75.オリハルコンナックルガントレットと天叢雲
俺達は、10階層の大きな扉を開けて中に入る。俺達が中に入ると俺達が入った扉が閉まる。
「大丈夫っすか?私達が入ってきた扉が閉まったっすよ!」
「師匠がいるから大丈夫ですよ。………………多分!」
「そうだな。」
不安がっている朔夜と遙を玄羅が不安感をなくせるように言っている。広さは学校の体育館の2倍位の広さがあった。そして、ボスモンスターが出現する。5メートル位の大きさの双頭の犬で尻尾が蛇になっているモンスターがいた。
種族 オルトロス
レベル 25
HP 3000
MP 2000
スキル 炎のブレス4 咆哮3 噛みつき6 毒5
ブレス
口から炎を吐き出すことが出来る。
毒
毒による攻撃を行い、相手を毒の状態にする。
まさか、オルトロスとはね。
「朔夜、犬なのに頭が2つあるっす!」
「あれは、多分、オルトロスですね。」
「よく知ってるっすね。」
「結構有名なモンスターですし、ギリシャ神話にも出てくる怪物でもありますから。」
「そうなんすね。」
遙の疑問に対して朔夜が的確に答えている。
「じゃあ、行ってくるのです!」
「1人で大丈夫か?」
「あの位大丈夫なのです!」
「そっか、頑張れよ!」
「ハイなのです!」
ウルは、嬉しそうにヒョコヒョコとオルトロスに向かっていく。ウルは、オルトロスの前に行くとピョンピョンと片足で交互に飛んで掌を上に向け
「かかってくるのです!!」
と、挑発を行っている。お前はどこぞの格闘家か?っと突っ込みたくなる。それを見てオルトロスは、
「ガァァァオォォォーーー!!」
何か怒っている見たいである。恐らく、咆哮のスキルを使ったのであろうが俺達には一切の影響はない。とは言えなかった。朔夜と遙は、ビクビクしながらその場に座り込み、玄羅は、一応立ってはいるが、帯刀している刀の鞘を持っている左手は震えており、刀はガチガチと音を立てていた。どうやら、この3人には効果があったようである。
オルトロスは、俺達には咆哮が効いていないのを見ると咆哮を止めウルに向かって突っ込んでくる。ウルはそんなオルトロスの突進をヒョイっと直前で回避し、地面に着地と同時に右ストレートを繰り出す。ウルの右は、見事に決まり
「ぎゃん!」
と、オルトロスの口から漏れる。そして、オルトロスは、2つの頭を交互に突き出しているがウルは余裕で回避をしている。そして、ウルは一瞬の隙を付いてオルトロスの体の下に潜り込み、ウルは屈んで、
「アッパーなのです!」
オルトロスの腹部にアッパーを叩き込み、オルトロスの体が宙に浮かぶ。だが、オルトロスは尻尾の蛇がウルに噛みつくが、皮膚には食い込まないようである。もし、蛇の牙が皮膚に食い込んでいればウルは毒の状態になっている筈である。要は、ウルの防御力が上回ったということなのだろう。ウルはそんなことにはお構いなしにもう1発オルトロスの腹部にパンチをする。オルトロスは、地面を転がり憎々しげにウルを睨む。オルトロスは大きく息を吸い込み炎のブレスを吐き出す。ウルは土壁を作ってオルトロスのブレスを凌ぐ。そして、ブレスが終わる頃に、ウルはストーンバレットを使ってオルトロスの口を塞ぐ。これで、ブレスが来たとしても暴発を起こしてオルトロス自身にダメージを与えるだろう。それからは、ウルの一方的な攻撃が始まる。手刀でオルトロスの尻尾の蛇を切断したり、素早くオルトロスの体の横に移動し正拳突きを繰り出したりして、ウルはとても楽しそうである。そして、ウルの攻撃により吹き飛ばされたオルトロスは倒れたまま起き上がって来ず、そのまま消えていった。ウルの完全勝利である。
「ご主人、やったのです!」
「よくやったな、ウル!」
「なのです!」
「まぁまぁなの!」
「あの位当然だぞ!」
「わんわん!」
何かグラムとスノウの評価は厳しめである。
「凄いっす!」
「そうですね!」
「あのクマも相当できるな!」
朔夜達は、少しホッとしたような雰囲気がある。そんなことをしているとアイテムがドロップする。ドロップしたものは、魔石と牙、毛皮である。
オルトロスの牙
オルトロスからドロップした牙。
オルトロスの毛皮
オルトロスのドロップした毛皮。
オルトロスのドロップ品を回収していると宝箱が出現する。
「今回はウルが頑張ったから宝箱、開けていいぞ!」
「やったーなのです!」
ウルはウキウキで、宝箱を開ける。宝箱の中には、金属で出来た鎧の腕の部分だけが入っていた。あとは、ハイポーションが5つと直剣が1本入っていた。
オリハルコンナックルガントレット
スキル 魔纒 不壊
天叢雲
スキル 雲 不壊
魔纒 魔法を武器に纏わせやすくなる。
不壊 絶対に壊れない。
雲 ありとあらゆる雲を作り出すことができる。
何かまたヤバい武器が出てきた来た気がする。オリハルコンと言えばファンタジー世界でも有名いや、超有名で希少価値が高くて最強の位置にある金属の1つである。もし、朔夜達が居なければ速攻でウルに渡しているが、今はそうはいかない。そして、もう1つも何かやな予感したんだよね。まさか、天叢雲が出てくるなんて思わないじゃん。別名草薙の剣。ヤマトタケルノミコトが倒したというヤマタノオロチの尾から出てきたと言われる剣である。今では、八尺瓊勾玉、八咫之鏡と並んで三種の神器と言われている。まぁ、三種の神器の草薙の剣俺は昔の剣って感じだけど、今回ダンジョンでドロップした天叢雲は直剣って感じの剣であるので、別物だとは思うけど、この後の事を考えれば………俺は頭を抱えるしかない。
「どうした?」
玄羅が、俺に訪ねてくる。
「心配しないでいいぞ。大丈夫だ。」
「そうか!」
「じゃあ、下に下りてみようか!」
「行くの!」
「分かったぞ!」
「了解なのです!」
「わん!」
俺達は11階層に下りる。到着した11階層は、草原であった。
「よしっ、じゃあ、帰るぞ!」
「師匠。新しいエリアに来たんすからどんなモンスターが居るのか知りたいっす!」
「グラムも賛成なの!」
「俺もだぞ!」
「ウルもなのです!」
「わんわん!」
「私も遙に賛成です!」
「儂も1票入れるぞ!」
「はぁ~、仕方ないな。1回だけだぞ!」
皆が盛り上がる。そういうわけで俺達は草原を進む。そして、モンスターの気配を感じたので、その場に行ってみることにする。そこには、馬型のモンスターがいた。
種族 魔馬
レベル 20
HP 1200
MP 1000
スキル 蹴撃5 俊足5
「じゃあ、この階層のモンスターも見れたことだしさっさと倒して帰るぞ。」
俺がそういい速攻で倒す。
「よしっ。終わったから帰ろうか?」
すると、全員から冷たい目で見られる。
「ご主人だけズルいの!」
「そうだぞ。俺達もやりたいぞ。」
「そうなのです!」
「わんわん!」
と、従魔連中から避難を浴び、
「師匠、早く帰りたいからってあれはないっす!」
「ちょっと酷いですね!」
「神月。儂にもやらせんか!!」
と、こっちの方からも避難を浴びることとなった。取りあえずは、倒したドロップ品を拾うことにした。そこには、魔石と肉がドロップしていた。
魔馬の肉
魔馬からドロップした肉。馬肉のようで美味しい。
「わーい!お肉が落ちたの!」
「やる気が出てきたぞ!」
「頑張るのです!」
「わんわーん!」
「あれって食べられるんすか?」
「美味しいんですか?」
「儂も負けておられん。」
「ちょっと待とうか!じゃあ、グラム、スノウ、ウル、哮天犬は一回ずつ、朔夜、遙、爺さんは3人で1回な。」
「えーっ、1回だけなの?」
「もう少しやりたいぞ!」
「そうなのです!」
「わん!」
「今日は1回にしとけ、どうせ明日から沢山狩れるんだから。」
「む~、仕方ないの!」
「分かったぞ!」
「今日は1回で我慢するのです!」
「クーン!」
どうやら、納得してくれたようだが、もう1人納得していない人物が1人いた。そう、天上院玄羅である。
「神月。儂も納得してないぞ!」
「お爺様、そんなことを言わないで下さい。」
「そうっすよ。大人げない。」
「師匠が私達の実力を考えてくれているんです。」
「そうっすよ。まだ、やっとサンドリザードマン1体倒すのがやっとなんすよ。」
「うっ、それを言われると弱いな。」
「じゃぁ、爺さんは朔夜達と一緒で良いよな?」
「うむ。仕方ないのう。」
と、言うことで全員1回づつ終わらせることが出来た。グラム達は相変わらず余裕であった。玄羅達も、朔夜が弓で攻撃し遙と玄羅で仕留めていた。それぞれ、ドロップ品は魔石と肉であった。
「さて、そろそろ帰るぞ!」
そう言い、少し不満があったが、渋々同意してくれたようで今日の探索を終了し1階層に転移する。そこからは、ダンジョンを出て、買い取りカウンターに行く。時は既に午後6時。何時もならもう1時間早く戻ってきた筈なんだけど………。まぁ、そんなこと気にしてもしょうがないかな。
俺は、買い取りカウンターの受付の人に声をかけると直ぐに個室に通される。もう、手慣れた感じである。そこで、少し待っているといつもの3人、神崎さんと葵さん、副支部長の四ノ宮さんが入ってきた。
「今日はまたどんなものを持ってきたんだ?」
「何か嬉しそうですね。四ノ宮さん。」
「そりゃ楽しいからな!」
「そうですか。」
「じゃあ、早速始めようか?」
「わかりました。じゃあ、爺さん。よろしく頼むな。」
「面倒じゃが仕方ないの。」
今回、ダンジョンからドロップしたものは全て玄羅に預けてある。理由は簡単。俺がアイテム袋をあげたからだ。俺のスキルのアイテムボックスは、多くの人が知らなくてもいいスキルである。理由としては、あまりにも有名なスキルで尚且つ超役に立つスキルだからである。このスキルを持っている時点で行きも帰りも荷物が極端に減る。それに、どこでどうやってスキルを覚えたのか詮索される。まぁ、詮索されるだけならいいが、これが、他の人には取得することが出来ないスキルだと分かると周りからの妬み嫉みされる。下手をすると、どこかの国に拉致だってされかねない危険なスキルである。その理由としては、アイテムボックスの中に入れておけば各国の税関なんか楽勝である。麻薬や武器、その他諸々運び放題である。勿論、俺はそんなことをする気は更々ない。朔夜達には、一緒にダンジョンを攻略する上で必要と判断したので明かした。っと、言うわけでドロップ品を玄羅が出してくれる。
「今日は昨日よりもちと量が多いから、順番に出して行くぞ!」
今回はサンドリザードマンの素材を全てアイテム袋に入れてある。
「まずは、魔石じゃ!」
そう言い玄羅は、魔石を大量にアイテム袋から大量に取り出す。
「ちょ、ちょっとどれだけあるんですか?」
と、神崎さんが突っ込みを入れ、副支部長の四ノ宮さんと葵さんも呆然としている。
「神崎、人を読んで魔石の鑑定と数を確定させろ。」
副支部長の四ノ宮さんが神崎さんにそう言うと神崎さんは他の職員を呼び魔石の鑑定と数量を確認するように指示を出し、職員達は作業を始めた。
「神月。この魔石の数は何だ?」
「えっ?普通にモンスターを倒した時のドロップ品ですけど?」
「あれが普通っすか?」
「多分違うと思うけど………。」
「それは、儂も同感じゃ。」
何かすごい酷い言われようである。
「もしかして、スポットの魔物なんて倒してないですよね?」
「葵。流石にそれは………無いよな?」
四ノ宮さんは、なにか感じ取ったのか疑いの目で質問してくる。
「えっーと、そもそもスポットって何ですか?」
「スポットというのはですね、時々、モンスターが密集している場所の事ですよ。モンスターを倒せると宝箱があるんですけどね。ただ、モンスターの数が多すぎて面倒なんですよね。」
「ああっ、それってあれっす!」
「あれだね。」
「そうだな。」
「あっ、やっぱり心当たりがありました?」
「ええ。そこで、結構倒しましたね。」
「じゃあ、もしかして宝箱ゲットしましたか?」
「こらっ、葵。はしゃぎすぎだ!」
「すみません。」
「いえ、いいんですよ。宝箱でしたね。開けましたよ。確か、スキルの書が6個入ってましたね。」
「「「えっ?」」」
「どうしました?」
「あのモンスターを倒したんですか?」
「ええ、まぁ!」
「因みにどのくらい居たんですか?」
「そうだな。数百は下らんだろうな!」
「ええっ、そんなに居たんですか!凄いですね。」
「その時に出たスキルの書がこれじゃ!」
玄羅がアイテム袋からスキルの書を取り出し、鑑定のために神崎さんに手渡す。
「では、鑑定します。………、火魔法、千里眼、分身、思考、計算が2つですね!」
「そうなんですか。」
「それで、買い取りの方はどうしましょうか?」
「全部こちらで使おうと思います。」
もともと決めていた事なのでスキルの書はこちらで全て使いきろうと思う。