたのは何人居たんだ?」


「1人。」


「あり得ないだろ?」


「普通はな。だが、あ奴は強い。………まぁ、そこはいいとして。」


「いいのか?私は興味あるがな。」


「相手のスキルや戦法を知りたがるのはルール違反だそうだぞ。」


「そんなことを誰に聞いた?」


「勿論、孫だ!」


「そっ、そうか!」


「うぉほん。話を戻すぞ!」


「そうだな。悪かった。」


「孫達を襲った男達を無力化して、孫達と協力してそいつらを縄で縛って支部に送り届けて支部に引き渡したそうなんだ。勿論、証拠の映像と孫達の証言と一緒に!」


「それの何処がおかしい?支部で調書を取って、あとは、警察が処理してくれる筈だろう。………もしかして、ここで、警察が何かをやりかしたのか?」


「ああ、そうだ。ダンジョン支部では、適切に処理されたいるが、警察の放で、ちょっとあってた。」


「焦れったい!早く話せ!」


「わかった。実はな、その犯人の中にこの辺りの県会議員の息子が居たらしいんだ。その議員の名は、河原田権蔵という。まぁ、この河原田とか言うのが黒い噂の絶えない奴らしくて国会議員とも関係があるらしい。」


「ほう、それで?」


「それで、今日の夕方のことだ。儂も、探索者の資格を取得しておって、儂と朔夜達は襲撃犯を捕まえてくれた奴と最近は一緒にダンジョンに潜っているんだが、」


「ちょっと待て!」


「どうした?」


「玄羅が探索者になったのか?」


「そうだ。これがな意外と楽しいんだよ。っと、それよりも話を戻すぞ。」


「ああ、すまない。」


「探索を終えて戻って来た所で2人の刑事に呼び止められてな。捕まった奴等が自分達は朔夜達には手を出しておらず、襲撃犯を捕まえた奴が一方的に暴力を振るったと言っているんだ。勿論、朔夜達も、捕まった奴と同じ証言をしていると、その2人の刑事は言ったが、朔夜達はそんな証言をした記憶等ない。………これが、どういう意味か分かるな!」


「………圧力か!」


「恐らくな。正義を全うしなければならない警察官が権力に屈っしたんだろうな!」


「それは、間違いないんだろうな?」


「ああ、朔夜達の証言もそうだが、ダンジョン支部の連中も怒っていたからな。あの様子を見ると自分達を蔑ろにされたようだと感じたと思うぞ!」


「そうか!」


それを聞くと高柳は、怒りのあまり震えていた。高柳は、犯罪や不正を許せない熱い男なのである。警察といえば市民の味方である。


「先にも言った通り、儂も腹立たしい思いをした1人なので雷蔵に直接愚痴ろうと思ったんだ。この話を聞いて後はどうするのかは雷蔵に任せる。」


「任せるか。………心にも無いことを言いよって!」


「いや、………本心なんだがな。」


「嘘をつけ!私が今の話を聞いてどういう行動を取るのか玄羅は知ってる。その上で私に連絡を入れてきているはずだ。後は任せろ。私は、警察が正義であることを信じている。そして、警察してはいけないことは冤罪を作り出すことだ。まして、意図的に冤罪を作り出そうとするなぞ言語道断だ。………はぁ、はぁ、はぁ、明日、そっちに行く!ではな。」


「ああ。待っている。それと、もういい年齢なんだから無理するなよ。じゃあな!」


そう言うと玄羅が電話を切る。そして、高柳も受話器を置き、自分の椅子に深く座る。そして、再び電話を取り、あるところに電話をかける。


「さて、まだ、残っているか?」


電話をコール音を聴きながら目的の人物がまだ残っているのかなと思う。その相手は、副長官の武富士正哉である。この人物は、高柳が最も信頼する人物の1人である。言うなれば高柳が王様だった場合、武富士が頼れる宰相といった感じである。


ガチャ


「もしもし!武富士です。」


「良かった。まだ居たか!」


「それで、何か御用ですか?」


「ああ。実はな………。」


警察庁長官の高柳は、玄羅との話の内容を余すこと無く伝える。


「そうですか。それで、そんな不正は見過ごせないと言うことですか?」


「そうだ。」


「しかし、警察庁の長官でもある貴方が出ていく程の案件ではないと思うのですが?」


「そうだな。………たが、この件には玄羅も関わっている。」


「玄羅さんと言うと、あの天上院グループの元会長。今では顧問みたいなことをやっているあの人ですよね?」


「そうだ。奴も相当腹が立ったのだろう。玄羅を納得させないといかないだろう。」


「はぁ~、仕方ないですね。わかりました。何とかしましょう。」


「おお、すまんな。いつも迷惑をかけて!」


「但し、3日間だけですよ。それ以上は無理です!」


「それで構わん。では、明日の朝一で行くことにしよう。」


「くれぐれもお気をつけて!」


「わかっておる!」


そう言い高柳は電話を切る。


「さて、帰って明日の準備をするか。」


高柳は、自宅に戻り準備を開始する。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 設定が面白い [気になる点] 人物名や会話などの細かい脱字、人物名間違いなど。 [一言] 警察庁長官は冴島なのか高柳なのか。
[一言] これからも楽しみにしてます。
[気になる点] 警察が何かをや「り」かしたのか?」 適切に処理され「た」いるが、 警察の「放」で、ちょっとあって「た」 警察「」してはいけないことは
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