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71.買い取り

さて、ダンジョン支部である。


「神月、これからどうするんだ?」


「今から買い取りをしてもらいます。」


「買い取り?」


「何言ってるんですか?それが、探索者の最終的な目的なんじゃないですか!まぁ、爺さんみたいな金持ちは道楽でやってる人もいるみたいですけど………、っても、爺さんの場合は、道楽ってよりも只の戦闘狂みたいだけどな。」


「おいっ、それは、酷くないか?」


「いや、お爺様、あれを見たらね。」


「そうっすね!仕方ないっす!」


まぁ、確かにあの戦いかたを見たらそうとしか思えない。


「まぁ、取りあえず、買い取りに行くぞ!」


俺は、買い取りのカウンターに行く。カウンターの職員に神崎さんを読んでもらうように頼む。すると、直ぐに神崎さんは現れた。


「お待たせしました。先日はすみませんでした。」


「いえいえ、そんなことないですよ。休むのは労働者の権利ですから。」


「そう言って頂きありがとうございます。では、こちらにどうぞ!」


俺達は、個室に案内される。そこには、既に葵さんと副支部長の四ノ宮さんが既に待っていた。


「やっときたか!待ってたぞ!」


「いや、待ってなくていいですけど………。」


「まぁまぁ、そう言わないで、あの人も内心サイガさんが持ってくるものを楽しみにしてるんだから………。」


「おい、葵!余計なこと言わなくてもいいぞ!」


「はいはい。すみませんでした。」


「それで、今日はまた1人多いようだな。」


「はい。実は………。」


一昨日ここを出た後の話をする。その経緯で天上院玄羅と一緒にダンジョンを探索することになることを話す。


「サイガさん。ということは、この人は天上院グループの会長ってこと?」


「いや、正確には儂はもう引退した身だから、今は只の道楽爺じゃよ。」


「道楽って。」


「まぁ、その話しはもういいじゃろう。さっさと買い取りをせんか?」


「いいだろう。じゃあ、神崎始めろ。」


「わかりました。では、今日の成果を見せていただいていいですか?」


「わかった。じゃあ、先に朔夜と遙から頼むよ。」


「わかりました。では、お二人は買い取る品を出してもらえますか?」


「わかりました。」


「了解っす!」


そして、まず、朔夜からリュックに入れていた物を出し始める。出したものは、サンドリザードの魔石20個と、サンドリザードマンの皮14個台の上に乗せる。


「これは、サンドリザードマンの魔石ですね!これは、何階層から?」


「8階層です!」


「えっ?そうなんですか!では、魔石を1つ2400円、皮を5500円で買い取らせていただきます。それで、合計は12万5000円ですね。」


「ありがとうございます。」


朔夜の鑑定が終わるとタイミングを見計らったように職員が入って来て朔夜から探索者カードとドロップ品を持って部屋から出ていった。どうやら今の人が探索者カードに入金をしてくれるのであろう。要は、副支部長も葵さんも席を外したくないがために考えたのであろう。よく見ると葵さんが無線のようなものを持っている。あれでタイミングよく入って来られたわけだ。


「じゃあ、次は私っすね!」


そう言うと遙もテーブルの上にドロップ品を出していく。遙も朔夜とはあまり変わらずサンドリザードマンの魔石を15個、サンドリザードマンの皮を25個取り出した。


「一昨日ので魔石よりも皮の方が高く売れるってわかったっす。だから、今日は魔石を魔石減らして皮の方を多めにすることが出来たっす!」


「では、サンドリザードマンの魔石が15個で3万600円、皮が25個で13万7500円で、合計が17万3500円になりますね。」


「満足っす!」


「ちょっ、何で遙の方が私よりも買い取り金額が上なのよ。」


「それは、朔夜が何も考えてなかっからっす。朔夜はただ、ドロップしたものをそのまま回収していたのに対し、私はキチンと計算してたっす!その差が、ここに出ただけっす!」


「くぅぅぅ!普段は何も考えてないように見えるのにこういう時はちゃっかりしてるのよね。」


「当然っす!」


遙は、朔夜に対しては胸を張っている。そして、このやり取りの間にも職員が来て、ドロップ品を持って行ってくれる。もちろん、遙の探索者カードも一緒に持って行く。


「では、天上院玄羅さん。出してもらっていいですか?」


「儂は何もないぞ!」


「えっ?」


「だから、儂は何も持っておらんのだ!」


「そっ、そうですか。それは、失礼しました。」


「いえ、神崎さんが謝ること無いですよ。」


「この爺さんは、戦いがしたくてダンジョンに来た酔狂ってか、只の戦闘狂だからほっといていいよ!」


「おいっ、儂は戦闘狂では………。」


「まぁまぁ、お爺様。押さえてください。」


「そうっすよ!」


玄羅は、未だに自分が戦闘狂であるのを認めたくないようであるが朔夜と遙がおさえてくれた。


「では、次は神月さんでよろしいですか?」


「いいですよ。じゃあ、まずはこれをお願います。」


俺は、パンパンになったリュックをテーブルの上に置く。


「あっ、あの?これは?」


「サツマイモだよ。ダンジョンで取れた!」


「はい?ダンジョンでサツマイモですか?」


「はい。そうですよ!」


「副支部長~、どうしましょう?」


「神月、因みに味の方はどうなんだ?」


「さぁ~?まだ、食べてないからなんとも。………………そうだ!何ならここでみんなで味見してみますか?ここに7人居るから7個でいいかな!」


「えっ?いいんですか?」


「やったっす!ずっと味見してみたかったんっすよね!」


「儂もダンジョンで採れたサツマイモがどれ程か興味があったんじゃ!」


「サイガさん。我々の分までいいんですか?」


「いいですよ。それに、味を見ないと買い取れないでしょ?」


「それもそうだな。いい判断だぞ、神月。じゃあ、神崎、誰かに言って熱処理をしてもらえ。流石に焼き芋は無理だろうから蒸し器で蒸してもらってこい!」


「わかりました。では、直ぐに戻って来ます。」


神崎さんは、サツマイモを7個持って部屋から出ていった。


「さて、神月。他には何があるんだ?」


「じゃあ、次はスキルの書で!」


俺はスキルの書を取り出してテーブルの上に置く。


「神月。お前な、前回も今回もポンポンとスキルの書を出すが普通ならこんなに簡単に手に入る物じゃないんだがな!」


「でも、手に入るんだから仕方ないじゃないですか。それよりも鑑定をお願いしますよ!」


まぁ、スキルの書の内容は知ってるんだけどね。


「わかった。では、鑑定しよう。………………。」


「四ノ宮さーん。大丈夫ですか?」


葵さんが四ノ宮さんの目の前で手を振っている。


「………………。まさか、こんなレアなスキルが出てくるなんて………。」


「それで、何のスキルだったんですか?」


「回復力魔法とテイムだ!」


「え?????マジですか?」


「マジだ!!」


「そんなにレアなスキルなんですか?」


「ああっ、レアだな。テイムは300万円、回復魔法は500万円出すぞ!」


「じゃあ、その2つはこちらで使いたいと思います。」


「ちょっ、いいんすか?売れば合計で800万円っすよ!」


遙が、焦ったように言う。


「知ってるよ。けど、今は金には困ってないし、これだけの金額を出しても欲しいって事だから当然俺達が使ってもそれなりにメリットはあるってこと。そうそう、金には困ってないって言ったけどあくまでも一般人に比べたらだからね。朔夜や遙の家と比べるとホント微々たるもんだからね!」


「そうっすか!じゃあ、それは、誰が使うんすか?」


「それは、また、後で話し合おうか!」


「わかったっす!」


「はぁ~、ビックリしましたよサイガさん。まさか、回復魔法のスキルの書を持ってくるなんて。あれって貴重なんですよね。」


「そんなに貴重なんですか?」


朔夜が、葵さんに質問をする、


「そりゃそうですよ。回復魔法を持った人は引っ張りだこですよ。何せこんな世の中ですからね。ダンジョンに行く人はいくらでもいるし、それに伴って負傷者も急増してるからね。回復魔法が使えると治療に参加できるし、治療すると自身のスキルのレベル上げにもなって一石二鳥になりますからね。それに、パーティー内に1人でもいればダンジョンからの生還率も向上しますからね。」


「そうですか。わかりました。」


朔夜は納得したようである。


「そして、テイムだが正直言ってよく分からん。何せ、初めて出た物だからな。だが、モンスターをテイム、つまり仲間にすることが出来るということ位だと思う。どのモンスターをどの程度テイム出来るのか。また、モンスター以外はテイム出来ないのか。詳しいことはわかってないが使うんでいいんだな?」


「ええ、いいですよ。」


「そうか!神月がそこまで言うなら使ってみるといい。さて、後は何があるんだ?」


「実は、これなんですけど?」


俺は、アイテム袋をテーブルの上に乗せる。すると、神崎さんが帰ってくる。


「近くの職員に頼んできました。15分位で出来るそうなの出来たら持ってきてくれるみたいですよ。」


「そうか。わかった!神崎も座れ!それで、神月。これは、何だ?只の袋じゃないのか?」


帰ってきた神崎さんは、最初にいた席に腰を掛ける。


「まぁ、取りあえず、鑑定してみて下さいよ。」


「わかった。」


そう言い、四ノ宮さんは鑑定をする。


「おいっ、神月。これを一体どこで手に入れた?」


「どこって!8階層のボスモンスターを倒した後の宝箱ですけど、それが何か?疑うならここにいる3人に聞いてもらっていいですけど………………。」


「そうか。疑っているわけではない。ただ、こんなものがドロップしたなんてと思っていただけだ。それで、お前は、これが何だか知っているのか?」


「まぁ、大体は!宝箱の中から何の変哲もない袋が出てくるわけないじゃないですか!そうしたら、ファンタジーの定番の見た目以上に入る袋じゃないかと思うのは必然だと思いますけど?それに、そう言うものかも既に実験してますしね!」


「まぁ、そう思うよな。それで、実験とは?」


「四ノ宮さん!その前に、それは、一体何なんですか?」


「葵。これは、アイテム袋だ。しかも、中のだ。」


「あっ、アイテム袋?しかも中ですか!」


「それで、中の要領はどのくらいなんですか?」


「どうやら東京ドーム1個分らいし。」


「東京ドーム1個分??また、それは、とんでもないですね!」


「そんなにとんでもないことなんですか?」


俺が不思議な思い口を挟む。すると、神崎さんが、


「いいですか、神月さん。ダンジョンが出現してから自衛隊や警察の方々がダンジョンを調査、つまり探索をしていきました。そこで、様々な物を回収してきました。もちろん、スキルの書やポーション、ダンジョンから回収して使えるものは、使って来ました。その中でも特に重宝されたのがアイテム袋です。但し、今までにドロップしたアイテム袋は全てが小なんですよ。小でも家1軒分の物を収納することが出来ましたが、今回、神月さんが持って帰ったアイテム袋は、中でしかも東京ドーム1個分という規格外の性能を秘めているわけです。」


「詳しい説明ありがとうございます。」


「朔夜、やっぱり師匠は、ヤバい人だったみたいっすね!いい意味で!」


「そうね。やっぱり、弟子入りして正解だったみたいね。」


2人とも横で物騒なことは言わないで欲しい。


「まぁ、ドロップしたんだから仕方ない。それで、さっき言っていた実験とは何だ?」


「簡単なことですよ。俺もこの袋が普通の袋じゃないと思ったんで、ドロップ品を突っ込んで見たら幾らでも入るじゃないですか。」


「成る程な。理にはかなっているのか。それで、その中には何が入ってるんだ?」


「じゃあ、まずはこれを出しますね!」


俺は、スパイラルガゼルの角と魔石を取り出す。


「ほう、面白いものを持っているな。スパイラルガゼルの角は中々ドロップしないんだぞ。」


「そうなんですか?」


「ああ。そうだ!これも一緒にオークションに出してみないか?」


「別にいいですけど、いいんですか?」


「大丈夫だろ?オークションに関して仕事をするのはアイツの仕事だからな!」


「ちょっと、四ノ宮さん。支部長が可哀想じゃないですか!」


「じゃあ、葵。お前がアイツを手伝ってやってもいいんだぞ?」


「いえ、遠慮しておきます。支部長には頑張ってもらいましょう。」


「分かればいいんだ。」


何か支部長さんの仕事が本人の知らぬ間に増えたことに同情する。


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