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78.遙の危機

4月7日。さて、今日もダンジョンに行こうと思う。その前に、


「母さん。今日の晩飯はいらないから親父と食べててよ。」


「今日は何処かに食べに行くの?」


「昨日、ちょっとした賭けをしてさ、グラムが勝ったんだよね。それで、朔夜の爺さんが賞品として超一流の料理人が作る美味しい料理なんだって、それを今日、食べさせてくれんだって。」


「じゃあ、グラムちゃんだけ美味しいものが食べられるの?」


「そうだね。」


「じゃあ、グラムちゃん以外はどうするの?」


「俺達は台所借りてなんか作るさ。」


「そう、わかったわ。」


そして、ダンジョンに向かう。そして、朔夜達と合流しダンジョンの11階層に向かう。


「そういえば神月。料理人には、頼んでおいたから今日の夜は明けておけよ。」


「了解。」


俺は、グラム達を出してやる。


「うーん。今日も頑張るの!」


グラムは人で言う伸びをやっているようだがスライムなので何処を伸ばしているのか不明である。


「今日から肉が獲れるから頑張るぞ!」


「そうなのです!」


「わん!」


昨日の実験でこの階層に何が出てくるのか、何がドロップするのか分かっているので張り切っている。


「そういえば、ウルにこれやるよ。」


俺は、オリハルコンナックルガントレットを渡す。


「ご主人。ウルにこれくれるのです?」


「ウルの戦闘スタイルにピッタリだと思うんだけど………。」


「ありがとうなのです。着けてみるのです!」


ウルは、オリハルコンナックルガントレットを身につける。初めはウルには少し大きいかなと思っていたが、ウルが装着してみるとウルの腕にピッタリと密着した。


「これは、いいのです!」


そう言うとウルはシャドーボクシングをしている。その後、近くにあった岩にもパンチを放つと岩が割れていた。


「凄いっすね!痛くないんすか?」


「全く痛くないのです!すごく気に入ったのです!」


「よかったな。」


ウルはとても喜んでいる。俺もウルの戦闘スタイルに合う武器が見つかって嬉しいと思う。


「それと、天叢雲だが、朔夜が使ってみないか?」


「えっ?私ですか?」


「そう朔夜。」


「理由を聞いてもいいですか?」


「朔夜は、今は弓を使用しているが近接戦闘になった時に弓だけじゃキツいだろうからセカンドウエポンってのが必要だと思うんだよな。」


「はぁ~、師匠。どんな理由かと思ったらそんな理由ですか。それなら、お断りさせていただきます。確かに、師匠が言うようにセカンドウエポンは必要だと思いますが、それはあくまでも2番目の武器であって、天叢雲はセカンドウエポンで使っていい武器ではないですよ。私よりもお爺様の方がいいと思うんですけど………。」


「そうか。じゃあ、もうちょっと違うものを考えるか。あと、爺さんには、スキル的には向いてないんだよ。爺さんのスキルは刀術で、天叢雲を使うには剣術のスキルが必要になるんだよ。だから、取りあえずはアイテムボックスの肥やしになるのかな。」


「そうっすね。仕方ないっすね。」


「そうですね。」


「儂も使ってみたいがスキルが合わないのが残念だな。」


そう言うことで今日の探索を開始する。今日も、俺達とグラム達と別れて探索をする。


「じゃあ、気をつけて行けよ。」


「了解なの!」


「頑張るぞ!」


「新しい装備を試すのです!」


「頑張れよ!」


そう言うとグラム達はあっという間に行ってしまう。グラム達も出発したことなので俺達も出発することにする。


「じゃあ、師匠。私達もそろそろ行くっす!」


「そうですね。」


「楽しみじゃな!」


「わん!」


「分かった。じゃあ、行こうと思うが、その前に、戦い方を決めておこうか。」


「了解っす!」


「わかりました。」


「仕方ないの。」


「じゃあ、まず、俺と哮天犬は基本的に手出しはしない。」


「ええ~。マジっすか?」


「マジだ!そして、戦いの方法はサンドリザードマンと同じ様に朔夜が弓で攻撃をして、モンスターが近づいて来たら遙と爺さんが攻撃をして倒す。基本的には、この方法で行こうと思う。もし、危険だと判断したら俺達が介入する。でいいか?」


「大丈夫です。」


「異議なしっす!」


「うむ。分かった。」


戦い方も決まったことなので、探索を始めようと思う。今回は、俺は口出しをせずに行こうと思う。探索は得に問題はなくスムーズであった。そして、昼近くになったので昼食を食べる。そのため、テントをアイテムボックスから取り出して中で寛ぐ。今日の昼飯は、親子丼を作ることにする。まず、玉ねぎをスライスし、鶏肉を一口大に切り分ける。まずは、玉ねぎを炒めて、その後に鶏肉を一緒に炒めていく。その後、素麺の汁を入れて、少量の味醂や酢を入れて仕上げる。


「まぁまぁかな。」


「師匠、美味いっす。」


「そうですね。」


「そうじゃの。」


うーん。あまり期待したリアクションは得られなかったな。まぁ、いいか。その後も午後の探索を開始する。午後からも朔夜達は特に危なげな様子もなく仕留めることが出来ていた。そうそう、途中でキャベツの群生地を見つけたので収穫を行う。そして、時刻は夕方を過ぎる頃に11階層のダンジョンのボスの所に到着する。そこには既にグラム達が待っていた。


「ご主人、待ってたの!」


「遅いぞ!」


「やっと会えたのです。」


「おう、待たせたな。………そういえばウル。ガントレットの調子はどうだった?」


「とてもよかったのです。」


「そうか。それは良かったな。じゃあ、誰がボスモンスターと戦うか決めようか?」


「分かったの!」


「今回は当てるぞ!」


「今回もウルが当てるのです。」


「わんわん!」


「じゃあ、朔夜。また頼めるか?」


「わかりました。用意します。」


もう何度かやっているため手際良く準備をしてくれる。準備をして俺達の前にクジを用意する。


「よしやるぞ!」


それぞれがクジを引き終えたので、中身を確認する。結果は、俺が当たりを引いた。


「よしっ!当たった!」


「う~、悔しいの!」


「残念だぞ!」


「残念なのです。」


「ク~ン!」


当たりはなんと俺であった。今日は、殆どなにもしていないので少しストレスが溜まっていたのである。ちょうど良かったと思う。

そう言うわけで俺達はボスモンスターの所に向かう。そして、ボスモンスターの所に到着するとそこに居たボスモンスターは、居なかった。階段の前に大きな木が3本あった。


「珍しいっすね。ボスモンスターがいない階層もあるんすね。」


「遙っ、待て!!!」


「へっ?」


その瞬間、シュルルルルっと遙の体を弦が巻き付き持ち上げてしまう。


「スノウっ!」


「任せろだぞ!」


スノウが飛び出し斬爪撃で弦を切断し、空中で遙を背中に乗せるが、弦がスノウと遙に迫るが、スノウは楽々と回避をして俺達の元に帰ってくる。すると、弦は迫って来なくなった。俺達のいる場所は攻撃の範囲外のようである。


「あっ、危なかったっす!スノウさん、ありがとうっす!」


「気にしなくていいぞ。でも、今度から気を付けるぞ!」


スノウから注意を受ける遙である。


「そうですよ、遙。心配しましたよ。」


そう言うと、遙を抱き締める。


「ごめんっす!心配かけたっす、朔夜!」


「まぁ、取りあえず無事で良かったわい。」


「心配してくれてありがとうっす!」


種族 トレント

レベル 23

HP 2300

MP 1800

スキル 擬態8 土魔法3 養分吸収5


どうやら遙は、トレントが擬態しているのを気がつかずに進んでしまって餌食になりかけたのであろう。もう少し気をつけて欲しいものである。


「言いたいことはあるが、みんなが代弁してくれたので俺が言うことはない。」


「はいっす。次からは気を付けるっす。」


俺は、遙の頭をポンと叩き、前に出る。コイツらの相手は俺である。


「さて、遙をいじめてくれた礼をしようか!!」


俺は、少し前傾姿勢をとり、左手で木刀の方の鞘を持ち、右手で木刀の柄をもち、少し溜めを作って瞬煌を放つ。真ん中のトレントは真っ二つになり、消滅していく。俺は抜刀術の後の残心をしていると、残りの2本のトレントから弦が伸びてきて、俺の体に巻き付く。俺は、体の表面に火王魔法を纏い弦を燃やす。ついでに炎で燃やそうと思い、火球を2つ作り出す。そこに、魔力を更に注ぎ込むとオレンジ色の火球は蒼くなる。蒼くなった火球を残りの2体のトレントに向け1球ずつ放つ。トレントに火球が着弾すると、蒼い炎の火柱が上がる。2体のトレントは、体をくねらせて苦しそうにしていた。少しすると、トレントも動かなくなり2体とも消えていった。


「なあ、火魔法ってあんな使い方が出来るもんなのか?」


「そうっすね。まぁ、でも考えたら納得出来るっすね。赤よりも青い方が温度は高いってのは常識っすから出来ても不思議ではないっすね。」


「そうですね。………常識では、出来ると分かっているけれど、意識の何処かで魔法では出来ないと言うメンタルブロックがかかっていたのかも知れないですね。」


「そうかもしれんな。儂もまだまだだな。これからもっと精進せねば。」


「お爺様、私も一緒に頑張ります!」


「私も負けないっすよ!」


何か青春の一場面を見せられているような感じである。っと言うか、朔夜と遙にとっては今が青春の真っ盛りであった。さて、そんなことを言っているとドロップ品が出てくる。どうやら、魔石とトレントの木材である。それらを玄羅が持っているアイテム袋に入れていく。そして、宝箱が出現する。宝箱の中身は、金のインゴットが出てきた。しかも2本も。


「しししししっ師匠っ!!きき金っすよ!」


「しかも大きいですね。」


「ああ、恐らく1本10キロ位はありそうだな。」


「ままままマジっすか?それで、どの位の値段になるっすか?」


「そうだな。今が1gで7000円位だから10キロで7000万かな。」


「7000万!!!2つ合わせたら1億4000万すか!!!」


「確かに凄い金額になりますね!」


「じゃが、探索者とは夢があるのう!」


「そうですね。」


「じゃあ、次の階層に行ったら帰ろうか?」


「師匠。冷静っすね。」


「ああっ、あんまり実感がわかなくてな。それに、今のところ使い道なんて無いしな。」


「そうなんすか。」


「ああ。」


まぁ、実際にお金の使い道なんて無いしな。その内、色々と考えが浮かんでくるだろう。そんなことを考えながら12階層に移動したのち地上に戻ってくる。そして、何時ものごとく買い取りに向かい、個室に案内される。少し待つと、最近は定番となった葵さんと神崎さん、四ノ宮さんが部屋に入ってくる。


「神月、待たせたな。」


「いえ、そこまで待ってないので気にしないで下さい。」


「それで、今日はどんなものがあるんだ?」


「じゃあ、爺さん。頼む。」


「分かった。」


魔馬からドロップした魔石を出す。その後、肉を取り出す。


「ほう、肉か。」


「では、確認をさせていただきますね。」


神崎さんがそう言うと、連絡を行い、他の職員が来てドロップ品の鑑定と数を数え始める。


「あとは、これじゃな。」


そう言うと収穫したキャベツを取り出す。1玉400グラム位あり、中身はパンパンに詰まっていて美味そうなキャベツである。グラム達もキャベツは収穫したようだが、今回は俺達が収穫した分だけを出した。それでも相当数あった。これも、魔馬の鑑定をしていた人達が引き続き作業をしてくれてる。


「ほう、キャベツか。美味そうだな。」


「そうですね。あとは………。」


「これだな。」


そう言い、トレントの魔石と木材、金のインゴットを取り出す。


「これは、また………。神崎、鑑定しろ!」


「はい。わかりました、副支部長。………えっーと、木の方はトレントの木材でもう1つは1本10キロの金のインゴットが2本ですね。」


「そうか。」


そこから、鑑定と計算が終わるのに少し時間がかかる。


「じゃあ、合計だが、まず、魔馬の魔石が70個で1個、3000円で21万円だな。それで、肉だが30個で1個3000円で9万円。キャベツ1玉が1500円で、100個あったので15万円だな。そして、トレントの魔石が1個2万円で3個で6万円だな。あと、トレントの木材だが1つ7万円で3つで21万円だな。そして、最後に金のインゴットだが、グラムがこの前よりちょっと上がって6900円だから、1本7千万円で買い取ろう。2本で1億4000万円だな。合計で2億4072万円だな。」


「おい、それは、税金を抜いた分か?」


「勿論だ。今はダンジョンから出た金はそれだけで付加価値がある。いずれは、それもいずれはなくなるかもしれんがな。それで、振り分けはどうするんだ?」


「そうだな。どうする?」


「私は師匠に任せるっすけど、たくさん貰っても申し訳ないっす!」


「私も遙と同意見ですね。」


「儂もだな。そもそも金は沢山あるからな。」


「そうか。じゃあ、3人には1000万円ずつでいいか?」


「そんなに貰っていいんですか?」


「貰いすぎな気がするっす!」


「2人とも神月が考えた結果だ。受け取っておけ。但し、大金があるからと羽目を外し過ぎるなよ!」


「はい!」


「了解っす!」


「じゃあ、それで頼むよ!」


俺達は探索者カードを渡し、入金をしたもらう。そして、入金を終えたカードを持って職員が戻ってくる。その際に、四ノ宮さんに耳打ちをして、その職員は出ていった。


「神月。お前にちょっと面倒な客が来たみたいだぞ?」


「はい??」

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― 新着の感想 ―
[気になる点] リアル金価格1g1万円超えています。
[気になる点] キャベツ一玉で400gはとってもちっちゃいかも( ̄▽ ̄;) 一箱10程度の小ぶりのでも700~800g有りますし、大きいサイズ(一箱6個入り)だと1.2~とかなり重いですよ(* ̄∇ ̄…
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